「令和2年版犯罪白書」について
犯罪白書とは?
犯罪白書は,犯罪の動向や犯罪者の処遇の状況について,統計資料等に基づいて説明しているものです。
昭和35年から毎年法務省法務総合研究所により発刊されており,犯罪対策を検討するための基礎的な資料としての役割を担っています。
犯罪の動向は?
刑法犯の認知件数(警察が犯罪の発生を把握した件数)は,平成14年に戦後最多の約285万4,000件を記録しましたが,その後は17年連続で減少し,令和元年は約74万8,500件と,戦後最少を更新しました。
平成15年からの認知件数の減少は,刑法犯の7割以上を占める窃盗の件数が大幅に減少し続けたことに伴っています。
令和元年に刑法犯で検挙された者の人員は,戦後最少の約19万2,600人でしたが,そのうち,65歳以上の高齢者が22.0%を占めており,高齢化が進んでいます。
再犯の現状は?
平成27年に刑事施設を出所した者のうち4割近くの者が,出所後の犯罪により,出所後5年以内に刑事施設に再入所しており,そのうち約半数が2年以内に刑事施設に再入所しています。
また,満期釈放者は,仮釈放者と比べて,再入率(各年の出所受刑者人員のうち刑事施設に再入所した者の人員の比率)が高いことが分かります。
今回の特集は?
今回の犯罪白書では,「薬物犯罪」を特集し,薬物犯罪の動向や薬物事犯者の処遇の現状,薬物事犯者の再犯の状況等を概観・分析しています。
覚醒剤取締法違反の検挙人員(特別司法警察員が検挙した者を含みます。)は,平成28年から毎年減少し続け,令和元年には昭和50年以来,44年ぶりに1万人を下回りました。
大麻取締法違反の検挙人員 (特別司法警察員が検挙した者を含みます。)は,平成26年から6年連続で増加しており,令和元年は昭和46年以降初めて4,000人を超えました。
そのほか,法務総合研究所が実施した薬物事犯者に関する特別調査の内容及び明らかになった事項について紹介しています。
薬物犯罪撲滅のためには,薬物事犯者を検挙し,刑事司法手続において適切に処遇を行っていく必要があります。それとともに,薬物乱用者で依存症者としての治療のニーズを有する者がいるということについても社会が認識を共有し,立ち直りや薬物からの離脱を目指す者を広く受け入れ,支え,包摂していくことが,長期的に見れば,薬物犯罪の撲滅や薬物事犯者の再犯防止の点からは有効なことといえます。法務総合研究所においては,今後も,薬物犯罪に関する実証的調査・研究を継続的に積み重ねていきます。
もっと犯罪白書の内容を知りたい場合は?
法務省のホームページで閲覧できるほか,官報販売所等で購入できます。