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法制度整備支援の現場から

インドネシア共和国長期派遣専門家 志摩 祐介

インドネシア共和国では、令和7年10月から、最高裁判所及び法務省法規総局の二つの機関をカウンターパートとする法制度整備支援プロジェクト「ビジネス環境改善のための法・司法改革プロジェクト」が新たに始まりました。同国におけるプロジェクトについては、法務省から検事2名(うち裁判官出身者1名)がアドバイザーとして継続的に派遣されており、平成27年から約10年間にわたって、主に知的財産法等のビジネス関連法に関する法制度整備支援活動が実施されてきました。新プロジェクトにおいても、私が主に担当する最高裁判所との関係では、知的財産法分野を中心とした裁判官向けの各種研修の実施や執務資料の作成といった法制度整備支援活動を継続しつつ、同国における裁判の予測可能性及び紛争解決機能の向上に向けた各種のワーキンググループ活動や研修等の実施を予定しています。

インドネシア共和国は、東南アジア最大規模の経済を有しており、日系企業も数多く進出している状況で、現地で生活をしていても日系企業を目にする機会は非常に多いです。他方、同国の投資環境には課題も多い状況で、法
・司法分野については透明性・予測可能性の向上等が課題として挙げられています。このような状況において、新プロジェクトでは、共同研究等を通じて、特に同国の経済に関連する法・司法サービスの向上を図り、ひいては同国のビジネス環境の改善を図ることを目的としています。

これらの成果は、一朝一夕では達成困難なものですが、現地の方々と協力をしながらプロジェクト活動を前に進めることで、同国のビジネス環境の改善を図り、これを通じて、インドネシア共和国の更なる発展に貢献できるよう力を尽くしてまいります。

インドネシア共和国最高裁判所

インドネシア共和国最高裁判所

司法研修所での商事裁判官資格付与研修における知的財産法に関する講義の様子

司法研修所での商事裁判官資格付与研修における知的財産法に関する講義の様子