5 平成19年4月1日以降の電子公証制度の概要について(Q&A)
電子公証制度の手続について定められている「指定公証人の行う電磁的記録に関する事務に関する省令」の一部が改正され,平成19年4月1日から新しい電子公証制度が導入されましたが,その概要について,Q&A形式で掲載します。
なお,本文中で使用している用語の意味について,次に記載します。
・ 電子公証事務を取り扱う公証人のことを,「指定公証人」という。
・ 電子公証制度における嘱託又は請求のことを,「嘱託等」という。
・ 「電磁的記録」については,電子定款を含む。
目次
Q&A本文
Q1 |
新しい電子公証制度では,どのような手続をすることができますか。 |
A1 |
新しい電子公証制度で利用可能な手続については,従前と変更はありません。具体的には,
・電磁的記録の認証の付与の嘱託(定款の認証を含む)
・日付情報の付与の請求
・情報の同一性に関する証明の請求
・同一の情報の提供の請求
のほか,電磁的記録の保存の請求をすることができます。各手続の概要については,こちらを参照願います。
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Q2 |
「指定公証人の行う電磁的記録に関する事務に関する省令の一部を改正する省令」は,いつ公布されたのですか。また,いつ施行されたのですか。
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A2 |
平成19年3月8日付けの官報で公布されました。また,これに関連する告示も同日付けの官報に掲載されました。施行日は,平成19年4月1日です。
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Q3 |
新制度における嘱託等について,主な変更点を教えてください。
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A3 |
現行制度では,公証人役場にデータを入力したフロッピーディスクを提出して嘱託等をしていただいていますが,新制度移行後は,原則として,法務省オンライン申請システムを経由して嘱託等を行っていただくこととなります。また,住民基本台帳の情報に基づいて発行される「公的個人認証サービス」における電子証明書が,新たに利用可能となります。
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Q4 |
公証人役場で書面による嘱託等をする場合の取扱いについて,変更点はありますか。
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Q5 |
現在,公証人役場にデータを入力したフロッピーディスクを提出して行っている嘱託等の方法は,新制度移行後は,利用することができなくなるのでしょうか。
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A5 |
利用することができなくなります。ただし,認証等を受けた電磁的記録を公証人役場で受け取られる際に,書面による同一の情報の提供の請求をする場合についてのみ,公証人役場の窓口で書面により請求することができます。
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Q6 |
新制度移行後,指定公証人が配置されている公証人役場について教えてください。
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Q7 |
新しい電子公証制度を利用するために準備することはありますか。
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A7 |
法務省オンライン申請システムを通じて嘱託等を行うためには,同システムのユーザ登録等の事前準備が必要になります。 詳細については,こちらに掲載しています。また,日付情報の付与の請求の手続を除いて,事前に一定の電子証明書(Q9参照)を取得しておくことが必要になります。また,法務省オンライン申請システムについての一般的なQ&Aは,こちらに掲載しています。
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Q8 |
これまでの電子公証制度では,法人が利用する場合には,法人代表者の電子証明書をあらかじめ公証人に登録して嘱託人IDを取得する必要がありましたが,新制度移行後は,このような登録作業は必要ありませんか。
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A8 |
必要ありません。ただし,法務省オンライン申請システムにおいてユーザ登録していただく必要があります。
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Q9 |
新しい電子公証制度で使用することができる電子証明書の種類は,どのようなものがありますか。
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A9 |
以下の6種類です。
(1) 商業登記に基づく電子証明書(電子認証制度を運営する電子認証登記所)
(2) AccreditedSignパブリックサービス2(日本認証サービス株式会社)
(3) ビジネス認証サービスタイプ1-G(日本商工会議所)
(4) 公的個人認証サービス(地方公共団体)
(5) 司法書士認証サービス(日本司法書士会連合会)
(6) MJS電子証明書サービス(株式会社ミロク情報サービス)
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Q10 |
電子署名を行う際に必要となるプラグインソフトについては,法務省オンライン申請システムのホームページで無償配布しているものを利用すれば,ほかに必要なものはありませんか。
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A10 |
公的個人認証サービス以外のカードタイプの電子証明書については,別途ソフトウェアが必要になります。
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Q11 |
従来の電子公証制度で使用することができたプラグインソフトは,新しい電子公証制度では使用することができなくなるのですか。
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Q12 |
使用することができるファイルの種類はどのようなものがありますか。
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A12 |
次のとおりです。
・電磁的記録の認証の嘱託→電子署名付きPDF形式
・日付情報の付与の請求→PDF形式,XML形式又はテキスト形式
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Q13 |
新制度で利用可能なPDFファイルのバージョンについて教えてください。
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A13 |
法務省オンライン申請システムで利用可能なバージョンであれば,電子公証制度でも利用可能です。法務省オンライン申請システムで利用可能なバージョンの情報については,こちらをご覧ください。
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Q14 |
嘱託等をすることができるデータの容量について教えてください。
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Q15 |
電子公証で行うすべての手続について,電子署名を付さなければならないのですか。
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A15 |
電子署名を付さなければならない手続は,次のとおりです。
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電磁的記録の認証の付与の嘱託(法務省オンライン申請システムで嘱託する際に電子署名を付す必要があるほか,認証を受けようとする電磁的記録(PDFファイル)にも電子署名を付す必要があります。
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・ |
情報の同一性に関する証明の請求
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・ |
同一の情報の提供の請求
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なお,日付情報の付与の請求については,電子署名を付す必要はありません。
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Q16 |
電磁的記録の保存の請求はどのようにするのですか。
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A16 |
法務省オンライン申請システムで嘱託等をする際,申請書のフォームに電磁的記録を保存するかどうかのチェックボックスがありますので,保存する必要があるときは,チェックしてください。 なお,チェックボックスにチェックされなかった場合には,嘱託手続等が完了した後,当該嘱託等のデータが保管されず,以後,同一の情報の提供の請求をすることができないこととなりますので,ご注意ください。
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Q17 |
新しい電子公証制度で,電磁的記録の認証の嘱託をする際に,併せて,認証を受けるデータの同一の情報の提供の請求をすることができますか。
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A17 |
できません。ただし,認証を受けた電磁的記録を公証人役場で受け取られる際に,書面による同一の情報の提供の請求を,公証人役場の窓口で書面によりすることができます。
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Q18 |
新しい電子公証制度で,代理人が嘱託等を行うことは可能ですか。
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A18 |
可能です。この場合の,電子署名の方法等については,以下のとおり(定款の認証の例)です。
(1 |
) 定款の作成手続及び公証人への定款の認証の嘱託手続の両方を会社等の法人の発起人の代理人が行う場合
この場合の代理人は,定款の作成名義人にほかなりませんから,PDFファイル(定款)に電子署名を行う(こちらのページの(4))とともに,法務省オンライン申請システムを通じて嘱託をする際にも,電子署名を行ってください(こちらのページの(12)~(14)。(4)で使用した電子証明書と同じ電子証明書を使用して差し支えありません。))。 |
(2 |
) 会社等の法人の発起人が定款を作成し,定款の認証の嘱託手続のみを代理人が行う場合 |
(1) |
会社等の法人の発起人全員で,PDFファイル(定款)に電子署名を行います(こちらのページの(4))。 |
(2) |
代理人が,法務省オンライン申請システムを通じて嘱託をする際の電子署名(こちらのページの(12)~(14))を行います。 |
また,代理権限の確認等は,嘱託等の後に公証人役場で行いますので,代理権限を証する書面等は,公証人役場で提出願います。
なお,日付情報の付与の請求は,付与を受けようとする情報を有する者であれば,請求することができるので,代理による必要はありません。
おって,法務省オンライン申請システムの代理申請についてご案内しているこちらのページについては,電子公証制度には該当しません。
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Q19 |
法務省オンライン申請システムで嘱託等をする際,複数人で電子署名(こちらのページの(12)~(14)(電磁的記録の認証の嘱託の例))を行うことはできますか。
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A19 |
電子公証制度では,複数人で電子署名を行う機能には対応していませんので,代表者の方が電子署名していただくことになります。代表者以外の方の確認については,公証人役場にお出でいただいた上で,公証人が直接行うこととなります。
なお,電磁的記録の認証の嘱託の際に付すPDFファイルへの電子署名(こちらのページの(4))については,複数人で行うことができますので,A18(2)(2)に記載のとおり,会社等の法人の発起人が定款を作成する場合には,発起人全員でPDFファイル(定款)に電子署名を行う必要があります(会社法 第26条第2項,会社法施行規則第225条第1項第1号及び同条第2項参照)。
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Q20 |
定款等公証人の証明を受ける電子ファイルのほかに,委任状等の電子ファイルを添付して嘱託等をすることができますか。
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A20 |
添付することができるファイルは,公証人が証明を付する情報に限定されますので,当該情報以外の情報を添付することはできません。
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Q21 |
法務省オンライン申請システムで嘱託等をした後に,公証人役場に出向く必要はありますか。
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A21 |
「電磁的記録の認証の嘱託」及び「同一の情報の提供の請求」をする場合には,公証人役場にお越しいただく必要があります。また,「日付情報の付与の請求」又は「情報の同一性に関する証明の請求」をする場合についても,手数料の納付等のため,原則として公証人役場にお越しいただく必要がありますが,詳細については,請求する公証人役場にご確認ください。
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Q22 |
新制度移行後も,電磁的記録の認証の際に必要とされている指定公証人の面前での陳述を実施するのですか。
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A22 |
電磁的記録の認証は,嘱託を受けた指定公証人がその公証人役場にお越しになった嘱託人の陳述を聞いて行うものですので,嘱託をした指定公証人の公証人役場までお越しいただく必要があります。
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Q23 |
新制度移行後の手数料の納付方法はどのようになりますか。
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A23 |
電子公証制度の手数料については,法務省オンライン申請システムのホームページに掲載されている,電子納付の方法を利用することはできません。原則として,公証人役場で手数料を納付いただくこととなりますが,納付方法の詳細については,嘱託等をする公証人に確認願います。
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Q24 |
法務省オンライン申請システムの利用方法を掲載しているホームページに,電子納付に関する説明がありましたが,新制度では,当該電子納付の方法を利用することができますか。
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A24 |
新しい電子公証制度は,ご質問の電子納付システムに対応していませんので,利用することはできません。
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Q25 |
指定公証人が認証などをした情報の交付を受ける際の媒体は,電子データですか。あるいは,書面ですか。
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A25 |
同一の情報については,電子データ又は書面の任意の方法で交付されますが,それ以外については,電子データで発行されます。
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Q26 |
指定公証人が認証などをした情報は,法務省オンライン申請システムを通じて送信されるのですか。
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A26 |
認証を受けた情報及び同一の情報については,公証人役場で取得していただきます。日付情報及び情報の同一性に関する証明を内容とする情報については,法務省オンライン申請システムを通じて取得します。
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Q27 |
電磁的記録の認証の嘱託又は同一の情報の提供の請求について,公証人役場でデータ形式で情報を受け取る際に,利用可能な電子媒体には,どのようなものがありますか。
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A27 |
フロッピーディスク,CD-R(記録速度4倍速以下に対応したメディア),CD-RW(記録速度4倍速以下に対応したメディア)及びUSBメモリ(USB Mass Storage Class準拠)があります。
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Q28 |
認証などがされた情報に付された指定公証人の電子証明書の有効性は,どのように確認することができるのですか。
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A28 |
法務省オンライン申請システムにより確認することができます。詳細については,こちらを参照願います。
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Q29 |
新しい電子公証制度に移行することに伴い,法人設立登記の申請手続で変更されることはありますか。
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A29 |
これまでは,法人設立登記の申請の際,添付情報として電子定款を提出する方法は,登記所の窓口に書面により提供を受けた認証ある電子定款と同一の情報又はデータにより提供を受けた認証ある電子定款と同一の情報を保存したフロッピーディスクを手交する方法しかありませんでしたが,新制度に移行後は,上記2つの方法に加えて,オンラインで申請する際に,電子定款のデータを添付して提出することができるようになります。
なお,電子定款のデータは,3つのファイルから構成されていますが,電子定款のデータを添付する際は,これら3つのファイルを含んだフォルダ(フォルダ名は,3つのファイルのうちの鑑文書(XMLファイル)と同じ名前にしなければなりません。)を添付することとなります。
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Q30 |
新しい電子公証制度に移行することに伴い,合名会社等の公証人役場で定款の認証を受ける必要がない法人の設立登記の申請手続について,変更点はありますか。
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Q31 |
指定公証人の認証を受けた電子定款であれば,平成19年4月1日より前に認証を受けた電子定款であっても,平成19年4月1日以降は,設立登記をオンラインで申請する際に,電子定款のデータを添付して提出することができるようになりますか。
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A31 |
オンラインで提出することができる電子定款は,平成19年4月1日以降に指定公証人の認証を受けた電子定款に限られますので,それ以前に認証を受けた電子定款については,書面で同一の情報の提供を受けるか,又はフロッピーディスクに同一の情報を保存して,登記所の窓口に提出していただくようお願いします。 なお,平成19年3月31日までに認証を受けた電子定款を,平成19年4月1日以降に設立登記の申請に添付して提出する場合には,制度の移行期における混乱を回避するため,書面により同一の情報の提供を受け,その書面を提出いただきますようお願いします。
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Q32 |
平成19年3月31日までに認証を受けた情報及び日付情報の付与を受けた情報について,平成19年4月1日以降は,情報の同一性に関する証明又は同一の情報の交付を受けることはできなくなるのですか。
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A32 |
できます。ただし,当該証明等の請求は,法務省オンライン申請システムによらずに公証人役場の窓口でしていただくこととなります。また,当該証明等は,書面の交付によってされることとなります。
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Q33 |
法務省オンライン申請システムのオンライン申請の画面に,電子公証関係の手続が表示されるのは,いつからですか。
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A33 |
改正省令施行後(平成19年4月1日)です。ただし,法務省オンライン申請システムの利用時間帯はQ34のとおりとなっており,実際に嘱託等をすることができるのは,平成19年4月2日からとなります。
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Q34 |
法務省オンライン申請システム及び電子公証システムの利用可能時間は,どのようになっていますか。
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A34 |
以下のとおりです。
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法務省オンライン申請システムの利用時間
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月曜日から金曜日(国民の祝日・休日,12月29日から1月3日の年末年始を除く。)の8時30分から20時までとなっています。詳細については,こちらを参照願います。
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電子公証システムの事務取扱時間
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月曜日から金曜日(国民の祝日・休日,12月29日から1月3日の年末年始を除く。)の8時30分から17時までとなっています(17時までに法務省オンライン申請システムを通じて嘱託等をされた場合であっても,同時刻までに公証人が所要の審査を完了していない場合には,認証又は日付情報の付与を受けた電磁的記録を当日中に交付することはできません。)。
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Q35 |
法務省オンライン申請システムの利用時間内ではあるが,電子公証システムの利用時間外である時間帯に,嘱託等をすることができますか。
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A35 |
嘱託等をすることはできますが,電子公証システムに記録される嘱託等を受けた日時は,翌日以降の電子公証システム利用可能時間となります。ただし,日付情報の付与の請求をされた場合に,日付情報の付与を受けた情報に表示される日時については,法務省オンライン申請システムで受け付けた日時が表示されることとなります。
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Q36 |
平成21年3月9日から法務省オンライン申請システムでMicrosoft Windows Vista(日本語版)でのサービスが開始されましたが,Vista端末で作成した文書の文字の字形について,留意点はありますか。
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A36 |
公証役場ではVista端末を使用していないため,文字の字形が異なって表示されることがあります。この場合,その異なって表示された字形で嘱託されたものとして審査されることになりますが,指定公証人が認証などをした情報の交付を受ける際には,原則として電子データで発行されますので(Q25),Vista端末では,もとの字形で表示されることになります。
このように,字形の表示が異なるのは,PDF文書を作成する際に,文字の表示がパソコンの環境に依存するためであり,フォントを埋め込んで作成するなどの方法により,文字の表示がパソコンの環境に依存しないよう作成されれば,どの端末でも同じ字形で表示されることになります。
なお,文字の表示がパソコンの環境に依存しないようにPDF文書を作成する方法については,ご購入いただいたソフトウェアのマニュアルを参照いただくか,販売元等のヘルプデスクにご確認ください。
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