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刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会(第271回)議事要旨


 
 日時
 令和元年11月14日(木)15:00

 

 審査件数
検討会付議件数 審査結果
処理案相当 再調査相当 処理案不相当
8件 8件 0件 0件

 

 意見その他
(1)  信書の受信を禁止した措置の取消しを求める再審査の申請について,「法務省意見相当」(信書の受信を禁止したことに違法又は不当な点は認められない。)との結論に至ったが,1名の委員から,「本件は,Bの実母Aから申請人に宛てた親書の受信が法128条により禁止された事案である。Bは受刑者であるため,申請人とBとの間の信書の発受は原則として法128条によって禁止されることになる。申請人とBとの間にAが介在し,Aの信書にBの情報が記載されている場合,申請人とAとの間の信書の発受についても法128条によって禁止するためには,同条が信書発受の相手方の属性に着目して禁止するものであることからすると,Aについても同条を適用するに足りる属性が認められるか,又は実質的に申請人とBとの間の信書の発受と同視できる場合でなければならないと考える。例えば,Aに申請人とBとの間の意思伝達を仲介しようとする意図が明確に存在する場合にはAにもその属性があると考えられるし,また,Aにはそのような意図はないものの申請人又はBに利用され,いわば道具として意思の伝達を図る場合には申請人とBとの間の直接の発受と同視できると考えられる。しかし,本件では,Aの信書にはBに関する記載はあるが,それは,Aにはその記載が問題であることの認識もなく,単にBに対する母親としての愛情から記載したものと理解される範囲に止まっており,それ以上に意図的にBの情報を申請人に伝達しようとするものとは考えにくい。また,申請人にもBにもAを利用して情報を伝達しようとしていると認められる事情も窺われない。本件信書の内容は,Bに関する記載を削除しても趣旨は不明となってしまうことはなく,残部だけでAの申請人に対する励ましや反省,更生を求める気持ちが十分に伝わるものとなっている。これらの諸事情を考慮すると,本件は法129条1項6号を適用し,信書の一部(Bに関する記載)の抹消に止めるべきであり,法128条により一律全面的に受信を禁止することは行きすぎであると考える。」との意見が述べられた。
 また,他の1名の委員から,「法務省の意見は相当とも思うが,被収容者は家族の手紙を唯一楽しみに待っている。まして本人の身内であれば尚更である。また,更生を手助けしてくれるのも家族(身内)だと思っている。法務省は,AとBとの仲を気にしているように受け止めたが,母親はそこまで深く考えてはいないように思われる。他意のない情報のせいで信書を差し止められ,むしろ逆にそのことによって疑いをかけられる。このようなことが制約となり,わずかな融通も利かないとなると,今後の被収容者が受ける感情が裏目に出るのではないかと懸念している。本件措置において,法128条を適用したのはもっともだと思うが,法129条に当てはめる事案はもう少し寛大に検討をして頂きたいと思う。」との意見が述べられた。
(2)  静穏室に収容された際,職員から腕を押さえつけられ,肘関節等を負傷させられる違法な有形力の行使を受けたとする法務大臣に対する事実の申告について,「法務省意見相当」(身体に対する違法な有形力の行使は認められない。)との結論に至ったが,1名の委員から,「被収容者は精神障害が疑われており,精神障害と関連する言動のため静穏室へ収容されている。静穏室への収容それ自体に違法性はないと思われるが,静穏室は非日常的な空間であり(だからこそ収容が1週間を超える場合は診察が義務付けられている),収容後医療スタッフがまったく観察に行っていないのは医療体制として疑問が残る。医療スタッフが様子を確認していないため,結果的に今回の被収容者の訴えについても確認が一切なされていないことになってしまったと思われる。」との意見が述べられた。