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刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会(第276回)議事要旨


 
 日時
 令和2年2月27日(木)15:00

 

 審査件数
検討会付議件数 審査結果
処理案相当 再調査相当 処理案不相当
10件 9件 1件 0件

 

 意見その他
(1)  書籍等の閲覧を禁止された措置の取消しを求める再審査の申請について,「法務省意見相当」(書籍等の閲覧を禁止したことに違法又は不当な点は認められない。)との結論に至ったが,複数の委員から,「審査の申請又は再審査の申請に係る裁決書においては,『本件書籍の内容,申請人の資質及び環境の調査の結果等を考慮すれば,本件書籍の閲覧を許すことにより,申請人の矯正処遇の適切な実施に支障が生ずるおそれがある』,『本件雑誌の内容に加え,申請人の資質及び環境の調査の結果等をも考慮すれば,申請人が本件雑誌を閲覧することにより,その矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれがある』という抽象的な理由付けをするだけに止まらず,申請人のどのような『資質』及びどのような『環境』に照らして『矯正処遇の適切な実施に支障を生ずる』ことになりうるのか,可能な限り具体的に説明すべきである。また,裁決書の理由において論じられるべき事柄が必ずしも明確に論じられていないという不備がある。本件では,管区長に対する審査の申請段階で,申請人が,他の受刑者は閲覧できているのに自身は閲覧禁止になるのは不当な差別ではないかと主張しているところ,管区長の裁決は,『本件書籍の内容,申請人の資質及び環境の調査の結果等』を考慮して判断するのみであり,同様に,法務大臣に対する再審査の申請段階でも,申請人が,同部屋の他の受刑者が同じ本を閲覧許可になっているのに自身が閲覧禁止になった根拠については触れられていないと主張しているところ,法務省意見は,『本件雑誌の内容に加え,申請人の資質及び環境の調査の結果等』を考慮して判断するのみである。このような理由では,本件書籍が刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(以下「法」という。)70条1項2号の『矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれがある』という要件の該当性しか判断していないことになろう。申請人は,審査の申請段階でも,再審査の申請段階でも,法70条1項2号該当性とは別にいわゆる平等原則に違反するとの主張もしていたのであるから,本件措置が平等原則に違反するものではないことについても判断し,この点について裁決書の中で明確に説明すべきである。平等原則違反の点は,『申請人の資質及び環境の調査の結果等をも考慮』との理由付けにおいて言及されているという反論もあるかもしれないが,前述のように,こうした理由付けは抽象的な説明でしかなく,平等原則違反の点について具体的に論じていると文面自体から明確に理解できるものではない。ともあれ,申請人が法70条1項2号該当性以外の別個の違法主張をしている場合においては,裁決書において当該別個の違法主張に対して明確に応答する裁決理由の記載を行うべきである。」との意見が述べられた。
(2)  自力で歩行できないにもかかわらず,職員により居室から引きずり出され,静穏室に収容されたとする法務大臣に対する事実の申告について,「法務省意見相当」(身体に対する違法な有形力の行使は認められない。)との結論に至ったが,大多数の委員から,「職員が,申告人の両腕をつかむなどして居室から出室させ,申告人の左腰部付近をつかむなどして連行を開始し,連行途中,更に申告人の右腰部付近及び両足をつかむなどして静穏室まで連行した行為は,極めて不適切である。本件の静穏室収容の前日,申告人は,背中の痛みを訴えて医務室を来訪し,医師は湿布薬を処方しており,当日午前も申告人の背部の痛みは継続していた。このような状況において,申告人が居室扉をたたいたのは,医師か看護師を呼んでもらうため,背中の痛みのため立ち上がって報知器を押すことができないことから,やむを得ず居室扉を叩いたのではないかとも考えられる。居室扉を叩いた申告人に対して最初に対応した刑務官は,申告人の身体の状況や申出内容をもう少し十分に確認すべきではなかったか。静穏室収容を指揮した監督当直者についても同様である。監督当直者は,申告人が自ら歩行しなかったと認定しているが,居室内でうずくまっている申告人の状況を十分に観察するなら,申告人の何らかの身体状況の不調のため立ち上がることができない状態であることも推察することができたのではないか。しかし,こうした観察や申告人に対する問いかけは,十分に行われていない。監督当直者の指揮により,居室棟の3階にある申告人の居室から,1階にある静穏室までの連行が開始されるが,連行途中,申告人は終始,背中や腰の痛みを強く訴えている。その訴えは決して詐病とはとれない真摯なもののようにうかがえる。このような場合,申告人の連行に当たっていた監督当直者等は,申告人の訴えに少なくとも一度は耳を傾けるべきではなかったか。申告人の身体の状態にほとんど何の配慮もせず,申告人に対して,有無を言わせずに,健常な被収容者に対するのと同様の通常の連行行為を行ったことは,極めて不適切である。
 申告人のように,身体に痛みを抱えている被収容者を連行するに当たっては,車椅子を使用するなどの配慮をすべきであった。また,腰部ヘルニアという症状を抱える申告人は歩行も困難であると推察されるが,そうした歩行に困難を伴う身体状況にある被収容者を居室棟3階の居室に割り当てることも問題であろう。
 さらに,腰部ヘルニア,背部痛という症状のある申告人の身体状況について医務と居室担当の刑務官との連絡や連携が十分に取れていないことも問題である。医務から,申告人の病状について事前に十分な情報が伝達されていれば,また,医務からの情報伝達を受けて居室担当の刑務官が申告人の病状について事前に十分に把握していたならば,今回のような極めて不適切な連行は回避できたはずである。」との意見が述べられた。
 また,1名の委員から,「診療録の記載によれば,本件連行の4日後には申告人の症状が増悪し,鎮痛剤が追加投与され,その3日後には申告人は痛みのほか両下肢のしびれも訴えており,さらにその2日後には診察室に車椅子で来室している。このような申告人の症状の増悪は,もとの症状に加えて増悪した分だけ新たな障害が発生したものと考えることができるのであるから,これと本件連行との間に因果関係があり,かつ,連行した職員にその予見可能性があれば,車椅子も使用せずに健常者と同様の方法で行った本件連行は「極めて不適切」にとどまらず「違法」と言わなければならない。」との補足意見が述べられた。