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刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会(第196回)議事要旨


 
 日時
 平成27年8月6日(木)15:00

 

 審査件数
検討会付議件数 審査結果
処理案相当 再調査相当 処理案不相当
11件 9件 1件 1件

 

        
 処理案不相当案件に係る検討会の提言
(1)  提言
 刑事施設収容中の死刑確定者から提出された書籍の閲覧禁止措置の取消しを求める再審査の申請については,処分庁が閲覧を禁止すべきと判断した部分は本件書籍の一部にとどまるのであるから,当該部分を抹消又は削除した上で閲覧することに同意するか否かを事前に申請人に確認した上で措置の要否を検討することが相当であるのに,これらの手続を執ることなく当初から全体の閲覧を禁止した点において不当であり,理由があると認められる。このため,本件禁止措置は取り消した上で,改めて措置をやり直すことが相当であるが,本件書籍は他の者へ交付(宅下げ)され,現時点において取り消すことができないことに鑑み,今後,申請人に本件各書籍又は同様の書籍が差入れ等された場合には,本提言を尊重して対応することを求める。
 なお,委員2名により,本件書籍の閲覧を禁止した措置は相当との少数意見が付されている。
(2)  提言の理由(要旨)
 本件書籍の一部に,申請人に閲覧させることが相当でないと認める記述があるとの処分庁の判断については一応是認できるとしても,本件閲覧禁止措置については,以下に記載のとおり不当と言わざるを得ない。
 ア 法第70条は,書籍等について抹消又は削除の措置を規定していないが,その趣旨はこれらの措置を執ることにより被収容者の財産的価値を損なうことが考慮されたものであるから,閲覧禁止部分が一部にとどまる場合には,当該部分を抹消又は削除した上で閲覧することに同意するか否かを事前に被収容者に確認することが相当である。特に,申請人は死刑確定者であるところ,書籍全体の閲覧禁止措置が執られた場合には,将来にわたって当該書籍を閲覧する機会を失うことにもなりかねないのであるから,書籍の財産的価値を重視して,閲覧を広く制限することは相当でない。
 イ 本件書籍のうち,閲覧禁止部分が散在していること等の事情から抹消又は削除に係る事務負担を軽視できないことは理解できるが,例えば,閲覧禁止部分が記述されたページ全体を抹消又は削除するなど,より事務負担の軽い方法も考えられるところであり,書籍全体の閲覧を禁止する理由として説得的ではないと考える。
 ウ 本件書籍の閲覧禁止措置と同種の措置について申請人が提起した国家賠償訴訟において,高等裁判所判決を含め,国勝訴の判決が複数存在しているものの,いずれもいわゆる本人訴訟である上,同一の裁判体において審理された事案が多く,また,法の施行後,申請人以外の者が提起した同種裁判例が見当たらないこと等の事情に照らせば,本件再審査の申請の判断において,これらの裁判例における判断を重視すべきではない。
 エ 申請人が提起した各訴訟については,措置の取消しを求めるものではなく,国家賠償を求めるものであり,国家賠償法上の違法がないとの判断をするに際して処分庁が執った措置を是認した裁判所の判断について,それほど重視すべきではないと考える。
 オ 死刑確定者が自身の受ける刑罰に真摯に向き合うことは重要であるため,死刑確定者が刑の執行に真摯に向き合うに当たって身近な者が差し入れた死刑に関する書籍の閲覧を制限することには疑問がある。もっとも,申請人の状況からすると,そのような真摯な態度ではないことがうかがわれると思われる。ただ,閲覧を制限するに際しては,できるだけ最小限にとどめるべきであり,直ちに閲覧禁止とした措置については不当と考える。
(3)  少数意見(要旨)
 以下に述べるとおり,本件閲覧禁止措置に違法又は不当な点は認められない。
 ア 本件閲覧禁止処分については,過去に当検討会において法務省意見相当との結論を示した案件と同種であるところ,申請人が過去に自殺を企図したことがあること等の事情も踏まえると,申請人が本件書籍を閲覧することにより,突発的に自殺・自傷行為に及ぶなど,施設の規律及び秩序の維持を害する結果を生ずるおそれがあると認められ,処分庁が法第70条第1項第1号の規定に基づき閲覧を禁止することが相当との判断に違法又は不当な点は認められない。
 イ 法第70条は,書籍全体の閲覧を許すか禁止するかの二者択一であり,書籍等の抹消又は削除の措置は,いわば処分庁の恩恵的な措置と考えられるから,抹消又は抹消の措置を執らなかったからといって,それをもって閲覧禁止措置が違法又は不当になるものではない。
 ウ 本件書籍には,処分庁が閲覧させるべきではないと判断した部分以外にも,閲覧をさせることが相当ではない内容が記載されていると考えられるところであり,本件書籍の閲覧を禁止した措置は相当である。
 エ 本事案を不相当として閲覧許可となれば,今後閲覧を求める同種の事案が続出し,閲覧した被収容者の中には自殺を企図するまでに至るというリスクを,施設として回避することが甚だ困難となり,刑事施設の規律及び秩序の維持を害する結果を生ずるのはもとより,死刑という本来の趣旨から大きく逸脱することとなるのではないかという危惧を抱かざるを得ない。

 

 再調査相当意見
    懲罰の取消しを求める案件について,申請人は,作業をしたくてもできない身体状況にあったと述べているところ,反則行為を行った当時や現在の申請人の身体状況について確認されたい。

 

 意見その他
    食器口扉を勢いよく閉められ,その際に,同扉に掛けていた手指を挟まれて負傷した旨申告する案件について,委員の1名から,「申告人の主張と職員の主張とが真っ向から対立しているところ,「負傷させたとの事実は認められない。」という説明は,事実がなかったという意味にしかとれないので,事実の有無を証明できない以上,「たとえ外傷を生じたとしても違法性はない。」というような通知をすべきである。」との意見が述べられた。