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刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会(第221回)議事要旨


 
 日時
 平成28年11月10日(木)15:00

 

 

 審査件数
検討会付議件数 審査結果
処理案相当 再調査相当 処理案不相当
10件 10件 0件 0件

 

 意見その他
    自弁の書籍の閲覧を禁止された措置の取消しを求める再審査の申請について,「法務省意見相当」(閲覧を禁止する措置を執ったことに違法又は不当な点は認められない。)との結論に至ったが,委員の2名から,以下のとおり反対意見が示された。
 「憲法21条1項は,個人の思想や人格の形成・発展と民主主義社会における思想及び情報の自由な伝達,交流の確保のために,何人にも「一切の表現の自由」を保障しているところ,その派生原理として,知る権利が保障されている。これを前提として,刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律69条は,被収容者が新聞紙等を含む「自弁の書籍等」を閲覧することは,同法第8節(書籍等の閲覧)及び第12節(賞罰)の規定による場合のほか,これを禁止し,又は,制限してはならないと規定している。その例外として,同法70条1項1号は,刑事施設の長は,被収容者が自弁の「書籍等」を閲覧することにより,刑事施設の規律及び秩序を害する結果を生ずるおそれがあるときに該当する場合には,「その閲覧」を禁止することができると規定しているところ,本件は,死刑確定者に差し入れられたパンフレット中の「行刑のイメージ図」の部分(本件閲覧禁止部分)が,同条同項同号の「刑事施設の規律及び秩序を害する結果を生ずるおそれがあるとき」に該当すると判断したうえで,申請人が閲覧禁止部分の抹消に同意しなかったことから,処分庁は,本件パンフレットの閲覧を禁止する措置(本件措置)を執ったものである。
 同法70条1項1号を死刑確定者に適用するに当たっては,「心情の安定は,死刑確定者本人の内心の問題であって,基本的に強制するような事柄ではなく,換言すれば,心情の安定を図ることを理由に,死刑確定者に保障されるべき権利を制限することは適当ではないと考えられ,この法律では,心情の安定を害するおそれを理由に,自弁の書籍等の閲覧を禁止することはできないものと解されている」(林真琴ほか『逐条解説刑事収容施設法』(有斐閣))し,同様の趣旨から,死刑確定者には,受刑者にかかる同法70条1項2号のような「その矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれがあるとき」との閲覧禁止規定が設けられなかったものと解される。
 加えて,最高裁判所昭和58年6月22日大法廷判決は,未決拘禁者について,「(閲覧の自由の)制限が許されるためには,当該閲覧を許すことにより右の規律及び秩序が害される一般的,抽象的なおそれがあるというだけでは足りず,被拘禁者の性向,行状,監獄内の管理,保安の状況,当該新聞紙,図書等の内容その他の具体的事情のもとにおいて,その閲読を許すことのより監獄内の規律及び秩序の維持上放置することのできない程度の障害が生ずる相当の蓋然性があると認められることが必要であ」ると判示しており,最高裁判所平成10年4月24日第二小法廷判決は,上記最高裁大法廷判決の趣旨に徴して,既決拘禁者についても,未決拘禁者と同様の判断基準を踏まえて新聞紙及び機関紙の記事の一部抹消の憲法適合性を判断している。このような先例に徴すると,死刑確定者についても,法70条1項1号の解釈適用においては,「その閲読を許すことにより刑事施設の規律及び秩序を害する結果を生ずるおそれ」について「放置することのできない程度の障害を生ずる相当の蓋然性があると認められることが必要である」と解される。
 それゆえ,特段の事情のない限り,死刑確定者の知る権利を尊重すべきであるとの観点から「例えば,死刑の執行方法が具体的に記載された書籍など,死刑確定者が閲覧することにより精神的苦悩を深めることとなるものは,その者が心情の安定を得られるようにすることに留意すべきである以上,権利の制約にわたらない限りで,閲覧しないように助言する配慮は必要である」(前掲書)という限定的な措置にとどまるよう解されている。
 これを本件についてみるに,申請人に差し入れられたパンフレット中の「行刑のイメージ図」を申請人に閲覧を許すとしても,申請人にかかる具体的事情のもとにおいて,死刑と向き合うことと行刑をイメージとして知ることとは直接には結びつかないものの,当該申請人にかかる刑事施設の規律及び秩序を害すると認めるに足りる申請人の心情安定を害する相当の蓋然性があるとは認められないものと解される。」