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刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会(第223回)議事要旨


 
 日時
 平成28年12月8日(木)15:00

 

 審査件数
検討会付議件数 審査結果
処理案相当 再調査相当 処理案不相当
13件 12件 1件 0件

 

 意見その他
    大きな声を発した事実がないにもかかわらず,不当に保護室に収容されたとする法務 大臣に対する事実の申告について,「法務省意見相当」(申告人が刑務官の制止に従わず大声を発したことが認められ ,同所の規律及び秩序を維持するためには申告人を保護室に収容することが特に必要であったものと認められる。)と の結論に至ったが,委員の1名から,以下のとおり,反対意見が示された。
 「本件は,刑務官の制止に従わず大声を発したことにより申告人を保護室に収容した点において争いはないが,それ に至る過程,特に朝食時間における職員の対応に問題があり,不当な権限行使が認められる。
 申告人は,精神疾患の状態にあるところ,本件においては,朝食時間において,申告人が主食の量が少ないので検量 してほしい旨を述べた。このため,職員らは申告人に対し,その必要はないことを告げ,朝食時間を過ぎているため喫 食しないのであれば食器を提出するよう指示したが,申告人は,なおも主食の分量を計測するよう繰り返し要求したこ とが端緒となっている。
 しかし,申告人の病状に照らすと,担当職員らにおいて申告人の主食を検量しなかったことは,障害者の権利に関す る条約4条及び5条の趣旨に照らし,適正な裁量権行使とはいえない。
 障害者の権利に関する条約4条においては,締結国の一般的義務として,障害に基づく差別もなしに,全ての障害者 のあらゆる人権及び基本的自由を完全に実現することを確保し,及び促進することを約束しており,5条3項において は,締約国は,平等を促進し,及び差別を撤廃することを目的として,合理的配慮が提供されることを確保するための 全ての適当な措置をとることが求められている。この条約は,刑事施設にも適用があるから,「非差別の原則が実践さ れるために,刑事施設当局は,被拘禁者の個人的なニーズ,とくに刑務所の環境においてもっとも脆弱な範疇の被拘禁 者のニーズを考慮する」ことが求められる。
 本件では,申告人は,「主食」と「みそ汁」以外については喫食していたのであり,主食についても「食べたいんで す。食べさせてください。」とも繰り返し述べていたのであるから,その病状に照らし,精神障害者ではない者と区別 して,申告人についてのみ特別の事情があるものとして,主食の分量を計測すべき事例であったと判断する。
  しかしながら,主食の検量をしなかったことを端緒として,刑務所の制止に従わず大声を発することにより申告人を 保護室に収容した点において,障害者の権利に関する条約4条及び5条に違反する裁量権の逸脱濫用があったものとし て,不当な権限行使であると判断する。」