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刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会(第249回)議事要旨


 
 日時
 平成30年6月21日(木)15:00

 

 審査件数
検討会付議件数 審査結果
処理案相当 再調査相当 処理案不相当
8件 7件 1件 0件

 

 意見その他
(1)  信書の受信を禁止した措置の取消しを求める再審査の申請について,「法務省意見相当」(信書の受信を禁止したことに違法又は不当な点は認められない。)との結論に至ったが,1名の委員から,以下の補足意見が述べられた。「本件は,申請人に対する信書の受信を刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(以下「法」という。)第128条に基づいて禁止する際に,処分庁がその禁止の理由及び根拠条文を申請人に告知しなかった案件である。当局は,法の規定に基づく不利益処分については,行政手続法第14条(不利益処分の理由の提示)が適用されるものではないが,同条の趣旨が,行政庁の判断の慎重と合理性を担保して恣意を抑制すること,処分の理由をその名あて人に知らせて不服申立の便宜を与えることにあるとされている(最判平成23年6月7日)ことに鑑みて,法に基づいて行う受刑者に対する不利益処分についてもその趣旨を最大限尊重すべきであるとの認識に立ち,不利益処分を執った理由及び根拠条文を告知する運用を周知してきたものである。上記周知は平成24年以降数回にわたって協議会等において口頭または事務連絡として発出しているだけで,訓令や通達のような形式をとっておらず,また,その周知の内容も公表していないことに照らせば,処分庁が不利益処分の理由と根拠条文を示さなかったことをもって直ちに違法又は不当とまでは言えない。しかし,当局の周知は,前記最判と行政手続法第14条の趣旨を踏まえて不利益処分の理由等を告知することを徹底しようとするものであって評価に値するものであるから,今後は,当局の周知を訓令又は通達として行政法規化すること及びその公表を行うことが望ましい。」
(2)  書籍の閲覧を禁止された措置の取消しを求める再審査の申請について,「法務省意見相当」(書籍の閲覧を禁止したことに違法又は不当な点は認められない。)との結論に至ったが,1名の委員から,以下の反対意見が述べられた。「本件は、法第70条に基づいて書籍の閲覧を禁止したものであるが,書籍の閲覧は,知る権利として憲法第21条によって保障されるものであるから、受刑者についても最大限に尊重されなければならない。最判昭和58年6月22日は,未決勾留のケースで,旧監獄法及びその施行規則による制限であるが,『新聞紙,図書等の閲覧の自由を監獄内の規律及び秩序維持のため制限する場合においては,具体的事情のもとにおいて当該閲読を許すことにより右の規律及び秩序の維持上放置することのできない程度の障害が生ずる相当の蓋然性があると認められるときに限り,右の障害発生の防止のために必要かつ合理的な範囲においてのみ閲読の自由の制限を許す旨を定めたもの』と判示している。かかる判旨は受刑者についても妥当すると考えられる。法も,被収容者が自弁の書籍を閲読することは本来的に自由であるとの認識に立ち,法第69条では権利としてこれを保障している。これを本件についてみると,記録上,上記最判の規制の基準に該当する事実の存否が明らかとは言えない。これが明らかにされないかぎり,書籍等の閲読禁止は原則として許されないと考えざるを得ない。本件の書籍は,犯罪学及び刑事政策等の研究者の著書であり,受刑生活を送った者からの聴取内容を紹介したものである。刑務所内での禁止行為を行う方法の記載などはあるものの,それは,受刑者を徒に刺激するなどして,刑事施設における規律及び秩序の維持を害する相当の蓋然性のある内容とは考えにくい。むしろ,受刑経験者の反省や努力,更生のための組織があることを知ったことなど,有益な記述も多い。本件書籍に不適当な記述があるとしても,被収容者の同意を得てその部分を抹消して閲読を許可することも可能であるから,その手続も経ずに書籍の閲読を全面的に不許可とするのは手続き上も問題がある。これらの事情と上記判例の基準を総合すると,法務省意見を相当と判断することは困難である。」