検索

検索

×閉じる
トップページ  >  政策・審議会等  >  省議・審議会等  >  検討会等  >  刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会 >  刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会(第255回)議事要旨

刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会(第255回)議事要旨


 
 日時
 平成30年10月25日(木)15:00

 

 審査件数
検討会付議件数 審査結果
処理案相当 再調査相当 処理案不相当
9件 9件 0件 0件

 

 意見その他
(1)  指名医による診療を不許可とされた措置の取消しを求める再審査の申請について,「法務省意見相当」(指名医による診療を不許可としたことに違法又は不当な点は認められない。)との結論に至ったが,2名の委員から,以下の意見が述べられた。「本件は,申請人が,他の受刑者から暴行を受けて下顎骨骨折の傷害を負ったため,その約1か月後,外部病院で観血的整復固定術を受けたが,その後も咬合不良や歯の痛みがあったことから歯の矯正治療を受けるために指名医による診療を申請した案件である。再調査の結果,上記固定術を受けてから約1年半後,他の刑事施設の歯科(口腔外科)医師の診察では咬合状態に特に問題は認められないとされていること及び当所歯科医師によれば,当所においても歯列矯正を実施することは不可能ではないとされていることからすると,指名医制度を利用する要件に欠けると考えられるから,法務省意見は相当と考える。しかし,申請人は現在でも噛み合わせの不具合や歯の痛みを訴えているのであるから,当所においては引き続き慎重に経過観察を行い,現在使用しているマウスピースだけで十分な改善が認められない場合は,他の治療方法や外部病院での診療を検討すべきである。また,当所歯科医師によれば,「日常生活に支障が生じるような,重大な後遺症が生じることは想定しにくい」とされているが,本件では骨折を伴う負傷であることや申請人の現在の自覚症状に照らせば,将来的にも局部の痛みやしびれなどの神経症状が残り,それが後遺症に該当する可能性もあると考えられるから,後遺症についても慎重に経過観察を行うべきである。」
(2)  静穏室において,17回にわたり職員から集団で暴行を受けたとする法務大臣に対する事実の申告について,「法務省意見相当」(身体に対する違法な有形力の行使は認められない。)との結論に至ったが,1名の委員から,「申告人は,職員が静穏室の扉を閉めようとすると,同室出入口付近に素早く移動して同室外に手や足を出すなどして扉を閉めるのを妨害する行為を繰り返しているため,職員が,申告人の抵抗を抑止し,その間に扉を閉めて退室するという対応を繰り返しているが,その際,申告人が着用していた下着を下げて足首に掛けて抵抗を抑止するという方法を用いている。申告人は女性であり,制止には直接加わっていないとしても男性職員が居合わせていたことを踏まえると,自傷,他害等を防止する緊急性が認められない事情の下でのこのような制止は,申告人のしゅう恥心に対する配慮を欠いたものとして,違法と評価され得ると考える。申告人が下着しか着用しておらず,他の方法による制止ができないというのであれば,シーツ等で下半身を覆うなどして,しゅう恥心に配慮すべきであった。申告人が自ら下着を脱ぐに至っている場合にも,同様な配慮が望ましいと考える。」との反対意見が述べられた。    
 また,他の1名の委員から,「本件は当該受刑者の度重なる規則違反に対して職員がやむを得ず対応しているものであり,それ自体は法務省意見相当であると考えられる。しかしながら受刑者,とりわけ女性受刑者の下着を脱がせるのは自尊心を深く傷つける行為であって不適切な処遇であると言わざるを得ない。当該受刑者の安全を確保しつつ職員が部屋から出ていくのに相当の苦労・苦心をしていることは承知しているが,それを勘案してもなお個人の下着を脱がせる行為は許容できるものではないと考える。なお当該受刑者の処遇をめぐっては同様のことが繰り返されており,食器口のデザインの工夫等により事態を改善できる可能性があるのではないだろうか。受刑者間の公平性の担保は必要であろうが,当該受刑者は明らかに精神的に健常とは思われない。個別的処遇や居室の構造等に関して個別的な配慮をすべきものと思われる。」との意見が述べられた。