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刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会(第260回)議事要旨


 
 日時
 平成31年2月7日(木)15:00

 

 

 審査件数
検討会付議件数 審査結果
処理案相当 再調査相当 処理案不相当
9件 9件 0件 0件

 

 意見その他
    信書の発信を差し止められた措置の取消しを求める再審査の申請について,「法務省意見相当」(信書の発信を差し止めたことに違法又は不当な点は認められない。)との結論に至ったが,1名の委員から,以下のとおり,意見が示された。「信書の発信を差し止める本件措置は,刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(平成17年法律第50号)(以下「法」という。)129条1項6号の規定に基づき執られたものであるが,裁決庁は本件措置を実質的には法128条の規定に基づいて執られた措置であると解して裁決をしようとしている。しかしながら,こうした対応は不当である。その理由は以下の通りである。法129条1項6号の規定に基づく差止処分と法128条の規定に基づく禁止処分とではその趣旨や効果が異なっている。前者は,信書の内容の是非に着目した処分であり,後者は信書発受の相手方の属性に着目した処分である。法129条1項6号の規定による信書発信の差止と法128条の規定による信書発信の禁止とでは,発信しようとしている信書の全体の発信を許さないという点では同じ機能を持つが,爾後に及ぼす効果が違っている。すなわち,法129条1項6号の規定による差止め措置が執られた場合には,申請人が爾後に同じ相手方に新たに信書を発信しようとするとき,当該新たな信書の内容について法129条1項各号に該当する事由があるかどうかについて改めて判断して当該信書の発信の差止等の可否を決することになるのに対して,法128条の禁止措置が執られた場合には,申請人が爾後に同じ相手方に新たに信書を発信しようとするとき,当該新たな信書の内容において法129条1項各号に該当する事由がなくても,基本的に,当該信書の発信は許されないことになる。この点において,法129条1項6号の規定による差止処分と法128条の規定による禁止処分とでは,一般に,後者の方が受刑者にとってより不利益な措置といえる。したがって,不服申立てを受けた裁決段階において,係争処分を法129条1項6号に基づく処分から法128条の規定に基づく処分に転換することは,一般に,不利益な変更に該当する。ところで,法161条2項の規定によって準用される行政不服審査法(平成26年法律第68号)48条が定める不利益変更禁止の原則は,同条の明文上,同法46条1項の場合,すなわち,認容裁決の場合に妥当する原則である。しかしながら,行政不服審査制度が行政統制よりも行政救済を重視していることからすれば,不利益変更禁止の原則が妥当するのは必ずしも認容裁決の場面にのみ限定する必要はないものと解される。そうすると,行政不服審査制度の一環である法が定める不服申立ての制度においても,棄却裁決の場面でも不利益変更禁止の原則は最大限尊重されるべきであろう。したがって,本件におけるように,係争処分を法129条1項6号の規定に基づく処分から法128条の規定に基づくより不利益な処分に転換して維持しようとすることは,行政救済制度のあり方として好ましいものではなく,不当である。また,本件で裁決庁が行おうとしている棄却裁決の実質からしても,裁決庁の対応は不当である。法129条1項6号の規定による差止処分を不服申立ての裁決段階において法128条の規定による禁止処分に転換することは,法129条1項6号の処分としては維持できないという判断を前提にしている。この点では不服申立ての認容裁決の実質を持っているといえる。そうすると,法128条の処分であったとして本件措置に違法性はないとする棄却裁決は,その判断過程において法129条1項6号の規定に基づく処分としては維持できないとの判断を前提としており,請求認容の判断の実質が含まれているので,その点において行政不服審査法48条の不利益変更禁止の原則が働く余地がある。このような点からしても,係争処分を法129条1項6号の規定に基づく処分から法128条の規定に基づく処分に転換して維持しようとすることは,不利益変更禁止の原則に抵触する可能性があり,不当である。」
 また,他の1名の委員から,以下のとおり,意見が示された。「法129条及び法128条の措置が,受刑者の矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれの存在を認定して執られる場合には,両条は利益・不利益の関係に立つものではないと考える。当該受刑者にとっては,不利益処分と受け取る側面も有しているが,受刑者の改善更生に必要な限度において執る措置であるから,受刑者の真の利益に反しているとはいえない。法128条は,信書の発受において刑務所外の犯罪性のある者等との接触を断って,受刑者をその影響から守るという趣旨を持つものであるから,その相手方に係る要件の存否については,個々の事例において常に慎重に判断されなければならないことはいうまでもないが,要件があることを認めたときは,受刑者の矯正という利益のために法128条を適用すべきである。処分庁が誤って法129条を適用したときのみならず,法129条に基づく措置として適法と評価される場合であっても,審査庁の職権による調査の結果新しい証拠資料によって法128条の要件があることを認めたときは,法128条を適用すべきであると考える。」