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刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会第292回議事要旨


 
 日時
 令和3年2月25日(木)

 

 審査件数
検討会付議件数 審査結果
処理案相当 再調査相当 処理案不相当
10件 9件 1件 0件

 

 意見その他
  発信書の一部を抹消された措置の取消し求める再審査の申請について,「法務省意見相当」との結論に至ったが,以下のとおり調査検討会としての意見が付された。
  本件の場合,審査庁は,原処分たる上記措置の根拠規定は刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(以下,「刑事収容施設法」という。)第129条第1項第6号ではなく,実質的には刑事収容施設法第128条ただし書である,としている。確かに,両者の処分要件の一部には,同じ文言である「受刑者の矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれ」が使われている。ただ,処分庁が根拠法条を特定して処分を行った以上,審査請求や再審査の請求は,通常,その法条との関わりにおいて論じられるべきであるのは確かである。そうでなければ,当初における根拠法条の特定は意義を減じられ,また,審査請求をなす者としては,いわば後から争いの的を外されたに近いこととなる。おそらく,現場の感覚としては,行政手続法第8条の理由提示要件が適用されない処分案件につき,根拠法条の特定が必須とはされず(あるいは,困難な諸案件に逐次対応を迫られる実情から),また,正当に特定の法条に基づいて立論する申請書は必ずしも多くはない,という実情から,処分時に,個別具体の案件に最も適合的な法条を特定するステップが,必ずしも重視されないのではないか,と推察する。そうであれば,今後,改善を要する事柄であろう。
  また,刑事収容施設法第161条第2項及び第162条第3項で準用される行政不服審査法第48条は,本案件のように,審査庁や再審査庁が処分庁の上級庁である場合について,「審査庁は,審査請求人の不利益に当該処分を変更……することはできない」と定める。この規定は,審査庁が処分庁の上級庁である場合に「当該処分を……変更する裁決」(行政不服審査法第46条第1項)ができることに対応したものである。刑事訴訟法第402条と同様,救済手続については当然のことを確認したものである。そして,ここにいう「変更」は,上級庁としての立場から,審査請求の趣旨の範囲内で,新しい処分をすることと解されている。一般には,許可取消処分を取り消す認容裁決において,許可停止処分に変更する等の例が典型であろう。本件の場合は,刑事収容施設法第129条第1項第6号と第128条とでは,それぞれの要件だけでなく,以後の通信上の処遇にも違いを生じるのであり,原処分の結論自体には変更がないにせよ,根拠法条の差替えには相応の具体的根拠付けが必要であろう。本件についての法務省の見解は,原処分が刑事収容施設法第129条第1項第6号に基づくものであっても違法とは言えない,というものである。そうであるならば,本件は同条項に基づく処分として維持し,根拠法条としては刑事収容施設法第128条ただし書きが適切であることを付言すれば足りるのではないか。根拠法条を受刑者にとってより不利益な刑事収容施設法第128条に差替えることは不利益変更禁止の原則の趣旨に照らして好ましいことではないであろう。なお、このような問題については,第260回の議事要旨にも指摘があり,併せて参照されたい。