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刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会(第296回)議事要旨

1 日時
  令和3年6月10日(木)14:00
 
2 審査件数
検討会付議件数 審査結果
処理案相当  再調査相当 処理案不相当
8件 8件 0件 0件
 
3 意見その他
(1)信書の発信を禁止された措置の取消し求める再審査の申請について,「法務省意見相当」との結論に至ったが,1名の委員から以下のとおり意見が付された。
 本件については,その罪質,申請人の属性等に鑑みて法務省意見は妥当と考えるが,一般論として,本人が確定判決で認定された犯罪事実を否認して再審請求をしようとしている場合に,法務省は個別に判断していると説明するものの,事実関係を尋ねる被害者宛の信書が,賠償の意思や真摯な謝罪の表明ではないとして,一律に法129条1項6号に該当するものとすべきかは疑問を感ずる。また,「被収容者の外部交通に関する訓令の運用について(依命通達)」記17⑸について,法務省は真摯なしょく罪等であっても直接の送付をしないよう指導する趣旨で定めているもので,本件事例のような場合には該当しないと説明するものの,同通達により,又はそれに準じて,弁護士等を経由する方法がとれなくても,被害者本人に検察官や刑務所等を通じてなら信書を受領する意思があるかどうかを確認するという方法をとることも,検討されてよいと思われる。
(2)信書の発信を禁止された措置の取消し求める再審査の申請について,「法務省意見相当」との結論に至ったが,1名の委員から以下のとおり意見が付された。
 本件の法務省意見の当否・適否については判断を留保する。刑務所の処遇の実態を外部の広報媒体に投稿する等の信書や文書図画の発信の制限は,最高裁平成18年3月23日判決からして,表現の自由を保障した憲法21条の規定の趣旨,目的に鑑み,具体的な事情の下で,刑事施設の規律・秩序の維持,受刑者の矯正処遇の適切な実施に「放置することのできない程度の障害が生ずる相当のがい然性があると認められる場合」かどうか,また「必要かつ合理的な範囲にとどまる」かどうかを,慎重に判断すべきである。またそのような投稿等が,一般に,刑務所における処遇の改善に結びつき得ることも否定できない。このような観点からすると,特に例えば,本件各書面のうち一部については,弁護士会への情報公開請求に基づいて入手した同会が発した勧告や要望の要旨を記載し,これと刑務所の実状を対比して記載したもので,この記載の全部が,本件法務省意見のように「全編にわたり,事実をわい曲し」等と一概にいえるのかどうかについて,具体的な事情の下で個別に検討する必要があるように思われる。そして,本件信書及び本件各書面等については,部分的な削除・抹消の方法も考える余地がありそうに思われる。