検索

検索

×閉じる
トップページ  >  政策・審議会等  >  省議・審議会等  >  検討会等  >  刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会 >  刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会(第303回)議事要旨

刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会(第303回)議事要旨

1 日時
  令和3年10月14日(木)14:00
 
2 審査件数
検討会付議件数 審査結果
処理案相当  再調査相当 処理案不相当
17件 17件 0件 0件
 
3 意見その他
(1)有形力の行使を違法とする事実の申告について,「法務省意見相当(有形力の行使に違法な点は認められない。)」との結論に至ったが,1名の委員から以下のとおり意見が付された。
   法77条1項は,被収容者が,「職員の職務の執行を妨げ,その他刑事施設の規律及び秩序を著しく害する行為をし,又はこれらの行為をしようとする場合」を有形力の行使の要件と定めているところ,本件に関する矯正管区の長に対する事実の申告に対する通知庁の通知書にあっては,「事案の概要」における事実認定及び「理由」における判断部分のいずれにおいても,「申告人が連行時に職務の執行を妨げるおそれがあると判断」して有形力の行使をした旨記述し,その有形力の行使を是認している。しかし,このような認定・判断は,職務の執行を妨げる「おそれ」があれば有形力の行使が許されるかのように,要件をあいまいに緩和してしまいかねない懸念があるので,通知庁に対してその点の留意を促されたい。
(2)保護室への収容を違法又は不当とする事実の申告について,「法務省意見相当(保護室への収容に違法又は不当な点は認められない。)」との結論に至ったが,1名の委員から以下のとおり意見が付された。
   案件は,いずれも,申告人が居室の扉をたたいて騒音を発し,職員の制止に従わないので非常ベル通報され,数名の職員が駆け付けて申告人を保護室に収容したケースであるが,記録上も,また録画を確認しても,数名の職員が駆け付けた後は特に騒音を発することはなく,居室から保護室への移動も抵抗なく行われている。そして,保護室への収容は,本来抑制的に行われるべきものであり,被収容者が刑務官の制止に従わず騒音等を発する場合に,規律及び秩序を維持するために「特に必要があるとき」に保護室収容を認める法79条1項2号イの規定の趣旨に照らしても,その要件は厳格に解すべきものと思料する。
   したがって,本件において,保護室収容の要件が充足されていたのか,また,保護室収容の必要性があったのかについては,疑問を生ずるところであるし,申告人は知的障害など精神障害を有する者ともみられるので,その特性を踏まえた配慮も必要ではないかと考えられる。ただ,本件における保護室収容の前後の一連の経過(カメラ室への入室に対する抵抗の状況,一旦保護室収容が中止されて居室に戻って間もなくの騒音の発生など)に照らし,やむを得ない面があったともみられるので,本件法務省意見の結論については是認すべきものと考えるが,被収容者の保護室収容については,なお一層の慎重を期されたい。