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刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会(第310回)議事要旨

1 日時
  令和4年2月24日(木)14:00
 
2 審査件数
検討会付議件数 審査結果
処理案相当  再調査相当 処理案不相当
16件 16件 0件 0件
 
3 意見その他
(1)書籍等の閲覧を禁止した措置の取消しを求める再審査の申請について、「法務省意見相当」との結論に至ったが、1名の委員から以下のとおり意見が付された。
  本件は、申請人に差し入れられた民間団体発行の機関誌に、申請人と同一の刑事施設に収容されている他の受刑者による医療処遇上の「告発」に関する記事が掲載されているところ、当該他の受刑者の氏名の記載部分の抹消に申請人が同意しなかったため、当該機関誌の閲覧を禁止したものであり、その処分自体はやむを得ないものと考える。
ただ、法務省意見が、本件処分を是認する理由として、「法70条1項の規定による書籍等の閲覧禁止の処分は、書籍等の一部に同項各号に該当する部分があれば書籍等全体の閲覧が禁止される処分であり、処分庁は、裁量的判断により、閲覧禁止部分を抹消した上で、その余の部分については閲覧を許そうとしたものの、申請人が閲覧禁止部分の抹消に同意しなかったことから、本件書面の全部の閲覧を禁止せざるを得なかったものである」と述べる点については、若干の検討ないし留保を要すると考える。
  すなわち、本来、自弁の書籍等の閲覧は、基本的にその自由が保障されるべきなのが原則であり、その制限はできるだけ限定的であるべきであるから、書籍等の財産的価値を大きく損なわないで一部抹消・削除によって閲覧させることが適当であると考えられる場合には、法70条1項の解釈としても、信書における法129条の場合と同様に、できるだけ制限の少ない一部抹消・削除による方法を検討すべきであり、全部閲覧禁止が原則で一部抹消・削除の方法を採るか採らないかはあたかも刑事施設の自由裁量であるかのような解釈・運用にならないよう、留意すべきだと考えるものである。
(2)有形力の行使を違法とする事実の申告について、「法務省意見相当(有形力の行使に違法な点は認められない。)との結論に至ったが、1名の委員から以下のとおり意見が付された。
   本件の法務省意見については、検察官に事件送致しその結果を受けてのものであるとのことから、「違法な有形力の行使」とまでは言い難いが、限りなく黒に近い灰色と言わざるを得ない。職員Aは申告人の出血状況の報告のけ怠等により戒告の懲戒処分を受けているとのことであるが、法務大臣は、刑事施設における特別公務員暴行陵虐罪という重大な犯罪事実の発生が強く疑われるような事態が決して繰り返されることがないよう、当該刑事施設長及び矯正管区長に対し、改めて厳しく指導すべきである。
   すなわち、本件においては、少なくとも、左こめかみ部から出血するような暴行を受けたという被害者(申告人)本人の供述があり、かつ、その直後と思われる状況について、本人供述に沿うものと評価可能な同衆目撃者の供述がある。このことだけでも、基本的に、暴行の事実の存在は相当に濃厚である。しかも職員Aは、申告人の出血の事実を認識しながら医師の受診の手配をしようとせず、さらには同僚職員に対して虚偽の報告をさせたりしている等というのであるから、事実を隠蔽しようとしていた疑いも極めて濃厚である。そして、このような嫌疑を生じたことについて、職員Aの反省の念も必ずしも明らかでない。本件は、極めて遺憾な事案だと言わなければならない。
(3)有形力の行使を違法とする事実の申告について、「法務省意見相当(有形力の行使に違法な点は認められない。)との結論に至ったが、1名の委員から以下のとおり意見が付された。
   本件保護室への収容の是非については、意見を留保する。
   本件においては、まず、申告人が職員Aに対して、その制止にもかかわらず大声を発し続けたとされているが、職員Aと申告人との間でのやりとりの間、職員Aが二度その居室前を離れ、報知器が二度下ろされて職員Aが戻ってくるなど、一定の時間やりとりが続けられていたことがうかがわれ、その間申告人が継続的に大声を発し続けていたとは考えにくく、さらに、職員Aの非常ベル通報後数名の職員と共に統括が同居室前に駆け付けた後は、携帯用ビデオカメラの映像でも明らかなように、申告人が制止に従わずに大声や騒音を発していた事実は認め難く、さらに保護室への連行も抵抗なく行われている。
   そして、保護室への収容は、刑事施設の規律及び秩序を維持するため特に必要があるときであることが要件とされているところ、これは、被収容者の精神状態が著しく不安定であって手が付けられないような場合に限る趣旨と解される。したがって、非常ベル通報がなされた場合であっても、統括等の職員が現場に臨場した時点及びその後において、なお制止に従わずに大声や騒音を発しているような状況にない場合に、上記収容要件があるといえるかは極めて疑問である。保護室への収容の被収容者の心身への影響の強さに鑑みると、非常ベル通報がなされた場合であっても、その後の状況においてなお法79条1項2号の要件が存在するかどうかを慎重に判断する運用がなされることを望むものである。