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刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会(第311回)議事要旨

1 日時
  令和4年3月17日(木)14:00
 
2 審査件数
検討会付議件数 審査結果
処理案相当  再調査相当 処理案不相当
25件 25件 0件 0件
 
3 意見その他
(1)通数外発信を不許可とした措置の取消しを求める再審査の申請について、「法務省意見相当」との結論に至ったが、1名の委員から以下のとおり意見が付された。
  本件に関し、当該刑事施設においては、外部交通実施規則を定め、その中で、信書の発信について発信申請日1日につき原則として2通以内という通数の制限を行っているが、そのような制限ができるとする法令上の根拠は必ずしも明確ではないと考える。すなわち、法130条1項は、発信通数等の制限について「法務省令で定めるところにより」することができると定めているところ、法務省令には1日の発信通数の制限を認める規定は見当たらない。刑事施設の管理運営上このような通数制限を必要とする実態があるならば、本来必要な法令上の整備がなされるべきものと考える。
(2)発信書を禁止した措置の取消しを求める再審査の申請について、「法務省意見相当」との結論に至ったが、1名の委員から以下のとおり意見が付された。
   本件において、戸籍上養子となっている者への発信書の禁止措置をとることの実態上の必要性については理解する。
   しかし、養親子間の外部交通について、平成19年5月30日矯正局長依命通達「被収容者の外部交通に関する訓令の運用について」に基づいて、養子縁組が外部交通に関する各種規制を潜脱するためなどと認められる場合には、民法上無効と認定できなくても、法128条の「親族」としての外部交通を認めない運用もあり得るとされているところであるが、同法その他の法律によってそのような取扱いが認められているわけではなく、かつ、「親族」の範囲は民法上一義的に明確なのであるから、通達による解釈・運用という形でこのような取扱いを続けている状態には、基本的な疑問を禁じ得ない。必要ならば法令上の整備がなされるべきものと思われ、また、それが無用なトラブルの防止に資するように思われる。ただし、「養親子としての情を深める目的」があるかないかの判断は微妙なケースが考えられ、その制限も限定的になされるべきである。
(3)発信書の抹消及び金品の交付を不許可とした措置の取消しを求める再審査の申請について、「法務省意見相当」との結論に至ったが、1名の委員から以下のとおり意見が付された。
   金品の交付を不許可とした措置については、判断を留保する。
   本件において、申請人の本件信書への本件書面の同封願い出が雑誌等への投稿目的であるとの法務省意見の判断は理解できるが、そうだとすれば、その投稿も表現の自由の保障の対象として、受刑者の矯正処遇の適切な実施に放置することができない程度の障害が生ずる相当の蓋然性の存在等が要請される。その場合、法務省意見が指摘する、本件書面で示された「申請人の考え等が社会一般に受容されたとの誤った認識を与えかねず、申請人が投稿活動に熱中することにより改善更生への意欲が減退することにもつながり、申請人の問題性を助長することが十分考えられる。」との理由は、もともと雑誌等への投稿活動は社会一般に自己の考え等を伝え、受容されることを目的とするものであり、それがなぜ改善更生への意欲の減退等につながるのか等、表現の自由を制限する理由として必ずしも説得的なものとは思われない。上記「障害が生ずる相当の蓋然性」等が個別具体的に指摘されるべきものと思われる。
(4)発信書を抹消した措置の取消しを求める再審査の申請について、「法務省意見相当」との結論に至ったが、1名の委員から以下のとおり意見が付された。
   本件において、本件記述部分が本件書面を外部団体の機関誌等に掲載されることを目的とするものとの法務省意見の判断は理解できるが、そうだとすれば、その投稿依頼も表現の自由の保障の対象として、受刑者の矯正処遇の適切な実施又は刑事施設の規律・秩序の維持に放置することができない程度の障害が生ずる相当の蓋然性の存在等が要請される。その場合、法務省意見が指摘する、本件書面が公刊され不特定多数の者が閲覧する刊行物に掲載されることとなれば、(1)そこで示された「申請人の考え等が社会一般に受容されたとの誤った認識を与えかねず、これにより、同所の規範に対する申請人の反発意識はより強固なものとなり、申請人の問題性を助長するとともに、改善更生への意欲が減退することにつながることが十分考えられる」との理由は、もともと機関誌等への投稿活動は社会一般に自己の考え等を伝え、受容されることを目的とするものであり、それがなぜ改善更生への意欲の減退等につながることになり、矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれがあることになるのかについて、また、(2)「申請人と同刊行物を閲覧した不特定多数の者との間に何らかの関係性を生じさせ、この関係性をもとにして、同所に不満を持つ者により集団が形成されたり、不正な外部交通につながることなどが予測される。」というのも相当に抽象的な想定であり、その掲載がいかにして規律・秩序の阻害の結果を生ずるおそれに具体的につながるのかについて、それぞれ、表現の自由を制限する理由として必ずしも説得的なものとは思われない。上記「障害が生ずる相当の蓋然性」等が個別具体的に指摘されるべきものと思われる。