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刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会 (第316回)議事要旨

1 日時
  令和4年7月14日(木)14:00
 
2 審査件数
検討会付議件数 審査結果
処理案相当  再調査相当 処理案不相当
18件 17件 1件 0件
 
3 意見その他
  発信書の一部を禁止された措置の取消しを求める再審査の申請について、「法務省意見相当」との結論に至ったが、1名の委員から以下のとおり意見が付された。
  本件発信の一部禁止の適否・当否については、以下の理由から判断を留保する。
  本件は、申請人が、養子縁組をした養母が当該縁組後に婚姻してその夫となったAに宛てた信書の発信であり、Aは養母の夫として申請人と姻族関係にある親族に当たる。法務省意見は、平成19年5月30日付け矯正局長依命通達「被収容者の外部交通に関する訓令の運用について」の記28に則り、この養母との養子縁組が、民法上無効とは認定できないまでも、真に親子と認められるような関係等を創設しようとする目的意識が希薄であり、刑事施設における外部交通に関する各種規制を潜脱することなどを目的としてなされたものとして、法が親族との外部交通を認める規定を適用する基礎を欠くと判断し、その養親子関係の上に形成された養母の夫Aと申請人との関係についても同様の理が成り立つと判断しようとするものと理解される。
  しかし、民法上無効と認定できなくても刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律128条の「親族」として取り扱わなくてもよいということが、同法その他の法律で認められているわけではない。にもかかわらず、通達による運用として同条の「親族」に当たらないとしてしまうことには、基本的な疑問がある。同法の信書の発受や面会等について、民法上の「親族」とは異なった規律が必要だとする立法事実があるならば、やはりそれは法律のレベルで措置すべきことと思われる。ただし、その場合でも、法的な養親子関係を形成する目的は必ずしも親子の情を中心とするものに限られないから、その制限は慎重に検討されるべきである。
  なお、本件において、Aとの新たな養子縁組をするための手続に関する部分や養子縁組届用紙等の同封については発信を認めるものとしている点については、養子縁組の自由自体は同条ただし書の身分上、法律上の用務の処理に該当すると判断し、制限をしない取扱いをしているものと理解され、上記の「親族」に関する前提的判断は別として、適切なものと思料する。