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刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会 (第320回)議事要旨

1 日時
  令和4年9月22日(木)14:00
 
2 審査件数
検討会付議件数 審査結果
処理案相当  再調査相当 処理案不相当
26件 26件 0件 0件
 
3 意見その他
(1)金品の交付を不許可とされた措置の取消しを求める再審査の申請について、「法務省意見相当」との結論に至ったが、1名の委員から以下のとおり意見が付された。
   本件について、領置金の使用を許さないとする措置及びその理由は、問題があると考える。
   法務省意見は、本件について法50条(1号)を適用しようとするが、「自弁物品等」の購入の場合は法49条が適用され、法50条は適用されないと理解される。すなわち、自弁物品等の購入は当然に第三者である売主への金員の交付を伴うのであり、そのような領置金の第三者への交付については、これを許さない場合を含めて法49条がその要件を定めているのであって、法律の規定形式からして、法50条に優先して法49条が適用されると理解されるのである。そして同条は、購入品が「自弁物品等」に該当する限り、また、その購入により保管限度量や領置限度量を超える場合でない限り、「現金の使用を許すものとする」と定めており、許すことが羈束される。
   本件はむしろ、申請人が申し出た購入品が法46条1項5号に規定する「釈放の際に必要と認められる物品」に該当するか否かが問題の本体であり、法49条の「自弁物品等」に該当するか否かの判断として処理されるべきケースではないかと思われる。そして、これに該当するか否かについて刑事施設の長に一定の裁量があるとしても、「特段の事情」がなければ、原則として釈放の際に必要なものとは認めないかのような法務省意見の解釈は、社会通念からしてもいかがなものかと思われる。
(2)信書の発信を禁止された措置の取消しを求める再審査の申請について、「法務省意見相当」との結論に至ったが、1名の委員から以下のとおり意見が付された。
   本件において、戸籍上養父となっている者への発信書の禁止措置をとることの実態上の必要性については理解する。
   しかし、養親子間の外部交通について、平成19年5月30日矯正局長依命通達「被収容者の外部交通に関する訓令の運用について」に基づいて、養子縁組が外部交通に関する各種規制を潜脱するためなどと認められる場合には、民法上無効と認定できなくても、法128条の「親族」としての外部交通を認めない運用もあり得るとされているところであるが、同法その他の法律によってそのような取扱いが認められているわけではなく、かつ、「親族」の範囲は民法上一義的に明確なのであるから、通達による解釈・運用という形でこのような取扱いを続けている状態には、基本的な疑問を禁じ得ない。必要ならば法令上の整備がなされるべきものと思われ、また、それが無用なトラブルの防止に資するように思われる。ただし、「養親子としての情を深める目的」があるかないかの判断は微妙なケースが考えられ、その制限も限定的になされるべきである。
(3)保護室への収容を違法とする事実の申告について、「法務省意見相当」との結論に至ったが、1名の委員から以下のとおり意見が付された。
   本件保護室への収容の是非については、意見を留保する。
   本件においては、まず、申告人が居室において職員Aの制止に従わず「すいません」などと大声を発し続けたとされているが、職員Aの電話報告により統括が数名の職員とともに当該居室の前に駆け付けた後は、申告人は統括の問い掛けに「答えようとしない」という状態であり、申告人が制止に従わずに大声や騒音を発していた事実は認め難く、さらに保護室への連行も抵抗なく行われている。
   そして、保護室への収容は、刑事施設の規律及び秩序を維持するため特に必要があるときであることが要件とされているところ、これは、被収容者の精神状態が著しく不安定であって手が付けられないような場合に限る趣旨と解される。したがって、電話報告等がなされた場合であっても、統括等の刑務官が現場に臨場した時点及びその後において、なお制止に従わずに大声や騒音を発しているような状況にない場合に、上記収容要件があるといえるかは極めて疑問である。保護室への収容の被収容者の心身への影響の強さに鑑みると、非常ベル通報がなされた場合であっても、その後の状況においてなお法79条1項2号の要件が存在するかどうかを慎重に判断する運用がなされることを望むものである。