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刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会 (第331回)議事要旨

1 日時
  令和5年6月22日(木)14:00
 
2 審査件数
検討会付議件数 審査結果
処理案相当  再調査相当 処理案不相当
22件 22件 0件 0件
 
3 意見その他
  
保護室への収容を違法とする事実の申告について、「法務省意見相当」との結論に至ったが、1名の委員から以下のとおり意見が付された。
  本件に関して、慎重に意見交換を行い、保護室収容に関する法務省判断について、最終的に妥当という結論に達した。しかし、詳細な状況に関する資料を精査する中で、当該収容施設の医療体制に関する危惧が議論されたことに鑑み、意見を付記する次第である。
  申告人は度重なる所内での反則行為を起こしており、その行動には精神的な問題が強く存在することが推察される。これらの精神的な問題に関して、施設内医務部署において、度々、精神科医(外部よりの招へい医)により診察が行われており、その対応については、施設としても心神状態への専門医による対応の必要性を認識し、実践してきていると認識される。
  しかし、専門医による診察、診断において、毎回異なった精神科医師が対応しており、病態の継続的観察の観点から、一貫性に欠ける状況があり、十分な医療体制といえるかという疑問が残る。また、投与薬剤も最初の診察医の処方のまま、その是非に関しては長期的な観察に基づいた柔軟性、必然性に疑問も生じる可能性がある。事実、毎回の医師の診断は「適応障害」であったり「統合失調症、適応障害」であったり、最終診断名に意見の相違も見られ、確定診断の下の本格的治療を考えたときに、前医の判断を取りあえず踏襲し、様子を見るという傾向に流れる問題が生じるのではないかという議論が生じた。「適応障害」と「統合失調症」では、現れる症状において共通性はあることもあると考えられるが、一方で、長期的治療のstrategy(戦略、方策)に違いも生じるものと考えられる。
  受刑者の収容施設における専門医の確保は、本件だけでなく、全国的に悩ましい課題であろうことは十分に理解できる。一方で、不服申立てをする受刑者の一定数には薬物障害、精神障害を抱えているものがあることも事実である。これらの薬物障害、精神障害の問題を抱える受刑者に対する専門医による医療の充実は、受刑者の矯正、出所後の社会適応を考えた際に、真剣に考えなければならない重要な課題である。
  収容施設はもちろんのこと、矯正局、法務省においてもその重要性は理解されているものと考えるが、実際の対応には、依然隔たりがあり、実情を理解する全ての関係者の悩ましき課題であると思われる。しかし、「仕方がない」、「やむを得ない」で済ませておいてよい問題であるのかを真剣に考えるべき実態があり、この実態への実践的対応の検討、対応の必要性を強く提言するものである。