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刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会 (第342回)議事要旨

1 日時
  令和6年2月1日(木)14:00
 
2 審査件数
検討会付議件数 審査結果
処理案相当  再調査相当 処理案不相当
12件 11件 1件 0件
 
3 意見その他
  保護室への収容を違法又は不当とする事実の申告について、「法務省意見相当」との結論に至ったが、1名の委員から以下のとおり意見が付された。
  当該刑務所における同一受刑者について、近接した時期に繰り返された、類似する本件2件の保護室収容は、いずれも、少なくとも不当であると考える。
  保護室への収容は、平成18年に監獄法が廃止され、現行法が制定されるに当たって、従来の問題事例に照らし、特に慎重な取扱いが求められるとされ、収容要件の認定は厳格に行うべきことが指摘されたところである。しかし、事実の再申告がなされる事案の中には、そのような立法事実や立法趣旨に照らし、保護室収容措置が安易になされているのではないかとの疑問を抱かざるを得ないものが少なくない。
  本件もそれに該当する事例であり、本件は2件とも、「大声を発し続けた」として、当該刑務所の規律及び秩序を維持するために特に必要があると判断したというのであるが、報告書、視察表等の関係資料を見ても、証拠上「大声」を特定できるのは、本件2件のいずれにおいても指揮者らが駆け付ける前の2回だけであり、「発し続けた」という事実は証拠上不明であると言わざるを得ない。そして、指揮者が、本人の精神状態が著しく不安定な状態だと判断したという根拠も、本人の意味不明な返答とか、険しい表情とか、極めて抽象的かつ主観的な判断に依拠するものにすぎない。
  たしかに、申告人は静穏阻害、反抗、粗暴な言動等の反則行為による懲罰に繰り返し付されている実情があるようであり、一時的に治まっていても騒音や大声が再発するであろうとの危惧も理解できないではないが、本件では「大声を発し続けた」という事実が証拠上不明であり、抽象的な危惧を理由に保護室収容が許容されるとは思われない。
  なお、当該刑務所においては、近時の調査検討会においても複数回、保護室収容の措置に疑問を感じる事実の再申告のケースが繰り返し見られ、その都度意見を申し上げてきたが、本件は収容要件の充足についての裏付け証拠が乏しいことからも、保護室収容の措置は不当との意見とする。