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刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会 (第365回)議事要旨

1 日時
  令和7年9月18日(木)14:00
 
2 審査件数
検討会付議件数 審査結果
処理案相当  再調査相当 処理案不相当
17件 17件 0件 0件

3 意見その他
(1)通数外発信を制限された措置の取消しを求める再審査の申請について、「法務省意見相当」との結論に至ったが、1名の委員から以下のとおり意見が付された。
   本件申請は、一定の条件により通数外の取扱いで発信することが可能なクリスマスカードについて、申請人が、当年内に知り合い、世話になった相手に、御礼として送付する目的で発信申請をしたところ、カードの記載内容の一部につき、発信の条件を満たさないことについて発信指導がなされ、申請人が同指導に応じなかったことに端を発している。
この点、当該施設においては、記載内容を「賀詞、挨拶文等、年末年始にふさわしい内容のみとする」ことが発信許可の条件とされており、「面会や差入依頼等、年末年始の挨拶の程度を超える通信文」を記載した場合は、通数外発信を認めない取扱いがなされているところ、本件で発信指導がなされた記載部分は、発信相手に会えて良かった、おかげで来年も心身穏やかに過ごせる、来年も頑張るとの内容であり、世話になったことへの感謝の気持ちを、当該相手との関係を踏まえてより具体的に表現しただけで、年末の挨拶の域を出るものとは評価しがたい。
   もとより、挨拶は、相手との関係性のもとに、自身の気持ちを伝える意味があり、定型の挨拶文ではなく、自分の言葉で挨拶を行うことも許容されるべきであるが、その点をおくとしても、当該施設の許可条件は、定型の挨拶文に限るとはされておらず、使用できる定型文の限定もないのであるから、定型的な挨拶かどうかは判断根拠とはならないはずである。
   年末年始の信書については、施設において検査の負担が増えることから一定の制限を課す必要性は理解できるものの、「年末年始にふさわしい内容」かどうかは、結局一読して判断する必要があり、一読して「面会や差入依頼等」のような年末の挨拶の程度を超える内容でなければ、これを制限する必要性は見い出しがたい。仮に検査の業務負担を考慮して制限を行うのであれば、内容以前に行数や文字数を制限する方が合理的であろうが、便箋による信書とは異なり、本来文字数に限りのあるクリスマスカードや年賀状において、そこまでの制限を課すべきとも思われない。少なくとも、本件カードの記載は、賀詞部分を除き、せいぜい100文字強であり、殊更に判読を困難とするような記載ぶりや記載条件を潜脱しようとする意図はうかがわれず、検査事務処理の観点を踏まえても、本件の発信制限は、過剰な制限であり不当と言わざるを得ない。
(2)通数外発信を制限された措置の取消しを求める再審査の申請について、「法務省意見相当」との結論に至ったが、1名の委員から以下のとおり意見が付された。
   本件は、刑事施設において、申請人から弁護士宛てに書類を郵送交付する際に弁護士宛て信書を同封した上で通数外で発信したい願い出がなされ、処分庁が同信書の発信申請につき通数制限を超えるとして不許可とした措置に対して再審査の申請がされたものである。法務省矯正局の説明によれば、刑事施設においては、書類の郵送交付に際して、書類の送付と受領願いの趣旨を簡潔に便箋に記載した、いわゆる「送り状」を添付することは、社会的儀礼の範囲として通常は認められているとのことであった。しかしながら、本件につき、当該申請対象となった信書の記載と当該申請に至る経緯、当該申請の前後における申請人による信書発受の状況等、諸般の事情を考慮すれば、当該申請を不許可とした処分庁の判断に違法又は不当な点はないものと考える。