刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会 (第375回)議事要旨
1 日時令和8年6月4日(木)14:00
2 審査件数
| 検討会付議件数 | 審査結果 | ||
| 処理案相当 | 再調査相当 | 処理案不相当 | |
| 14件 | 14件 | 0件 | 0件 |
3 意見その他
(1)受信書の一部を抹消された措置の取消しを求める再審査の申請について、「法務省意見相当」との結論に至ったが、2名の委員から、以下のとおり意見が付され、以下のアについては1名の委員が賛同した。
ア 1名の委員から付された意見
本件措置は信書中の2行を一体のものとして抹消したものであるが、抹消箇所には独立した一文が含まれており、当該一文と残りの部分とを分離して抹消措置を実施することは容易であった。かつ、当該一文を除く部分の抹消措置を維持した上で当該一文をそのまま申請人に交付したときに、抹消されていない前後の文章と合わせ読んだとしても、申請人の矯正処遇の適切な実施に支障が生ずるおそれがあったとは客観的に認められない。よって、本件措置が矯正処遇の適切な実施を目的としたものとはいえ、当該一文を含めて信書中の2行を一体のものとして抹消したことは、必要性の認められない過剰な措置であり不当であると考える。
イ 1名の委員から付された意見
上記アの意見に基本的には賛同する。ただし、不当と断ずるまでの問題ではないことから、今後の施設運営における指摘事項とするのが妥当であると考える。
(2)保護室への収容を違法とする事実の申告について、「法務省意見相当」との結論に至ったが、1名の委員から、以下のとおり意見が付され、2名の委員が賛同した。
本件は、収容居室の外窓や視察窓にポットや小机を投げつけ、これらを損壊した申告人が、約50時間にわたり保護室に収容されたものである。
申告人の保護室収容は、午前7時半頃に開始され、同日午前8時頃に大声を発したことから、大声の収容要件が追加されているが、同日午前11時頃に再度大声を発した後は、翌々日午前10時頃の収容解除まで(約47時間)、「横臥している」「座っている」等の動静があるだけで、特段の問題行動や不穏・異常な行動は見られていない。
保護室への収容は、被収容者の精神状態が著しく不安定な場合に認められるものであり、施設の設備等の損壊のおそれを理由とする保護室収容も、被収容者の精神状態が著しく不安定であって、手がつけられないような場合に限るものとされているところ(刑事収容施設法逐条解説)、本件の損壊行為の激しさからすれば、収容後、特段の問題行動等がみられなくなった後も、しばらくは動静を慎重に確認する必要があったことは理解できるものの、一晩保護室で過ごすことで、ある程度落ち着きを取り戻すことも多いと思われ、前記申告人の収容後の動静に照らしても、翌朝以降の保護室収容の必要性については疑問がある。
この点、翌日の朝と昼に職員との問答が行われ、「損壊行為に及ぶか?」との問いに対して申告人が「わからない」「先のことはわからない」と返答したことから、いまだ損壊行為の可能性があるとして保護室収容継続の判断がなされているが、映像記録からは、申告人は職員の問いに淡々と答えているように見受けられ、返答の内容や態度からも、申告人の精神状態が著しく不安定で手が付けられないような状態とは評価しがたく、この問答をもって収容の必要性を肯定することは困難である。
加えて、翌日の昼以降は、問答もないまま、翌々日の朝まで収容が継続されているが、保護室収容は、その必要性がなくなったときには直ちにその収容を中止することが求められ、そのためにも綿密かつ頻繁な動静把握と必要性の有無の判断が求められることからすれば、遅くとも、翌日の夕方の時点で、再度必要性の判断がなされるべきであった。
以上のとおり、本件の50時間に及ぶ保護室収容については、収容要件の継続を肯定しうるような申告人の動静が確認できず、収容継続の必要性の判断にも疑問があり、収容要件が失われた状態で漫然と収容が継続された可能性を否定しがたいことから、適法性及び妥当性に疑問を抱かざるをえない。

