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持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会 第1回議事録

杉山更生保護振興課長 定刻となりましたので、これより第1回「持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会」を開催いたします。
  開催に当たりまして、門山宏哲法務副大臣から御挨拶がございます。門山副大臣よろしくお願いいたします。
門山副大臣 第1回「持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会」の開催に当たりまして、御挨拶を申し上げます。
  本年3月17日に閣議決定された第二次再犯防止推進計画において、持続可能な保護司制度の確立に向けた検討・試行が盛り込まれました。
  保護司につきましては、地域社会における人間関係の希薄化といった社会環境の変化に加え、保護司活動に伴う不安や負担が大きいといったことを背景に、担い手の確保が年々困難となり、高齢化も進んでおります。
  先日、都内の更生保護施設を視察し、保護司や更生保護女性会の方々と懇談する機会がございましたが、保護司の方々が、包摂的な地域社会の実現を目指し、犯罪や非行から立ち直ろうとしている方々の生きづらさに寄り添い、昼夜を分かたず、懸命に努力されていることに深い感銘を受けました。
  これまで、1世紀以上にわたり積み重ねてこられた保護司の志を、今後、未来に向けて、どのように継承し、発展させていくべきなのか、皆様におかれましては、時代の変化に適応可能な保護司制度の確立に向け、是非とも柔軟かつ精力的な御議論をお願い申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。
杉山更生保護振興課長 ありがとうございました。
  続きまして、谷垣禎一全国保護司連盟理事長から御挨拶がございます。谷垣理事長、よろしくお願い申し上げます。
谷垣理事長 皆さん、こんにちは。全国保護司連盟理事長の谷垣禎一でございます。保護司組織を代表いたしまして、一言御挨拶申し上げます。
  我が国の更生保護は、慈愛の心に基づく明治時代の免囚保護事業に源を発しまして、保護司を始めとする多くの民間篤志家の御努力によりまして、世界に類を見ない官民協働体制のもとで発展を遂げてまいりました。
  そして、昭和25年に制定されました保護司法によって、現在の保護司制度の骨格が作られました。以来、全国の保護司は、「人は変われる」という信念のもと、同じ地域に住む隣人の一人として、罪を犯した人や非行のある少年たちの立ち直りを支援いたしますとともに、広報啓発活動や犯罪予防活動に積極的に取り組むことによりまして、自分たちの住む地域が少しでも住みやすく安全・安心なものになることを願いまして、大きなやりがいを持って活動を続けてまいりました。
  この間、犯罪や非行の件数は増減を繰り返しているものの、世界的に見ても比較的安定した状況が実現できているのは、私どもの地道な努力が実を結んでいるものと考えております。
  一方で、社会や経済の状況は急激に変化しておりまして、我が国の保護司制度を将来にわたり持続可能なものとして継承していく上での課題も少なくございません。
我が国の更生保護制度は、来年、75周年という節目の年を迎えます。この時期に、長年にわたる実績を有し、刑事司法の領域にとどまらない地域社会にとっての貴重な財産ともいうべき保護司制度を、次世代に向けてどのような形でつないでいくのか、様々な知見や経験を持っておられる皆様の御参集を得て、幅広く議論していただける機会が設けられたことは、誠に有り難いと思っております。
  皆様の御議論によりまして、本検討会が有意義なものになることを大いに期待させていただきまして、私の御挨拶とさせていただきます。
  ありがとうございました。
杉山更生保護振興課長 谷垣理事長ありがとうございました。
(門山副大臣退席)
  それでは、議事次第の2、構成員紹介に入りたいと思います。
  まず、皆様から一言ずつ自己紹介を賜りたいと思います。なお、川出構成員におかれては業務のため本日御欠席、また、野見山構成員と横田構成員におかれましてはオンラインでの参加となってございます。なお、横田構成員におかれましては業務の都合により14時30分以降御退席されます。宮田保護局長は、国会質疑対応のため途中退席をさせていただきます。
  それでは、順次、私からお名前を申し上げます。まず始めに、オンラインで参加の野見山構成員から一言自己紹介をお願い申し上げます。
野見山構成員 野見山優子です。福岡県飯塚保護区に所属しております。よろしくお願いします。
杉山更生保護振興課長 ありがとうございます。
  続きまして、横田構成員、お願い申し上げます。
横田構成員 コラボラボ、横田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
  私の方は、保護司の経験者ではなく、経営者として全国各地の女性経営者や個人事業主の方々をサポートしている立場におります。今回の会議に当たって、保護司の皆様も構成員になられているので、皆様と現実的な議論を重ねながらお話ができることを非常に有り難く思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
杉山更生保護振興課長 ありがとうございます。
  続きまして、井上構成員、お願い申し上げます。
井上構成員 井上と申します。よろしくお願いいたします。
杉山更生保護振興課長 ありがとうございます。
  続きまして、清永構成員、よろしくお願いします。
清永構成員 清永です。NHKで解説委員をしております。ふだんは司法を担当しておりますが、その過程において、更生保護や保護司の方々を多少取材をさせていただく機会があり、今回意見交換の場に呼んでいただきました。どうぞよろしくお願いします。
杉山更生保護振興課長 ありがとうございます。
  続きまして、小西構成員、よろしくお願いいたします。
小西構成員 早稲田大学法学学術院で教員をしております小西暁和と申します。専攻は刑事政策です。
  これまでも、少年法や矯正・更生保護といった分野について幅広く研究を行ってまいりました。また、更生保護の領域に関しましては、本学のキャンパスの校舎内にございます更生保護法人更新会の理事として、また、早稲田大学公認サークルである早稲田大学広域BBS会の顧問としても関わらせていただいております。本日も、先ほどまで更新会の理事会・評議員会の総会がちょうど行われたところでございました。ほかにも、本会議の栁川構成員にメンバーとなっていただいております神奈川県再犯防止推進会議で座長としても参画させていただいております。
  これらの活動の中でも、保護司の先生方から、保護司の活動や、課題点についても様々御教示を頂いてまいりました。こうした研究や経験を踏まえ、持続可能な保護司制度の確立に向けて、本検討会の議論に加わらせていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
杉山更生保護振興課長 ありがとうございます。
  続きまして、杉本構成員、よろしくお願いいたします。
杉本構成員 千葉市中央地区保護司会の杉本と申します。よろしくお願いします。
  私は、NPOで不登校の児童や生徒の支援をしているということが一つ、あと兼業ですけれども、千葉市の教育委員会で、医療的ケアの必要な子供たちの通常の学校への看護師の配置をコーディネートするような、スクールメディカルアドバイザーという役をしております。
  保護司は8年目になります。精神科での看護師経験が割と生かされるような対象者を担当することが多いのかなと思っております。そのほかに、公認心理士の資格を持っておりまして、相談業務というのも主として行っておりますので、そういった経験を基に、保護司の活動をしているところがございます。どうぞよろしくお願いいたします。
杉山更生保護振興課長 ありがとうございます。
  続きまして。宮川構成員、よろしくお願いいたします。
宮川構成員 香川県坂出市から参りました宮川と申します。僕も7年ぐらいしかまだやっていないので、経験も浅いですけれども、それ以前に若手の会ということで、どちらかいうとまちづくりを主体としたいろいろな団体に参加させていただきまして、今も参加してやっている活動もあります。保護司の活動というのが、最終的にはまちづくりの一端にはなると思いますので、いろいろな観点からまた意見を言わせてもらえることがあるかもしれないので、よろしくお願いいたします。
杉山更生保護振興課長 ありがとうございます。
  続きまして、栁川構成員、よろしくお願いします。
栁川構成員 神奈川県平塚の栁川と申します。保護司になって、平成元年の一番暴走族の荒れた年とか学校の荒れた年の最後の時に、若手の保護司が必要だということで38歳で保護司になりまして、いつの間にか35年経っちゃいました。今でもやっぱりその当時の少年たちがうちに、「くそ親父いるか」と遊びに来るのが大好きで。やっぱりそのぐらい元気のいい、今ではもう想像もつかない、少年たちと取っ組み合いをやりながら、大変良い経験をさせていただきました。30年ぐらいたって退任保護司も結構いるんですけれども、やっぱり保護司をやってきて得るものはあったよねというのが共通の話でございます。支えているつもりが、いや、いつの間にか自分がみんなに支えられているんだという、やっぱり素直な気持ちが年数が経つとひしひしと感じているというのが、私の仲間の意見でございます。
  最後に、いつの間にか関東の保護司連合会長に就任してしまいまして、これからどうしようかなと一生懸命考えております。今後ともよろしくお願いいたします。
杉山更生保護振興課長 ありがとうございます。
  続きまして、山元構成員、よろしくお願いいたします。
山元構成員 私、東京都豊島区から参りました山元俊一といいます。よろしくお願いいたします。
  私は平成10年に保護司になって、約25年経ちました。その間、いろいろなケースを見させていただいて、いろいろ経験をさせていただいて、ただいま豊島区保護司会での会長をさせていただいております。会長といっても力不足ではあると自分でも自覚しているんですが、それでも、皆様に助けていただきながら、日々いろいろなことが起きています。そのいろいろなことに対応しながら、会を運営させていただいています。そういったこともお話しできたらなと思っております。よろしくお願いします。
杉山更生保護振興課長 ありがとうございます。
  続きまして、倉吉構成員、よろしくお願いします。
倉吉構成員 倉吉と申します。私、もともと裁判官でして、その途中で、法務省にもちょっと出向みたいな形で12年ほど勤務しておりました。裁判官を定年で終えた後、弁護士を1年やって、今現在の中央更生保護審査会の委員長を務めております。どうぞよろしくお願いします。
杉山更生保護振興課長 ありがとうございます。
  続きまして、宮田保護局長、よろしくお願いします。
宮田保護局長 保護局長の宮田祐良と申します。保護司法、保護司制度を所管する局長ということで参加をさせていただいております。更生保護に職を得て38年目を迎えまして、いわゆる保護プロパーでございます。白状しますと、勤め始めるまで、保護司のことも更生保護のことも全く知りませんでした。
  私があれこれ申し上げるのは自由な議論の妨げになってはいけませんので、控えるべきかもしれないですけれども、保護司制度、また更生保護制度がある日本に生まれたことを、親に感謝をしているものでございます。
  保護司制度は、ある意味では保護司が作り、保護司が育ててきたという歴史がございます。その大切な志といいますか、その心は大切にしたい。一方で、社会が大きく変わって、また変わりつつあると。その中で、大切なものを後世にいかに引き継いでいくかということが、現代の私どもの課題であり、責任だと考えています。そのためには、いかなる変革も辞さないという態度で、この検討会には参加させていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
杉山更生保護振興課長 ありがとうございました。
(谷垣理事長退席)
  続きまして、議事次第の3、議事(1)検討会の進め方について入りたいと思います。
  まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。
中島企画調整官 事務局を務めます、保護局更生保護振興課企画調整官の中島と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
  それでは、配布資料につきまして御説明をいたします。
  まず、資料の1-1を御覧ください。横置きの「第二次再犯防止推進計画(概要)」でございます。
  資料左側、緑の枠の下を御覧いただきますと、「基本的な方向性」というものがございます。第一次再犯防止推進計画が2年以内再入率を16%にするという目標を目指したものとすれば、この第二次再犯防止推進計画は、更に取組の質を高めるべく、個々の問題にじっくりと向き合い息の長い支援をすること、そのために多様な協力者、関係者による地域ネットワークを構築すること。その前提として、民間協力者、国、地方公共団体がしっかりと連携することを目指すものとなっていると考えられます。
  次に、右側のオレンジの枠を御覧ください。「7つの重点課題とその具体的施策」とありまして、「(5)民間協力者の活動の促進」とあります。そこに、赤字で「持続可能な保護司制度の確立」とございまして、その下に「保護司の活動環境等についての検討・試行」とございます。
  次に、資料の1-2を御覧ください。これは、第二次再犯防止推進計画本文の抜粋版となってございます。ページ数が少し多いところでございますが、33ページを御覧いただきたいと思います。
  33ページ以降、「民間協力者の活動の促進等のための取組」となっておりまして、次の34ページに、「施策番号64」としまして、「2.(1)持続可能な保護司制度の確立に向けた検討・試行」とございます。本日開催の検討会は、「施策番号64」に基づき設置されたものでございます。なお、本計画中、「2年を目途として」と期限を区切っている施策は、この「施策番号64」のみとなっております。
  続きまして、検討会の進め方について御説明をいたします。
  資料の2-1を御覧ください。
  「持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会の開催について」とございます。上から順番に申し上げますと、1につきましては本検討会を開催するとなってございます。3が検討会の構成員の任期は2年とする、ただし、再任を妨げない。4が検討会の座長は構成員の互選により選出する。6は議事録の作成、これも、個人情報の関係を踏まえまして、全部又は一部を非公表とすることができるとなってございます。特に、6につきましては、個別具体のケースが明らかとなってしまうような場合を想定しております。議事録の公表に当たっては、事前に構成員の皆様に御確認いただくこととしております。なお、本日付法務大臣決定としてございます。
  次に、資料の2-2を御覧ください。
  「検討会構成員」となってございまして、五十音順で記載をしております。後ほどお諮りいたしますけれども、事務局といたしましては、本検討会の座長を倉吉中央更生保護審査会委員長にお願いをしたいと考えてございます。
  次に、資料の2-3を御覧ください。
  「検討スケジュール案」となってございます。おおむね1か月に1回2時間程度としまして、6月には視察・ヒアリングを、7月から12月にかけて論点に係る御議論を一巡しまして、来年3月には中間取りまとめを、8月には報告書案の確定を、最終的には令和7年1月までには報告書を確定したいと考えておりますが、来年10月には更生保護制度施行75周年記念大会を予定しておりますことから、そこで本検討会の一定の成果を報告したいとも考えております。なお、全国の保護者の方々からも広く御意見を伺いたいと考えておりまして、節目で、事務局による地方別保護司代表者協議会との意見交換を行うこととしております。
  事務局からは以上でございます。
杉山更生保護振興課長 ありがとうございます。
  ただいまの事務局からの説明にもございましたが、本検討会の座長を倉吉中央更生保護審査会委員長にお願いしたいと存じますが、皆様いかがでしょうか。
(一同異議なし)
  それでは皆様の御意見を頂戴いたしまして、以降の議事進行につきましては、倉吉座長にお願い申し上げたいと思います。倉吉座長、よろしくお願い申し上げます。
倉吉座長 皆さん、ありがとうございます。この検討会、大変重いテーマにチャレンジすることになりましたが、ただ、この作業は、全国で地道な息の長い仕事を続けておられる保護司の皆さんの明日を考えると、明日のために何ができるかということを考えていくという、ある意味非常にやりがいのある仕事でございます。ここにお集まりの皆さんがいればきっといい成果が得られると、私、信じておりますし、私も少しでも実りのある議論ができるように努めてまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
  それでは、議事次第の3、(2)検討の論点及び論点ごとの課題事項について、事務局から配布資料について説明をお願いします。
中島企画調整官 事務局でございます。議論の前提としまして、保護司について御説明をいたします。
  資料3-1を御覧ください。「保護司とは」という資料と、「統計から見る保護司の現状」の2枚ものとなってございます。
  まず、「保護司とは」を御覧ください。
  簡潔に申し上げます。特に3、任期でございますが、保護司法第7条では、保護司の任期は2年とする、ただし再任を妨げないとされておりまして、実際には一度委嘱されますと、基本的には再任を積み重ねていくというものでございまして、これまで運用上、76歳になると退任するということとしておりましたが、令和3年4月から、保護司御本人の希望により、78歳になる前日までの再任を可能といたしました。ただし、78歳に達した以降は、保護司であるものの、事件担当はできないということといたしました。理由としましては、正に気力・体力といったものを考慮したというものでございます。
  続きまして、保護司の職務ですが、いわゆるケース担当としての生活環境の調整と保護観察がございます。生活環境の調整は、矯正施設に収容されている間に、彼らが社会に戻ってきたときに、適切な環境で生活や就労ができるよう、そのための調整を行い、その報告書を保護観察所に提出するというものです。令和3年に生活環境の調整を開始した人は3万4,051人です。
  次に保護観察です。これは月に2回程度、自宅に招くなどして指導や助言を行い、その報告書を保護観察所に提出するというものです。令和3年に保護観察を開始した人員は2万5,623人です。なお、地域差ですとか、既に担当していただいているケースの状況もございますが、単純に令和3年の生活環境調整事件数と保護観察事件数の合計を令和3年時点の保護司数で割りますと、保護司1人当たり約1.3件となります。これに加えまして、犯罪予防活動がございます。まさに、地域社会のコーディネーターとして、自治体や学校、警察、福祉事務所など、広範囲にわたる機関団体と連携しながら活動を実施しております。
  次に、「統計から見る保護司の現状」を御覧ください。
  保護司数の推移のとおり、特例再任保護司数を除いた保護司数は減少しており、これが実態を捉えている数値、傾向であると考えております。
  次に、「保護司年齢別構成の推移」を御覧いただきますと、60代、70代の方々で約8割を占めておりまして、特に70代の方々は、今後5年程度で急激に減少することが見込まれております。
  次に、「保護司職業別構成の推移」を御覧いただきますと、農林漁業が大きく減少し、会社員ですとか自営業といった方々が増えてきております。限られた時間をやりくりしながら、保護司活動を担っていただいている状況にございます。
  次に、資料3-2を御覧ください。保護司関係法令を右とじでお配りしております。
  初めに、「保護司法」を御覧ください。第1条に「保護司の使命」が、第3条に「推薦及び委嘱」が、第7条に「任期」、第11条に「費用の支給」、第17条に「地方公共団体の協力」が、それぞれ規定をされております。
  次に、「保護司の選考に関する規則」がございまして、その後ろに、新任保護司推薦手続の流れを添付してございます。保護司会と保護観察所がやり取りを重ね、保護司選考会の答申を受けて、保護観察所から法務大臣に推薦を行い、法務大臣が委嘱決定するという流れを記載しております。
  次に、「保護司実費弁償金支給規則」を御覧ください。
  先ほどの保護司法第11条第1項第2項によりますと、保護司には給与を支給しないのですが、職務を行うために要する費用の全部又は一部を支給することとされておりまして、これを受けたものとなっております。
  若干具体的な金額を紹介いたしますと、第2条の「補導費」は、保護観察処遇を実施した時に支給するものでして、1件につき月額4,460円。このほか、処遇困難事案の場合には、1件につき月額7,660円となっております。
  次に、第3条の「生活環境調整費」は、生活環境調整を実施した時に支給するものでして、1件につき月額3,440円となっています。
  次に、更生保護サポートセンターで事務に従事する企画調整保護司については、1人当たり1日4,900円を支給することとしております。
  このほか、矯正施設での面会や研修会への出席に伴う旅費、保護観察対象者とともに社会貢献活動を行った時、恩赦事件の調査をした時などに一定額を支給することとしておりますが、実態としましては、支給額が実態に及んでいない、不足しているということもございます。
  続きまして、「保護区及び保護区ごとの保護司の定数に関する規則」と、「保護司会及び保護司会連合会に関する規則」でございますが、まさに保護司活動の担当エリアを保護区と呼んでおりまして、全国に886ございます。保護区ごとに組織としての保護司会を設置しておりまして、都道府県単位ごとに保護司会連合会を設置しております。なお、北海道につきましては4つの連合会がございます。「保護司会及び保護司会連合会に関する規則」の第1条に、「保護司の従事する事務」が規定されておりますので、保護司法一条の保護司の使命と併せて御参照いただければと思います。
  次に、資料の3-3を御覧ください。
  資料の3-3から3-6につきましては、主に保護司についてのアンケート調査結果となっております。保護司の方々が感じられておられることや、活動の一端を知る参考にしていただきたいと思います。
  それでは、「保護司制度に関するアンケート結果」についてでございます。
  このアンケートは、保護司の方々を大きく4つに分類しまして、平成30年に全国保護司連盟と保護局とで実施したものです。これまで10年、20年と保護司を務めてこられまして地区会長となられた方々をA票として、保護司委嘱6年未満でうまく処遇ができるだろうかと不安を感じながらも先輩保護司によるサポートを受けつつ担っていただいている方々をB票として、平日は会社員等として仕事をしながら時間的制約を抱えながら担っていただいている方々をC票として、定年による退任予定時期まで1年未満の保護司の方々をD票としてございます。
  次に、資料の資料3-4でございますが、「保護司の活動に関するアンケート調査の概要」についてでございます。この調査は、総務省行政評価局が実施しました「更生保護ボランティアに関する実態調査-保護司を中心として-」の一環として、平成31年に実施されたものです。主に、保護観察官が保護司活動をサポートできているのかといったような観点からの調査となっております。
  次に、資料の3-5でございます。これは、令和2年に実施しました「保護司適任者の安定的確保に向けた効果的な訴求方策に関する調査研究」についてです。保護司適任者確保に向けまして、訴求対象を、「今から保護司になり得る層」、「一部活動であれば保護司になり得る層」、「障害事由の解消や制度の改善により保護司になり得る層」、「今は保護司になることができないが、将来機会があればなり得る層」の4つの分類にいたしまして、それぞれの層への訴求方法を調査したものでございます。
  次に、資料3-6でございます。こちらは令和4年に実施しました「若手保護司によるオンラインフォーラム結果報告」でございます。令和4年1月1日時点でおおむね45歳未満で、保護司年数がおおむね4年以上となる保護司の方々から御意見を頂戴したものでございまして、本検討会の構成員でございます杉本保護司、宮川保護司にも御参加を頂いております。本検討会の議論に当たりまして、有意義な御示唆であると考えております。
  次に、資料の3-7を御覧ください。「京都保護司宣言」についてでございます。
  2021年3月に開催されました「第14回国連犯罪予防刑事司法会議」いわゆる京都コングレスと併せまして、「世界保護司会議」が開催されました。その成果物として取りまとめられたものでございます。
  資料の説明は以上でございますが、本日席上に、「支えあう心 これからも」と「フォト」の写しを配布させていただきました。また、保護司の研修教材でございます「更生保護誌」につきましても、席上に置かせていただいております。集合住宅に招き入れての面接、経営する町工場での面接、保護観察対象者からの手紙といったことを紹介しております。この記事が掲載されたときから長い時間が経っておりますが、今この瞬間も全国で行われている、まさに保護司の基本ともいうべき姿がここにあると考えてございます。後ほど是非とも御一読賜りたいと存じます。
  事務局からは以上でございます。
倉吉座長 ありがとうございました。
  それでは、ここまでの事務局の説明について、御質問等あればいかがですか。御質問等なければ、「論点・論点ごとの課題事項(案)」について議論に入りたいと思います。
  まず、事務局から御説明をお願いいたします。
中島企画調整官 事務局から説明いたします。
  資料4を御覧ください。「論点・論点ごとの課題事項(案)」としてございます。
  1の論点整理でございます。施策番号64でございますけれども、そこには待遇、活動環境、推薦・委嘱の手順、年齢条件、職務内容の在り方、保護観察官との協働態勢の強化といったことが例示をされておりますが、お手元の資料に記載しましたとおり、保護司に委嘱され、そして実際に保護司として活動していくという流れをイメージしまして、検討の順番としましては、「推薦・委嘱の手順、年齢条件」を一つ、「職務内容の在り方、保護観察官との協働態勢の強化」を一つ、「待遇、活動環境」を一つという塊に整理をいたしました。
  さらに、本検討会の目的が、時代の変化に適用可能な保護司制度の確立に向けた検討となっておりますので、1世紀以上にわたり地域社会において連綿と紡いでこられた「保護司の使命」についても論点として加えたところでございます。論点「保護司の使命」は、上記3点の実務的な論点の基盤として横断的に貫くものとして位置付けております。
  それでは2、「論点ごとの課題事項」の部分でございます。この論点ごとの課題事項につきましては、これまでのアンケート調査などを踏まえまして例示したものでございます。幾つかの例示について、若干の補足説明をいたします。
  「(2)推薦・委嘱の手順、年齢条件」に、「公募制の導入」がございます。これにつきましては、推薦に限るのではなく、一定程度の公募が必要ではないかといった御意見を踏まえたものとなっております。
  次に、「委嘱時・再任時上限年齢の取扱い」については、委嘱時、現在は原則66歳以下、そして再任時は原則76歳未満というルールがございますけれども、そういったものをどうしていくのかという御意見を踏まえたものとなっています。
  次に、「(3)職務内容の在り方、保護観察官との協働態勢の強化」のところに、「担当制の導入」がございます。これにつきましては、例えば、保護司の希望や時間的余裕に応じて、事件担当のみを行う保護司、犯罪予防活動のみを行う保護司、保護司会事務のみを行う保護司といった、担当制を採用すべきではないかといった御意見を踏まえたものとなっております。また、「平日夜間・休日の会合・研修実施や保護観察官対応」については、年末年始や閉庁時に問題が起きた場合に、保護観察官に対応してもらえると、保護司の処遇力の向上に資するのではないかといった御意見を踏まえたものとしております。
  次に、「(4)待遇、活動環境」の「会費・実費負担分の取扱い」につきましては、保護司会を運営するための会費が負担であるといった御意見を踏まえたものとしております。
  次に、「報酬制の導入」については、保護司活動を有償化して報酬を支払ったらいいのではないかと、こういう御意見を踏まえたものです。
  次に、「更生保護サポートセンターの在り方」については、土日に閉まっているので使い勝手がいまひとつといった御意見ですとか、設置場所について市町村の理解を得るのが難しいといった御意見を踏まえたものとなっております。
  最後に、「保護区・保護司会の在り方」については、保護司同士の横のつながりは温かくて、地域に自分の居場所ややりがいができたとすると感じる方々がいらっしゃる一方で、改善点を保護司会に進言しづらく、現状を変えられない精神的負担があるといった御意見を踏まえたものとなっております。
  事務局からは以上でございます。
倉吉座長 ありがとうございました。大体こういう論点があるのかなというのを、アンケート結果を見ながら選び出してみたということのようですが。
  それでは、これを踏まえて御意見をお願いします。
井上構成員 御説明ありがとうございました。
昨年の6月に法務省の行政事業レビュー公開プロセスが行われ、テーマ2つのうちの1つに人権擁護委員に関する事項が選定され、6人の有識者が議論いたしました。私が取りまとめ役を仰せつかって、取りまとめをさせていただきました。
保護司がテーマではありませんでしたが、人権擁護委員も法務大臣から委嘱され、保護司と良く似た役割だと思いますので、ご参考までに議論の内容をご紹介させていただきたいと思います。
  まず、結果ですが、「事業自体の抜本的な改善」が3票、「事業内容の一部改善」が3票ということで、これだけ社会的にも広く評価されている制度であるにも関わらず、今日のテーマにあるように「持続可能ではないのではないか」という危機感をもった意見が6名の委員の方から出されました。私もそのうちの1人だったのですけれども、意見の内容は、大きく取りまとめると10項目になりました。その項目が、この論点ごとの課題事項にうまく入っているかどうかということを、私の方で確認させていただきました。
  結論としては、ほとんどの項目はこちらの論点の中に入っていましたが、1点だけ質問があります。公開プロセスの中で、「NPOの方々との積極的な意見交換を行ったらどうか」という意見がありました。今回の検討会の範囲は、先ほど御説明いただいた34ページだと思うんですが、第二次再犯防止推進計画の34ページの2の施策番号64とおっしゃられたんですけれども、小さな質問としては、施策番号64以外にも、この大きな2の「持続可能な保護司制度確立とそのための保護司に対する支援」、これ全体を範囲としているという理解でよろしいのでしょうかという質問が1つあります。次に大きな質問としては、先ほどの公開プロセスで出た意見というのは、35ページの3番「民間協力者(保護司を除く)の活動の促進」というところに、「民間ボランティアの活動に対する支援の充実」ですとか、36ページの「民間協力者との連携強化」というのがありまして、この辺りとちょうど対応しているように感じるんですが、今回の議論では、この35ページの3番、つまり施策番号69以下は特に対象にはしないという整理でよろしいでしょうか。
倉吉座長 そうですね。それでいいだろうと私は思っておりましたが、テーマそのものが持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会ということですので、この施策番号64を念頭に置いてやっていると。そのほかのテーマは、それはまたほかの問題であろうと思いますが、事務局の方で何か補足して説明することありますか。
中島企画調整官 事務局でございます。
  メインは施策番号64でございますけれども、今、井上東構成員からおっしゃられた、その余の部分につきましても、この本検討会で全く排除してしまうということではなくて、メインは64の部分、持続可能な保護司制度の制度といったことを検討しながら、その周辺の領域として御議論いただくこともあろうか考えております。
井上構成員 ありがとうございます。私も34、35、36ページを拝見していて、この35ページの「3.民間協力者(保護司を除く)の活動の促進」は、民間協力者、要は保護司の方以外の方々の活動という形で区切られている感じがいたしまして、保護司以外の方々と保護司との連携、橋渡しと言うべきか、その部分が多分論点の2でも3でも議論されないのではないかという危惧をしておりました。ちょうど2と3の間にあるような話でしたので、どちらに入るのかということで質問申し上げたんですけれども、今の御回答で了解いたしました。
倉吉座長 よろしいですかね。私もちょっと聞かれた趣旨を誤解していたかもしれません。これは保護司の活動の一環として、民間のほかの協力者との関係の連携がどうなるのかというのは、それは一つの対象になってくる。そこはもう自由に議論して、制限しない方がいいだろうなと思いますね。御指摘のとおりだと思います。
  保護司の皆さん方から、どなたかこの点に補足あります。特にありませんか。よろしいですか。
  ありがとうございました。
  それでは、具体的な個別の事項についての議論はこれから個別に進めていくことになりますので、詳しいところはそちらに任せるとして、お感じになったことなどあれば御発言を頂きたいと思います。保護司の皆さんの御意見を伺いたいと思いますので、山元構成員いかがですか。
山元構成員 この論点を見ての感想というところですね。
  基本的には、保護司の活動について網羅して、持続可能性というところを御検討いただくというところで、私自身は、これからまたこの中での議論の深まりというところで、いろいろまた出てくるのかなというところもあると思います。全般的なこととしては、大体網羅されているのかなと思います。
倉吉座長 ありがとうございました。
  栁川構成員、いかがですか。
栁川構成員 論点を一つずつ潰していくには、やっぱり時間を掛けて、この2の論点ごとの課題事項は、その都度やっぱり皆さんと話し合っていかないと、現段階で、この大枠の中でああしよう、こうしようというのは、まだ今の段階だと、それぞれのやっぱり考えや思いや発言が違うと思うんですよね。一つずつ潰していけば、その中で、これはおかしいんじゃないか、こういう方法だったら進めるんじゃないかとか、やっぱり個別の論点に入っていかないとなかなか、今の現状ではこの大枠の中で進めてもらって、個別の論点はそこで協議したらいかがでしょうか。
倉吉座長 ありがとうございました。
栁川構成員 いっぱいあるんですね、この個別だと、言いたいこと述べたいことが。だから、論点の中だと、もうこれは大枠の中で、これで進めていただければ結構だと思います。
倉吉座長 こういう検討会というのは難しくて、細かい細部に入っていくと、ばーっともう森の中に入っていくんですよ。そうすると、全体が見えなくなるようなところがありますんで、そこには私もできるだけ気を付けてやろうと思いますけれども。でも、大事なことだと思います、ありがとうございました。
  宮川さん、いかがですか。
宮川構成員 そのとおりだと思いますとしか言いようがないんですが、本当に、全体としたら、今言われたところ、補足込みで網羅できているんじゃないかなと思っています。本当に、個別になったらどう盛り上がっていくか分からないですけれども、それぞれでできたらなと思います。
倉吉座長 ありがとうございます。
  それじゃ、今、事務局から指摘を受けました。リモートで御参加いただいている野見山構成員、この点について何かあれば御意見を伺いたいと思います。
野見山構成員 課題事項よくまとめられているので、今後どんなふうに深まっていくのかなという、期待感というか、それに参加していって、意見述べていけるといいなというところです。
倉吉座長 それでは、杉本構成員、お願いします。
杉本構成員 ありがとうございます。私も、課題事項これで十分かと思っておりますけれども、これを見たときに私も、これ、意見を言うのがとても難しいなと思ったので、勉強しないとなという気持ちで、この事項を見ました。
倉吉座長 そうですか。いや、多分、保護司の皆さんの間でも意見が分かれることってたくさんあるのではないかと思うんですね。
杉本構成員 そうだと思います。なので、やはり先ほどのアンケートなどももう一回見直して、自分以外の方がどれくらい何考えているのか、よく見ておかないとなという気持ちになりました。
倉吉座長 先ほど井上構成員も行政事業レビューの中でもいろいろな意見が出たと言っていました。そういうこともできるだけ紹介していただいて、実りのある議論にしたいと思いますので、よろしくお願いします。
  小西構成員、お願いします。
小西構成員 ありがとうございます。この課題事項を拝見して、非常に範囲が広いとともに、保護司の使命といったとても抽象的なテーマ、非常に深遠なるテーマも含まれているので、これらについてどういうふうに議論を組み立てていくのがいいのかなども考えなければならないと思いました。また、使命などについても今後議論していくと思いますが、使命に関しては、現在の方針で活動されている保護司の各先生方のそれぞれの経験を踏まえた現状とともに、今後どういった社会像というんですか、更生保護が目指す社会像がどういったものかというのを、きちんと共通認識を持った上で議論を行う必要があるだろうとも思いました。
  あと、1点御質問ですが、先ほどの井上構成員が挙げられていました、NPOと対話をしたらどうかという意見が出たということなのですが、具体的にどういう観点での、リクルートの段階でのことなのか、どういうところでの対話なのかを、御教示いただければと思います。
倉吉座長 井上構成員、お願いします。
井上構成員 行政事業レビューというのは、実は1時間という短時間で、その場で皆さんが、いろいろな提案をされるので、具体的に余り細かな前提で提案されているわけではないと思いますが、今手元に原稿がありますので、申し上げたいと思います。まず、「ボランティアが人権の土台を支えるという基本的な構造は維持すべきと考えます。」という意見、これは賛成の話ですね。他方で、「いろいろなNPOが存在感を高めているので、これらのNPO等との積極的な意見交換を行い、情報を得る中で、声を上げられない人の要請にも応えることができるのではないか。」といった御意見がありました。
小西構成員 ありがとうございます。
倉吉座長 なるほど。そうすると、保護司数の減少ということだけに限った話ではないんですかね、今の話は。NPOとかほかの活動をしている人にも保護司になってもらおうよという、そういう話とは違うんですかね。
井上構成員 そこまでは、ここの御意見からは読み取れておりません。ただ、やはり隙間に落ちている部分、例えば、NPOの方々が支援している活動と保護司の方が支援している活動、それぞれ一生懸命やられているんだけれども、意見交換することによって、何か見落としを発見したりとか、双方が協力してできることがないのだろうかとか、そこら辺のことが、意見交換によって新たに出てくるのではなかろうかという、そういう御意見だと思います。
倉吉座長 ありがとうございました。
小西構成員 今御紹介いただいた御意見のように、NPOでいろいろと地域において密着した活動をしている団体が、子供食堂なども含めさまざまな形で増えていますが、その活動の中で、家庭の問題や地域における課題を把握しているNPOも多いと思いますので、そうした意見交換は保護司の活動をされていく中でも非常に参考になる、地域の意見を吸収していく上でも意味があるものではないかなと思いました。
  以上です。
倉吉座長 どうもありがとうございました。
  それでは、清永構成員、お願いします。
清永構成員 論点については、私、特に異論ありません。お話をずっと聞きながら考えていたのは、社会も高齢化して、人口も減って、定年も延長して、もっと言うと、恐らく事件数はこれから減っていくので、さあ、どういう出口を目指すのかなと思いながら見ておりました。恐らく、単純に保護司の数を増やすということよりも、質を向上していく。つまりより充実した更生保護の取組を目指し、今働いている人がもっとやりやすくなるということをゴールにしていくのかなというのが、この今の論点を見ていてぼんやりを思った最後の出口というところです。
  感想になりましたが、そういうことです。
倉吉座長 その感想は非常に大事だと思います。私も出口が難しいなというのは、本当にそう思うんですよね。でも、そこをみんなで頑張って議論していきましょう。
  事務局の方の論点ごとの課題事項、これよく整理してもらって書いてあるんですが、この中に、保護司の使命というのは、その上の細かい事項の実務的な論点の基盤として、横断的に貫くものと位置付けています。確かに個別の事項を考えていく上で、皆さんが考えている使命のイメージも違うかもしれないんですけれども、それを踏まえるとこの問題はどうなるのかなという観点に絶えず立ち返っていって、そして議論していくということが、特に現場の保護司の皆さんの中でも意見が分かれているようなところを、うまく取り入れていくということができるといいなと思いますが、確かに出口は難しいだろうと思います。
  ほかに、今の議論を聞いていて、個別に何か関心があることでも何でも結構です。リモートで参加している野見山さんも含めて、この際これだけは言っておきたいというようなことがあれば、どうぞ。栁川構成員、お願いします。
栁川構成員 ちょっと前の話ですけれども、令和3年に、総務省が全国4万人か5万人だかの調査をして、保護司を知っていますかというのが、ある程度知っていますというのが、国民の調査の中ですから6割ぐらいで、保護司活動がどんなことやっていますかというと、全く知らないという人が6割という記事を見ましただから、保護司のそのものも6割なんだけれども、保護司活動を知らないのが6割と。先日、保護司会連合会の会合で、保護司の適任者確保などいろいろなことで話し合ったんですけれども、誰に聞いても保護司の認知度というのがほとんど低いんですよね。保護司さんは知らないという人も現実にいるし、私も地元でいろいろな活動をしているけれども、役所の若手の職員に、「自分、は保護司で、部長とコンタクト取って予約してあるんですけれども」と言ったら、「保護司さんって何ですか」と聞かれました。役所の若い職員も保護司というのを知らない。
やっぱりまだまだ保護司というものが国民的に理解されない。先日の会合でも、保護司制度をPRすると、保護観察がやりにくくなってしまうのではないかという意見が出ました。自分が保護司だと名のりたくない保護司さんもかなりいること、それは事実なんですよね。やはりそういった保護司の基盤制度を作る以前の課題として、保護司の認知度とか国民に対する周知の在り方、つまり保護司制度の在り方をきちんと捉えていく必要があると思っています。
倉吉座長 ありがとうございました。こちらからどうやって発信していくかという問題もあるだろうとは思います。でも、私、昔法務省に勤めていたころに比べると随分映画も増えテレビドラマでも扱われ、いろいろな本が出て、保護司の認知度は高まってるのではないかと思っていたのですが、この点、清永構成員、いかがですか。
清永構成員 全体としては、報道される機会がやはり低いですね。それは確かです。どうしてかというと、これは二つ背景があると思います。
  1つは取材がやはり非常に困難であると、特にテレビメディアの場合は相手の個人情報を慎重にする必要がある。普通のこのほかの地域テーマを紹介するのよりも、労力がやっぱり2倍ぐらいは掛かってしまい、私も本当恥ずかしながら、司法担当を20年以上やっているんですが、現役の若手記者のときには、更生保護についてほとんど取材をする機会がありませんでした。解説委員になってようやく時間ができ、更生保護サポートセンターや保護司の方を取材するようにようやくなったというぐらいです。
  もう一つは、高い関心を呼びにくいという、ありていに言いますと地味ということでしょうか。ただ、倉吉さんがおっしゃいますとおり近年、最近はドラマや映画が増えました。これに対する、テレビドラマ、あるいは映画を見た人の反応が非常に純粋で前向きであることに、こっちの方がはっとさせられることは多いですよね。でもそれは、栁川さんがおっしゃいますとおり、裏返せば、いかにそれが従前知られていないかの現れなんだろうというふうにも感じます。そこは、自戒も込めながら、更生保護もしっかりやれというのを指導していきたいとしか、今言えないかなと。
倉吉座長 ありがとうございました。私も先ほど思わず、地道な活動を続けている全国の保護司の皆さんの明日を考える、地道って言ってしまいましたけれども、確かにそうなんですね。そこがいいという、そこが何か日本人の感性に訴えるようなところも、僕はあるのではないかなと思っているのですけれども。
  それと、先ほど栁川構成員が言っておられた、保護司の方から、私は保護司ですと名のりにくいというのは、それは名のってはいけないんではないかとか、その気持ちはよく分かりますよね。保護司さんが来るということは、前科者じゃないのと言われるというようなことありますからね。そういうこととは、またちょっと区別して考えないといけないでしょうけれども、確かに難しい問題ですね。ありがとうございました。
  ほかにはいかがでしょうか。何かございます。どうぞ、井上構成員、お願いします。
井上構成員 これも先ほど申し上げた公開プロセスの中の意見ですが、一つだけ、今回のこの議論の中にはうまく当てはまらないとは思うのですけれども、御意見として出たものがありますので、御参考までに申し上げます。
  デジタル化ということなんですけれども、実際の活動というのは、物理空間で起きる問題を解決するということですから、そういう現在の在り方を否定するものではありません。ただ、地域に必ずしも密着しない形で、デジタル的な対応を行う組織のやり方というのもあるのではないのかという御意見がありました。現実的な今回の議論の中では、なかなか処理しづらいとは思うんですが、そういう御意見もございました。
倉吉座長 どういう場面のデジタル化を念頭に置いて話しておられるのか。例えば、実際の活動をデジタルでやるというような、リモートでやるというようなことを考えたのか、それとも全然違うこと、ほかの行政的な事務を考えているのか。
井上構成員 多分この方のイメージだと、この「地域に密着している」というところは良い部分でもあるんですけれども、地域密着ということを前提にしない形で、ICTを利用した活動ができるのではないのだろうかという御意見だと思うんですね。それが具体的にどういう形かというのはちょっと分からないのですけれども、自分の地域で手が足りないところを、ICTを利用して他の地域の方にお願いするとか、そういったアイディアというのもあるのではないのかという御意見がありました。
倉吉座長 事務局の方で何かあります。デジタル化一般でも、今お話しになったことについて、何かありましたか。
中島企画調整官 デジタル化、まさにこの「論点・論点ごとの課題事項」のところの(4)の「待遇、活動環境」の中に、「デジタル化の推進」というのを入れてございます。令和5年度でございますけれども、各保護区にタブレットと、あとルーターを配置するということを進めております。また、保護司の方々に対して研修教材をオンラインでお伝えをしたり、あるいは保護司の方々からその報告書を頂くのをオンラインで頂くということで、H@(はあと)というプラットホームを構築をして、今運用をしているところでございます。
倉吉座長 また話題になると思いますんで、そのときにやりましょう。
  ほかにいかがですか。杉本構成員、お願いします。
杉本構成員 話が前後してしまうんですけれども、先ほど栁川構成員からあった話のときに思い出したことがありました。
  保護司を引き受けるってどういう気持ちなのというような、何というか、ただでさえ困っている人とか、一生懸命やっている人にいろいろ大変な思いをしている人がいる中で、悪いことした人を助けようというのが、ちょっと私には信じられないとか、ちょっと気持ちが理解できないとか、応援する気持ちになれないとか、そういう声というのが割とあるらしいんですね。ということは、何かさっきの課題事項の中で、保護司制度がみんなに認められているというか、納得されているものが前提ならば、この内容できっと網羅されるのかなと思っていたところをふと思い出したときに、その制度っておかしいよねというような、スタートが、まずそこの時点で納得していない人たちがもしかしたら増えてきているというか、若い世代なんかからすると、自分も大変、若しくは困っている人がそばにいる、悪いことをしていないのにというような、何となくそういった組織自体も嫌う傾向が強いなとも思いますし、その上でこの内容というのが理解されにくくなっているんだろうな、特に若い世代には、この保護司制度という自体が伝わっていきにくいのかなと思ったときに、この課題事項のもしかしたらその外側の何かなのかなと思ったことがありましたので、発言いたしました
倉吉座長 ありがとうございました。それ大きな問題だと思いますよ。
  今、犯罪被害者の皆さんの声というのが、以前に比べて大きく取り上げられるようになっていまして、その人たちから見ると納得できない。それで、まさに今、保護司のテレビドラマとか小説などでは、それで保護司が悩み苦しむといったことがテーマになっている。保護局のお話をさせていただくと、犯罪被害者支援を専門に担当する保護観察官や保護司を配置し、犯罪被害者支援の仕事をする。それが一緒に保護観察所で仕事をしていると。そこで非常にうまく調和のとれたことができるんじゃないかと、これはもう本当に模索しているような話ですけれどもね。当然、そういうことも話題になっていくと思います。保護司制度の発信ということを考えると、多くの保護司の皆さんが悩んでおられることだろうと思いますね。
 栁川構成員、お願いします。
栁川構成員 だから今、ギャップの保護司だねということも時々意見が出るんだけれども、犯罪被害者支援で犯罪被害者担当保護司さんが当然いるわけですよね。そうすると、逆に、今までやっていた、罪を犯して悪い人を何で助けるのというのと、逆に犯罪被害に遭った人をどうやって助けるのって、やっぱり保護司、片や犯罪被害者支援の保護司と、片や更生保護に基づいて再犯をしないように自助努力を助けるのが保護司の役目なんだけれども、やっぱりその2つの中で、最初お話しましたように、保護司制度の在り方って一体何なんだなというのは、たまには出ますよね。
  東京の保護司さんとかも時々話するんだけれども、やっぱり東京、神奈川というのは全国レベルでも人数多いし、事件数も多いし、私の保護区は神奈川でいつも一、二を争うトップの、良い悪いは別にしてトップの保護観察事件が多い地域なので、そうすると、うちのメンバーは犯罪被害者担当の保護司はいないけれども、やっぱり横浜は370万都市のとこだと、やっぱり当然何人かが犯罪被害者保護司の担当になるわけですよね。そうすると、あなたはなぜ普通の保護司さんと違うことをやるのって、皮肉でこう言われちゃう場合もあるんですよね。言葉尻は関係ないんだけれども、仲のいい友達同士なんだけれども、だったら普通の保護司に戻ったらって言ったけれども、やっぱり保護観察所の中で、この犯罪被害者支援の担当保護司を指名しなきゃいけないので、誰かやらないかということで私が指名を受けたので、本人自身は喜んでやりましたと言うんだけれども、両輪のギャップがまるっきり背中合わせなので。
  だから、今日は皆さん見識のある方ばっかりで、保護司制度の在り方というのを本当に何か根本的に見直していくには、本当に時間を掛けていかないと、単刀直入にこういう案がいい、ああいう案がいい、ではなくて、逆に言えば、経験談みたいなのをレポートで皆さんに出してもらったり、豊島区会長の山元さんなんかは年齢的にも若いし、きっといろいろないい意見をいっぱい持っていると思うんですね。香川の宮川さんも、やっぱりいっぱい意見を持っていると思うんですよね。だから、ここに関してどういった気持ちを持っていますぐらいで、提言じゃなくて簡単にちょっとレポート出してよとか、そういったので資料集めしながらやっていけば、言葉尻じゃなくて、文章の中で、じゃあ、どうやって皆さんが表現しているのかなというのを感じていかないと、やっぱりこう胸にしみるものが出てこないんじゃないかと思います。
倉吉座長 ありがとうございます。関連して、私の裁判官としての経験をお話したいと思います。裁判員制度で、判決まで終わると、裁判員からアンケートを取るんです。
  感想として、今まで犯罪を犯すようなやつはとんでもないやつだと思って、あんなやつは絶対許せないと、そんなものに裁判所の刑は甘いんじゃないかとずっと思っていたけれども、初めて裁判員になって中身を見て、犯罪を犯した方の人にもそれなりの言い分があるんだということが分かった。犯罪被害者も大事にしなければいけないけれども、彼らも再犯をしないようにするというのも大事にしなければいけないという哲学的な意見を書いてくる人がいるんです。だから、それぐらい実際の実情を見ると、人は変わるというところなんですね。そこの難しいところに、保護司もタッチしているというところもあると思います。それもまた今後の楽しみで、議論の俎上に乗せていきたいと思います。大変ありがとうございました。
  山元構成員、お願いします。
山元構成員 山元です。今、論点ごとの課題事項をお話しする順番なんですけれども、今伺っていて、その保護司の使命というところを最初に議論するのか、あるいは、いろいろ各論点を話した後にこの保護司の使命ということを議論するのかというところで、私の個人的な意見としては、皆さんからいろいろ意見を伺って、またこの保護司の使命ということを最終的に議論していくのが、建設的ではないかと思ったりしたんですよね。
倉吉座長 いろいろなところで、保護司の使命については議論をしていくことになると思います。
山元構成員 今、皆さんから伺っていると、理想と現実というか、本音と建前というか、まさにその辺りのところで、現実と本音をうまく皆さんで融合、引き出して、そこをどういうふうに将来的な保護司の増につなげていくか、そんなことがお話しできたらいいのかなと、直感的に思ったんですけれども。
中島企画調整官 事務局でございます。議論の順番について、資料の2-3を御覧いただきたいと思います。
  「検討会スケジュール案」について、7月の第3回に、論点についての意見交換として、推薦・委嘱の手順、年齢条件、そこに保護司の使命がございます。8月の第4回では、職務内容の在り方、保護観察官との協働態勢の強化、そして、ここでも保護司の使命がございます。9月の第5回では、待遇、活動環境、そして保護司の使命がございます。その後、10月から11月で地方別保護司代表者協議会での意見交換を事務局で踏まえまして、年内最後の12月の第6回で、論点についての意見交換ということで、保護司の使命等としております。まさに山元構成員おっしゃるとおり、まず個別にその実務的な論点を、皆さんの御意見を頂戴しながら、保護司の使命についても少しずつ御議論いただき、年内のまとめのところで、これまでのその個別の論点といったものを一巡した、それを踏まえて保護司の使命というのはどうだろうかということを議論いただく予定です。実務的な論点を積み重ねながら、最後に理念的な論点で締めくくるという形で、御議論の方を進めていただけたらよろしいかなと考えているところでございます。一言補足でございました。
倉吉座長 ありがとうございました。宮川構成員、お願いします。
宮川構成員 今、話を聞いていて、論点に要素として入れてほしいと思ったんですけれども、四国からわざわざ来させていただいたんですけれども、四国4県合わせても370万人いないような土地でやっていますんで、前の若手フォーラムの時も思いましたけれども、やっぱり地方と、地域によって全然違うんじゃないかな、感覚がすごい差があるんじゃないかなというのも思います。
  さっきのDXの話であったりとかも関わってくるんですけれども、地方だったら、個人が特定されてしまうととても困る人もいらっしゃるという中で、大規模な都市であればそれも思わない人もいたりする可能性もあるのかなと思います。なので、どこに入るか分からないですけれども、やはり事件担当を持てない保護司の方もいるんじゃないですか。犯罪自体というか、人口が少なくなってきたせいでほとんど起こらない分、事件担当がない人もいたりするという状況の辺もある。一方で、事件が起きるとすれば、本当に知っている村の中でしか起こらないので、知っとる人同士で担当をしなければならないという状態に対しても、何か検討ができたらなと思います。
  あともう一個、例えば、再犯を防止するのはなぜかというのが、さっきの話と一緒ですけれども、どうメリットがあるのかというか、どう社会的にいいのかというのがもっと伝わっていくような形にしたらいいなと思いますし、私のように自営業の商売人の感覚からしたら、再犯がされないことがすごい経済的メリットにもなるというか、それに関わるお金も掛からなくなる、犯罪者の処遇に関わるお金というのが多分、年間300万ぐらい掛かるんじゃないかなと思うんですけれども、そんなのも掛からなくなるメリットであるとか、やっぱり二度と犯罪被害者が増えないとか、なぜ保護司が再犯防止のために活動していることでメリットがあるというのがより伝わっていくような広報があってもいいのかなと思っていて、保護司自体の行為とか、内容が目立つというのと、保護司個人が目立つというのはまた別の話になってくるかなと思うので、先ほど懸念されていた、個人が保護司であることを周知することに対するデメリットというのを抑えながら、全体の役割というのを周知できる仕組みが欲しいと思いました。
倉吉座長 ありがとうございました。
  ほかに御意見もないようですので、本日の議論はこの程度にとどめたいと思います。ありがとうございました。
 
―了―