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平成14年版犯罪白書のあらまし 〈第3編〉 犯罪被害者の救済

〈第3編〉 犯罪被害者の救済

1 統計上の犯罪被害

(1 )刑法犯の被害者総数
   警察に認知された刑法犯(交通関係業過を除く。)の被害者数は,被害者が個人の場合では,近年おおむね横ばいであったものが,女子は平成8年から,男子は9年から増加傾向に転じた。13年の被害者総数は,前年比26万4,673人増(12.4%増)の240万5,710人である。

(2 )各被害の実情
   生命・身体に被害を受けた死傷者総数は,平成12年に4万人を突破し,13年には,4万5,777人となった。うち,死亡者は1,440人,重傷者は3,436人である。特に軽傷者の増加が著しい。
 財産上の被害における被害額を見ると,平成13年では,被害総額が約3,670億円であり,このうち現金の被害総額(約1,030億円)の罪名別構成比を見ると,窃盗が57.1%,詐欺30.0%,横領9.1%の順に多い。
 性犯罪の被害は,被害者及び被害発生率(女子人口10万人当たりの被害者数)のいずれも,近年増加傾向にある。平成13年では,強姦が,被害者数2,228人,被害発生率は3.4人であり,強制わいせつが,女子被害者数9,044人(前年比1,922人増),被害発生率13.9人である。
 被疑者と被害者との面識の有無を見ると,殺人及び傷害では,親族及びその他の面識者に対して行われる比率が高く,性犯罪や財産犯では,面識のない者に対して行われる比率が高い。


 刑事司法における被害者への配慮

   我が国では,被害者には告訴を行う権利が認められ,被疑者が不起訴となった場合の救済制度として,検察審査会への審査申立て等の制度が設けられている。これに加えて,刑事訴訟法等の一部改正(平成12年6月から13年6月にかけて施行)により,強姦罪等の性犯罪については,告訴期間の制限が撤廃された。
 公判手続に関しても,同改正では,裁判所は,適当と認める者を,証人に付き添わせることができるとされたほか,証人と被告人との間で遮へい措置を採ることや,映像等の送受信により通話するというビデオリンク方式により,別の場所に在席する証人を尋問することが認められた。一方,同改正では,被害者等から,被告事件に関する意見の陳述の申出があるときは,裁判所は,公判期日において,これを陳述させるものとされた。
 同改正と同時に成立した「犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律」では,被害者等から公判手続の傍聴の申出があるときは,その者が傍聴できるよう配慮しなければならず,また,被害者等から申出があった場合には,係属中の刑事被告事件の訴訟記録の閲覧又は謄写を許可できるなどとされた。


 犯罪不安と防犯意識に関する国際比較

   法務総合研究所では,罪種別の犯罪被害の有無,警察への申告の有無等を把握するとともに,犯罪被害実態に関する国際比較を行うため,国連犯罪司法研究所を中心として実施されている「2000年国際犯罪被害実態調査」に参加する形で,平成12年2月に,全国から無作為に抽出された3,000人を対象として,犯罪被害実態調査を実施した。
 同年の同調査に参加した先進国のうち,我が国と比較可能なデータを有しているのは,アメリカ,イギリス,カナダ,オーストラリア,フランス,オランダ,ポーランド,ポルトガル,スウェーデン,スイス及びフィンランドの11か国である。

(1 )我が国における犯罪不安と防犯意識の実態
   夜間の一人歩きには約8割が安全と回答し,自宅に夜間一人でいることは約9割が安全と回答した。不法侵入の被害に遭うことに関しては,約5割があり得ないと回答し,約3割があり得ると回答した。

(2 )犯罪不安と防犯意識に関する国際比較
   我が国は,被害に遭ったと回答した者の比率が,国際比較をした11か国中,フィンランドに次いで低く,平均防犯設備数も,同11か国中,最も少ない。


● 目次
 
○ 〈はじめに〉
○ 〈第1編〉 犯罪の動向
○ 〈第2編〉 犯罪者の処遇
○ 〈第3編〉 犯罪被害者の救済
○ 〈第4編〉 少年非行の動向と非行少年の処遇
○ 〈第5編〉 暴力的色彩の強い犯罪の現状と動向