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平成17年版犯罪白書のあらまし 〈はじめに〉

〈はじめに〉

 
 本白書は,平成16年を中心とする犯罪の動向,犯罪者の処遇等を概観するとともに,「少年非行」を特集した。
 近時,犯罪の深刻な脅威が社会の重大な関心事であり続けている。市民が安心して暮らすことのできる安全な社会をいかにして取り戻すかが重要な課題となり,各方面で幅広く検討が進められ,様々な取組が行われている。
 触法少年を含む少年刑法犯検挙(補導)人員は,少年人口が減少しているにもかかわらず,ここ数年おおむね20万人前後で推移し,刑法犯全検挙人員の約15%を占めている。また,10歳以上20歳未満の少年人口10万人当たりの刑法犯検挙(補導)人員の比率は,近年上昇傾向にあり,平成16年は1505.9と前年より低下したものの,なお戦後の少年非行のピークである昭和50年代後半ころに次ぐ高水準にある。さらに,少年による特異な凶悪犯罪が発生するなど,少年非行の動向は,なお予断を許さない状況にあるといえる。
 近年,特異・凶悪な非行を行ったのに,その動機等を理解することが困難な少年が後を絶たず,非行の背景に複雑な家族関係や発達上,資質上の問題を抱えている少年が少なくないともいわれている。
 今日,我が国においては,少子高齢化という人口構造の急激な変化の下,世帯人員の減少,離婚率の上昇,インターネットの普及,労働の多様化及び流動化等,少年を取り巻く環境が大きく変動しており,これらが少年にも様々な影響を及ぼしていると思われる。
 非行少年を更生させ,再非行を防止するには,非行事実はもとより,家庭,学校,地域社会等の背景も含めて事案の全容を解明した上で適切な処分を行い,矯正施設内又は社会内において,適切かつ効果的な処遇を行うとともに,必要に応じて少年の保護者に対する働き掛け等を行うことが重要である。さらには,家庭の監護能力の不足を補い,少年が地域社会の中で根を下ろしていけるように,社会全体として,彼らを身近で支え,導いていくことが最も喫緊の課題であろう。
 少年非行を抑止し,次代を担う者たちの健全育成を推進することは,社会全体の要請であり,少年非行に厳正・的確に対応することは,刑事司法に課せられた役割である。
 少年法制に関しては,16歳未満の少年の事件についても検察官送致を可能とし,犯行時16歳以上の少年が故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件については原則として検察官送致とすること等の処分等の在り方の見直し,検察官関与の導入等の事実認定手続の適正化,被害者への配慮の充実を内容とする少年法等の一部を改正する法律(平成12年法律第142号。以下「改正少年法」という。)が,平成13年4月に施行された後,4年が経過し,その運用が定着している。さらに,16年3月には,少年非行の現状に適切に対応するため,14歳未満の少年の少年院送致を可能とすること等を盛り込んだ少年法等の一部を改正する法律案が国会に提出されるなど,少年法制についての議論が続いており,この際,刑事司法が少年非行に関し果たしている役割を客観的なデータに基づいて振り返り,その役割を一層適切に果たすことができるよう検討を続けることが必要と思われる。
 本白書は,最近における我が国の少年非行の動向と非行少年の資質等を分析した上,非行少年に対する処遇の実情を紹介するとともに,少年法改正後の重大事犯少年の実態と処遇を紹介し,今後の議論のための資料を提供するものである。
 本白書は,4編から成り,第1編では,平成16年を中心とする犯罪の動向を,第2編では,検察,裁判,矯正及び更生保護の各段階における成人犯罪者の処遇の実情を,第3編では,犯罪被害の実態及び犯罪被害者のための施策を,それぞれ紹介し,第4編では,特集として,「少年非行」について記述している。
 なお,本稿の構成は,要約の便宜上,白書の構成と一部異なるところがある。


● 目次
 
○ 〈はじめに〉
○ 〈第1編〉犯罪の動向
○ 〈第2編〉犯罪者の処遇
○ 〈第3編〉犯罪被害者の救済
○ 〈第4編〉特集-少年非行