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平成17年版犯罪白書のあらまし 〈第1編〉 犯罪の動向

〈第1編〉 犯罪の動向

 刑法犯第1図第1表参照
 (1)  主な統計データ
     認知件数と発生率
   平成16年における刑法犯の認知件数は,342万7,606件(前年比6.0%減)であり,このうち交通関係業過(業過(業務上過失致死傷及び重過失致死傷をいう。以下同じ。)のうち,道路上の交通事故に係るものをいう。以下同じ。)を除く刑法犯(以下「一般刑法犯」という。)の認知件数は,256万3,037件(同8.1%減)であった。これらの認知件数は,戦後最多を記録した14年をピークとして,15年,16年と減少したものの,戦後全体を通して見ると,依然として高水準にある。
 罪名別では,窃盗が刑法犯の57.8%,交通関係業過が25.2%を占めており,窃盗の認知件数が前年より25万件余り減少したことが認知件数全体を減少させた要因となっている。
 他方,窃盗を除く一般刑法犯の認知件数は,12年以降,急増しており,16年は戦後最多の58万1,463件(前年比4.8%増)となった。
 また,16年における刑法犯の発生率(人口10万人当たりの認知件数の比率をいう。以下同じ。)は2,684.4(前年比172.7ポイント低下),一般刑法犯の発生率は2,007.3(同179.2ポイント低下),窃盗を除く一般刑法犯の発生率は455.4(同20.8ポイント上昇)であった。
     検挙人員
   刑法犯の検挙人員は,平成11年以降,6年連続で戦後最多を更新し,16年は128万9,416人(前年比1.5%増)であった。16年における一般刑法犯の検挙人員は元年以降最多の38万9,297人(同2.5%増),窃盗を除く一般刑法犯の検挙人員は昭和46年以降最多の19万4,146人(同3.0%増)であった。
 罪名別では,交通関係業過が刑法犯の69.8%,窃盗が15.1%を占めている。
     検挙率第2図参照
   検挙率は,近年低下傾向にあったが,平成14年以降,やや回復の兆しを見せ,16年は,刑法犯全体で44.7%(前年比3.4ポイント上昇),一般刑法犯で26.1%(同2.8ポイント上昇)と回復した。しかし,窃盗を除く一般刑法犯の検挙率は,依然として低下傾向にあり,16年は戦後最低の37.8%(同0.9ポイント低下)であった。

 (2)  窃盗を除く一般刑法犯
   殺人の認知件数は,横ばいないし微増傾向にあり,平成16年は1,419件(前年比2.3%減)であった。16年の検挙率は,94.6%(同0.5ポイント上昇)であった。
 強盗の認知件数は,近年著しい増加傾向にあったが,16年は7,295件(前年比4.8%減)となった。16年の検挙率は,50.3%(前年同)であった。
 強姦及び強制わいせつの認知件数は,近年増加傾向にあったが,16年は,それぞれ,2,176件(前年比12.0%減),9,184件(同8.4%減)であった。16年の検挙率は,それぞれ,64.5%(同1.0ポイント上昇),39.8%(同1.0ポイント上昇)であった。
 詐欺の認知件数は,14年以降,年々大幅に増加し,16年は8万3,015件(前年比37.7%増)と昭和35年以降で最多を記録した。検挙率は,大幅に低下し,平成16年は戦後最低の32.1%(同18.3ポイント低下)となった。最近のいわゆる振り込め詐欺の急増がその要因であり,16年における振り込め詐欺(恐喝)の認知件数は,2万5,667件であり,被害総額は,283億円を超えた。
 通貨偽造の認知件数は,12年以降急増し,16年は戦後最多の7,675件(前年比32.5%増)であった。16年の検挙率は,38.5%(同12.2ポイント低下)であった。
 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反の検察庁新規受理人員は,増加傾向にあり,16年は302人(前年比7.9%増)であった。

 (3)  窃盗第3図参照
   窃盗の認知件数は,平成14年に戦後最多の237万7,488件を記録するなど近年増加傾向にあったが,15年以降減少に転じ,16年は198万1,574件(前年比11.4%減)であった。検挙件数が3年連続して増加した結果,検挙率も回復し,16年は22.6%(同3.2ポイント上昇)であった。
 16年における重要窃盗犯(侵入盗,すり,ひったくり及び自動車盗をいう。)の認知件数は,40万7,929件(前年比13.0%減)で,窃盗全体の20.6%を占め,検挙率は,33.3%(同3.3ポイント上昇)であった。このうち,侵入盗は29万595件(同12.8%減),ひったくりは3万9,399件(同15.0%減)であった。

 (4)  裁判員裁判対象犯罪
   地方裁判所における通常第一審終局処理人員のうち,裁判員の参加する刑事裁判の制度(未施行)の対象となる犯罪に相当するものは,平成14年が2,818人,15年が3,089人,16年が3,308人であった。

 特別法犯
 (1)  主なデータ
   平成16年における特別法犯(条例違反を含む。以下同じ。)の検察庁新規受理人員は,89万3,258人(前年比2.7%減)であった。
 罪名別では,道路交通法違反が76万8,721人(86.1%)と最も多く,次いで,覚せい剤取締法違反2万522人(2.3%),出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)違反1万4,821人(1.7%),自動車の保管場所の確保等に関する法律(以下「保管場所法」という。)違反1万4,174人(1.6%)の順であった。
 特別法犯の減少は,道交違反(道路交通法違反及び保管場所法違反をいう。以下同じ。)の減少によるところが大きく,16年における道交違反を除く特別法犯の検察庁新規受理人員は,11万363人(前年比5.0%増)であった。

 (2)  新規立法
   最近の立法に係る特別法犯の平成16年における検察庁新規受理人員は,ストーカー行為等の規制等に関する法律違反が190人(前年比8.0%増),配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律違反が52人(同30.0%増),特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律違反が559人であった。

 特別な類型の犯罪
 (1)  交通犯罪
   交通事故の発生件数及び負傷者数は,昭和53年以降おおむね増加傾向にあり,平成16年は,それぞれ,95万2,191件(前年比0.4%増),118万3,120人(同0.1%増)と,いずれも過去最多を記録した。他方,交通事故の死亡者数は,7,358人(同4.5%減)であった。
 16年における交通関係業過及び危険運転致死傷の検挙人員は,90万389人(前年比1.1%増)であった。
 道交違反の送致件数では,速度超過,酒気帯び・酒酔い運転,無免許運転の交通三悪が71.6%を占めている。

 (2)  薬物犯罪
   平成16年における覚せい剤取締法違反の検挙人員は,1万2,397人(前年比16.2%減)であった。
 16年における規制薬物の押収量は,覚せい剤が約411キログラム,大麻が約1,055キログラム(過去最多),MDMA等錠剤型合成麻薬が46万9,483錠(過去最多)であった。
 国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(以下「麻薬特例法」という。)による同年の通常第一審における没収・追徴金額の合計は,過去最多の約38億5,400万円であった。

 (3)  財政経済犯罪
   平成16年における財政犯罪の検察庁新規受理人員は,法人税法違反が276人(前年比1.8%増),地方税法違反が70人(同79.5%増),所得税法違反が66人(同53.5%増),相続税法違反が16人(同45.5%増),消費税法違反が15人(同87.5%増)であった。
 16年における金融犯罪の検察庁新規受理人員は,出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律違反が990人(前年比9.3%減),貸金業の規制等に関する法律違反が462人(同21.3%減)であった。

 (4)  選挙犯罪
   平成16年は,参議院議員通常選挙が行われており,同年における公職選挙法違反の検察庁新規受理人員は,1,208人であった。

 (5)  ハイテク犯罪
   平成16年におけるネットワーク利用犯罪の検挙件数は,1,884件(前年比14.3%増)であり,このうち,詐欺が542件,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反が455件であった。また,不正アクセス行為の禁止等に関する法律違反の検挙件数は,142件であった。

 (6)  銃器犯罪
   平成16年における銃器発砲事件の事件数は,104件(前年比25.2%減)であり,死亡者数は,17人(同51.4%減)であった。
 16年におけるけん銃の押収丁数は,601丁(前年比23.4%減)であり,このうち,527丁(87.7%)が真正けん銃であった。

4 各種の犯罪者による犯罪
 (1)  暴力団の犯罪
   平成16年12月31日現在における暴力団構成員は約4万4,300人(前年比約100人減),準構成員は約4万2,700人(同約1,300人増)であり,暴力団構成員及び準構成員の総数は,近年増加傾向にある。同日現在,24団体が,暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律による指定暴力団に指定され,このうち上位3団体に所属する暴力団構成員が全暴力団構成員の72.9%を占めている。
 16年における暴力団相互の対立抗争事件の発生回数は,31回(前年比13回減)であり,銃器使用率は,61.3%であった。
 16年における暴力団構成員及び準構成員による一般刑法犯(危険運転致死傷を除く。以下,本編において同じ。)検挙人員及び特別法犯(交通法令違反を除く。)送致人員は,合計2万9,325人(前年比4.0%減)であった。罪名別では,覚せい剤取締法違反が18.5%と最も多く,次いで,傷害(14.7%),窃盗(11.1%)の順であった。

 (2)  外国人の犯罪
   平成16年における来日外国人による一般刑法犯の検挙件数は3万2,087件(前年比17.7%増),検挙人員は8,898人(同2.0%増),特別法犯(交通法令違反を除く。)の送致件数は1万5,041件(同12.6%増),送致人員は1万2,944人(同14.7%増)であり,いずれも統計の存する昭和55年以降最多となった。罪名別の検挙件数は,窃盗が2万7,521件(同20.5%増),強盗が269件(同5.5%増),入管法違反が1万2,516件(同18.6%増)であり,いずれも過去最多となった。

 (3)  精神障害者の犯罪
   平成16年における一般刑法犯検挙人員のうち,精神障害者は915人,精神障害の疑いのある者は1,373人であった。これらの者が一般刑法犯検挙人員に占める比率は,0.6%(前年比0.1ポイント低下)であり,罪名別では,放火(11.2%)と殺人(7.0%)で高い。

 (4)  犯罪歴がある者の犯罪
   平成16年における一般刑法犯検挙人員のうち,再犯者(前に刑法犯又は特別法犯(道路交通法違反を除く。)により検挙されたことがある者をいう。)は,13万8,997人であり,一般刑法犯検挙人員の35.7%(前年比0.1ポイント上昇)を占めている。


 諸外国の犯罪動向との対比
   フランス,ドイツ,英国及び米国と我が国における主要な犯罪の動向について対比すると,2003年の認知件数は,フランス,米国及び我が国において,前年より減少し,検挙率は,フランス,ドイツ及び我が国において,前年を上回った。正確な相互比較は困難であるが,各国の主要な犯罪の統計数値を見る限り,我が国の主要な犯罪の認知件数及び発生率は,他の4か国を大きく下回っている。
 殺人については,我が国は,これら5か国中,認知件数,発生率ともに最も少ない。


● 目次
 
○ 〈はじめに〉
○ 〈第1編〉犯罪の動向
○ 〈第2編〉犯罪者の処遇
○ 〈第3編〉犯罪被害者の救済
○ 〈第4編〉特集-少年非行