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はじめに

 人権擁護推進審議会(以下「本審議会」という。)は,これまでに,人権教育・啓発の在り方に関する答申(平成11年7月)及び人権救済制度の在り方に関する答申(平成13年5月)を行った。
 このうち,前者においては,人権啓発の実施主体の役割に関して,人権擁護委員は,地域において国民の日常生活に接しつつ広く人権尊重思想を普及する機関として,大きな役割を担うべきものとした(同答申第3,1(2))。また,後者においては,政府から独立した人権委員会(仮称。以下同じ。)を中心とする新たな人権救済制度の中での人権擁護委員の役割に関し,積極的に人権相談に従事するほか,市区町村や他の民間ボランティア,被害を受けやすい人々等との日常的な接触を通じて人権侵害の早期発見に努めるなど,人権救済においてアンテナ機能を担うとともに,各人権擁護委員の適性に応じて,あっせん,調停,仲裁等にも関与すべきものとした(同答申第7,3)上で,人権擁護委員が果たすべき役割の重要性にかんがみ,人権擁護委員制度については引き続き検討を行うこととした(同答申第7,4(3))。
 人権擁護委員は,現行人権擁護制度の創設以来,50年余にわたってその重要な一翼を担ってきたが,今日その実効性等につき様々な問題点が指摘されていることから,本審議会は,人権擁護委員制度の今日的意義,人権擁護委員の果たすべき役割,適任者確保の方策,人権擁護委員活動の活性化の方策等について改めて総合的な検討を加えることとし,本年9月に人権擁護委員制度の改革に関する論点項目を公表し,これにつき広く一般の方々からも意見を求めて審議を重ね,本答申に至った。
 本答申は,人権救済制度の在り方に関する先の答申の一部をなすものであり,本答申を踏まえて新たな人権擁護制度の一翼を担う人権擁護委員制度の充実強化が図られ,「人権の世紀」と呼ばれる21世紀にふさわしい人権擁護制度が早急に確立されることを切望する。


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