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コロナ禍における法務総合研究所国際連合研修協力部
及び国際協力部の活動について

国際連合研修協力部(国連アジア極東犯罪防止研修所(アジ研))

例年,アジ研では,世界各国の裁判官や警察官などの刑事司法実務家を招いて,国際研修等を実施していますが,新型コロナウイルス感染症の世界的流行による海外からの渡航制限措置のため,アジ研施設で行うそれらの研修やセミナーの実施を見送らざるを得ませんでした。

社会の至るところで非接触型の行動様式への変容が求められる中,アジ研においても,コロナ禍でできる活動を模索し,支援対象国の刑事司法制度や実務に関する調査研究を進めたほか,過去の研修参加者を対象としたオンラインでのセミナー(ウェビナー),オンライン研修(フィリピン,ネパールなど),日本の刑事司法手続を英語で紹介するビデオ教材の作成,オンラインで世界中に配信する講演会の実施,e-ラーニング教材の作成(カンボジア,東ティモール)などの新たな取組に挑戦しました。

第2回ウェビナーのプレゼンテーション・参加者交流

第2回ウェビナーのプレゼンテーション・参加者交流

特に,過去の研修参加者を対象としたウェビナーは,アジ研にとって初めての遠隔研修の試みでしたが,コロナ禍における刑事司法や犯罪者処遇上の対策といった,世界各国が直面する未曾有の共通課題について情報を共有する貴重な機会になりました。また,研修卒業生の良い交流の場となり,時差や通信環境などの障害を乗り越え,海外からの参加者を中心に,毎回100名前後と,多くの参加がありました。

日本の刑事司法関係機関や施設等を訪問して実際の制度運用を学ぶ,日本の文化慣習に触れる,研修生同士の人間関係を構築するなど,対面研修によらないと得られないものもあるため,一日も早い来日研修の再開が望まれますが,遠隔であっても,学びや交流の機会の提供を続けられるよう,知恵を絞って活動しています。

第2回ウェビナーの配信会場の様子

第2回ウェビナーの配信会場の様子

国際協力部

法制度整備支援を行う国際協力部においても,コロナ禍において,支援対象国の法律家などを日本に招いて行う研修や現地を訪れての調査,セミナー等が実施できない状況にあります。

しかし,それぞれの国が進めている法整備や司法改革等の取組は続けられており,国際協力部においても,JICA等関係機関と協力し,各国との間で培ってきたこれまでの協力関係を生かして,オンラインによる共同研究やセミナーを実施するなど,活動を継続しています。

オンラインによる活動では,通信環境の問題や対面で会話ができないもどかしさなどがありますが,一方で,距離を超えて容易につながることができる利点を生かし,多くの関係者が参加するセミナーや,各国横断的に関係者が集う会議を開催するなどしています。

また,写真のように,研修の参加者等がそれぞれ視聴できるe-ラーニング教材を作成して研修の準備をしており,その際には,当部の者などが裁判の関係者役として登場し,熱演しています。ほかにも,新たに法制度整備支援に関する重要なテーマを検討する研究会を実施するなど,様々な工夫を重ねつつ,法制度整備支援を続けています。

ウズベキスタンのe-ラーニング教材撮影の様子

ウズベキスタンのe-ラーニング教材撮影の様子