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第60回“社会を明るくする運動”作文コンテスト法務大臣賞受賞作品

平成23年1月25日

中学生の部

二橋 ももこ   「 手紙で伝える思い 」  

私はこの夏、ある本に出会いました。水谷修さんが書いた「夜回り先生からのこころの手紙~あおぞらの星~」という本です。水谷さんは、元高校教諭で、現在は様々な問題を抱える少年達のために力を尽くしている方です。この本の中には、水谷先生からのたくさんのメッセージが込められていました。私はその中で「想いは文字や手紙に込めて伝える」という言葉にとても感銘を受けました。先生は、本の中で「今は、携帯電話・メールの時代、手紙やハガキを書かなくても、誰かと話したり、連絡を取ることができます。でも、君たちのその時のこころや想いをきちんと伝えることができるのでしょうか。誰かに、こころや想いを伝える時は、一字一字に心を込めて、きちんと手紙やハガキを書きませんか。」と訴えています。私はこの本を読んで、その通りだと共感しました。私は携帯電話もパソコンも使わないので、メールをしていません。学校の友達は携帯電話を持っていて、毎日のようにいつもいっしょにいる友達へメールを送っています。私はその人たちに憧れ、自分も携帯電話が欲しいとずっと思っていました。しかし、母にそのことを話しても「だめ」と言われるだけでした。だから、私は、手紙を書きます。毎日学校でいっしょに過ごしている友達に顔を合わせては言いづらい照れくさいことを手紙に書いて伝えます。すると、いつもの会話からは思いがけないような強い思いや優しさ、つらさが返ってきて、私の心を揺らすことがあります。私は、私にあてて書いてくれたその思いを一枚たりとも捨てたことはありません。そして、何度も読み返します。暗唱できるくらい読み返した手紙でも、文字を見るたび、相手の気持ちや思いが伝わってきて、何度も感動します。また、私は、以前お世話になった先生方や遠く離れて会えなくなった友達にも暑中見舞いや年賀状を送っています。その時、必ず自分の手でメッセージを書きます。最後には「また会いたい」と伝えます。会えることはないかもしれません。でも,心の中で会いたいと思っていることを伝えたいのです。すぐに返事は届きません。でも必ず返ってきます。そして、相手も「また会いたい」と書いてくれます。私たちは会えなくても手紙の中で会っているのです。

 水谷先生は、本の中で「ネットの中に幸せはない」と語っています。私はネットの世界で何が起きているのか、みんながメールでどんなやり取りをしているのか知らずに毎日を過ごしています。しかし、私の学校の中ではインターネットでの書き込みやメールでのトラブルがあるという話を聞きます。仲の良い友達同士でも一日に何時間もメールをしたとか、携帯料金が何万円もかかったとかいう話を聞いたこともあります。ニュースでは、私と同じ中高生がネットや携帯電話でのトラブルが原因で自殺を図ったり、殺人事件を起こしたりしていると報道されることもあります。私は、そんなニュースを見ながら、彼らが携帯電話やネットで気持ちを伝えず、手紙で相手に自分の気持ちを伝えていれば、こんなことは起きなかったのではないかと心が苦しくなります。仲の良い人に手紙を書くのなら、まず、どんな言葉で思いを伝えようか考えます。そして、できるだけ綺麗な文字で書こうと努力します。手紙は相手のもとで一生生き続けるかもしれないと分かっているからです。携帯電話やパソコンの中の画一的な文字で本当の温かさは伝わるでしょうか。また、ボタン操作で簡単に作り出せる文字だから軽い気持ちでひどい言葉を平気で書き込むことができるのではないでしょうか。私は自分の握るペンから「死ね」などという恐ろしい言葉を書くことはできません。

 私はずっと、母が携帯電話を買ってくれないのは、お金がかかるからだと勘違いしていました。でも、母は携帯電話が原因で起きるトラブルを知っているからこそ反対していたのだと気付きました。今はまだ、手紙で充分です。

 今日、私は新しいレターセットを買いました。いろいろな色や柄が少しずつ入っているので、私は相手によって、どれがその人の好みに合うか選びます。そして、私は言葉も選びます。相手が傷付かず、つらい思いをしないように。少しでも幸せだと感じてもらうためです。人と人とは分かり合えた時自分は一人ではないと心強く思うことができるのだと私は思います。

 今の世の中は、様々な犯罪や人間関係のトラブルが起きています。その原因の一つは、人への思いやりが欠けているからだと思います。手紙の中は、私と相手の小さな世界です。でも、その中に心を支える大切な言葉があふれています。私は、手紙が心を結んでくれると信じ、これからも書き続けていきたいです。

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