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トップページ > 政策・施策 > 第14回国際連合犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス) > 京都コングレス専用ホームページが開設されました。(平成31年2月27日) > 京都コングレス便り

京都コングレス便り

 京都コングレスについて,皆様にその内容を知っていただくために,京都コングレス開催準備室より,「京都コングレス便り」と題して,随時情報発信していきます。
 初回は,コングレスについてご紹介する内容となっております。  

コングレスについて

 コングレスの正式名称は「国際連合犯罪防止刑事司法会議」(United Nations Congress on Crime Prevention and Criminal Justice [ⅰ]であり,5年に1度開催される刑事司法分野における国連最大規模の会議である。
 国連薬物・犯罪事務所(United Nations Office on Drug and Crime(UNODC))が事務局を務め,刑事司法分野の専門家が世界の犯罪防止・刑事司法分野の諸課題について議論しつつ,その知見を共有し,コミュニケーションを図ることで,様々な分野における国際協力を促進し,より安全・安心な世界を目指して協働することを目的としている。
 平成27(2015)年4月にカタールのドーハにおいて開かれた第13回コングレスには,世界140か国以上から司法大臣や検事総長をはじめとする刑事司法の専門家4000人以上が参加した。
日本では1970年に第4回コングレスが開催された実績があり,今回は50年ぶりの日本開催となる。

1970年京都コングレス

 今から49年前の昭和45(1970)年,大阪万博の年に,欧州以外の国で初めて,日本で第4回コングレスが開催された。
 第4回コングレスが日本開催に至る経緯について,総会議長を務めた馬場義続元検事総長は,「国際連合アジア極東犯罪防止研修所・・・を関係諸君の努力によって見事に運営してきたことが,結局においてわが国が刑事司法,矯正,保護の各分野において,いわゆる先進諸国に伍して決して遜色を見ない域に達していることを国際的に明らかにすることになり,またわが法務省がすぐれた組織力を持っていることを国連当局に認識させ,アジアにおいてはじめてこの世界会議の日本における開催方を求めてきたものと思う。」としている。[ⅱ]
 この第4回コングレスは,1970年8月17日から同月26日までの10日間にわたり,国立京都国際会館において,85か国の政府代表等1000人以上の参加を得て開催されたものであり,馬場義続元検事総長が総会議長を務めたほか,開会式には高松宮殿下同妃殿下が御台臨されて殿下よりお言葉が述べられ,法務大臣・最高裁判所長官の挨拶,総理大臣メッセージが述べられるなどした。
 第4回コングレスにおいては,国連が1960年代を開発の10年として開発計画を実施したこと,1970年が,第二次開発計画の推進される次の10年の幕開けの年に当たること等を受け,包括テーマが「犯罪と開発」とされ,分科会のテーマは,それぞれ第1分科会「社会防衛政策と国の開発計画」,第2分科会「犯罪・非行の防止及び規制に対する公衆の参加」,第3分科会「矯正の分野の最近の進展に鑑みての被拘禁者処遇最低基準規則」,第4分科会「社会防衛における政策の発展のためのリサーチの構成」とされた。
 そして,その成果として,第4回コングレスでは,コングレスにおける最初の政治宣言といえる「総会宣言」が採択された。
 このいわゆる「京都宣言」は,開発が人間の生活と環境に与える影響を慎重に考慮しつつ,各国が経済的,社会的発展のための計画を緊急に改善する必要があること,多数の国において,犯罪問題が質,量ともに重大化しているにもかかわらず,開発の過程において,十分な注意が払われていないことが明らかであること,犯罪が,より良い環境と生活を得ようとする国民の努力を脅かすものであること,世界の犯罪問題が内容及び規模において重大化していること,犯罪者の処遇を含む犯罪防止対策に現在払われている関心の不足が社会に重大な結果をもたらすこと等を指摘している。
 そして,その上で,(1)各国政府に対し,各国が計画している経済的,社会的開発の枠の中で,犯罪防止の施策を調整し,かつ,強化するための効果的な措置をとるよう要請する,(2)国際連合その他の国際機関に対し,犯罪防止の分野における国際協力の強化に高い優先権を与え,特に,犯罪と非行の防止及び規制に対し,施策を発展させるため効果的な技術援助を要請する国に対し,かかる援助を保障するよう促す,(3)犯罪防止の分野に,より直接的に,また,より意図的に関与していくため,いっそう効果的な措置をとるのに必要な行政上,専門上及び技術上の機構の在り方に特に留意するよう勧告する,といった内容であり,現代に通じる問題意識に基づいた非常に先見性に富んだものであったといえる。
 この第4回コングレスの日本開催は,戦後の高度成長を果たし,東京オリンピックを成功させた日本が,刑事司法の分野でもその存在感を十分に示したものであった。

コングレスの位置付けの変遷

 第4回コングレス開催当時,コングレスは,専門家会議としての性格が強く,刑事実務専門家がそれぞれの知見と経験を共有することに主眼をおいたものであったが,その後,刑事司法分野における世界的な課題について議論する政府間会議の色彩が濃厚となり,政策決定機関として位置づけられるようになっていった。[ⅲ]
 しかし,平成3(1991)年の国連総会決議により機構改革が行われた結果,刑事司法分野における政策決定機関として,国連に新たに国連犯罪防止刑事司法委員会(通称「コミッション」)[ⅳ]が設置され,平成12(2000)年以降,コングレスは,各国の犯罪防止・刑事司法分野における経験や意見の交換を行い,政策決定機関であるコミッションに対して助言・提言を行う諮問機関と位置づけられ,向こう5年間のコミッションを含む国連の犯罪防止・刑事司法分野の活動の方向性を示す役割を担うこととなった。[ⅴ]
 コングレスの性質・役割は変化してきたものの,多数の国から司法大臣,検事総長を含むハイレベルの各国代表が参加して議論を行い,犯罪防止・刑事司法分野における活動の方向性を示す役割を担うものとして,犯罪防止・刑事司法分野において依然として大きな意義を有している。

日本開催の意義

 第13回コングレスの約1年前ころ,日本政府は,国連からの打診を受け,第14回コングレスをホストすることを決定した。
 そして,第13回コングレスにおいて,大野恒太郎元検事総長は,日本代表団首席代表として演説し,社会の平和と安定のためには,犯罪防止・刑事司法が有効に機能していることが不可欠であること,誰もが安全・安心に暮らし,企業が自由に活動できる社会を実現するためには,法の支配(Rule of law)が社会の隅々まで浸透していることが大事であり,市民の間に法を尊重し,遵守しなければならないとの意識,すなわち,法の支配を支える法遵守の文化(Culture of lawfulness)が根付いていることが重要であることを述べられた。さらに,「犯罪のボーダーレス化」が進む中,我が国が,国際社会の一員として,こうした犯罪対策のための議論に積極的に貢献するとともに,国際機関を通じた支援を含む諸外国への技術支援・法制度整備支援を一層積極的に展開していくことを述べられた。
 その上で,国連犯罪防止刑事司法委員会での議論に諸外国と共に積極的に参加し,制度や文化の違いに基づく多様なアプローチを尊重しつつ,世界における法遵守の文化の浸透,そして,法の支配の更なる確立を目指していくこと,そして,その結実として,50年の節目となる2020年,我が国で二度目の夏季オリンピックも開催されるこの記念すべき年に,次回コングレスを主催することを提案したい旨述べられ,日本政府として次回コングレスの日本開催の意思を表明した。この意思表明は,参加各国の熱心な賛同を得,第14回コングレスの日本での開催が決定したのである。
 閉会式には,上川陽子前法務大臣のビデオメッセージが流された。
 上川前大臣は,ドーハ宣言[ⅵ]は,犯罪と戦い,法の支配を社会の隅々にまで浸透させることで,世界をより安全で平和にするための我々の新たな責務(コミットメント)となるものと信じていると述べた上で,日本は,我々の経験や教訓に基づく技術援助や能力強化を通じ,法の支配や人権尊重の理念を国際社会に浸透させ,この新たな責務を果たす所存であり,2020年という,1970年に日本がコングレスをホストしてからちょうど50年目の節目に当たり,東京ではオリンピック・パラリンピックが開催される記念すべき年に,日本がコングレスをホストすることが承認されたことに感謝する旨述べられた。
 お二方の言葉にあるように,50年ぶりの開催というシンボリックな意味,日本に注目が集まる特別な年であるというチャンスの持つ意味は大きい。
 前回の東京オリンピックでは,戦後の復興と国際社会への参加を旗印に,高速道路や新幹線などの都市インフラが整備された。
 それに対して,今回の東京オリンピックでは,一部高速道路の地下化や都市全体の緑化,パラリンピックの規模の拡大,日本全体のバリアフリー化などが進み,より成熟した都市へと変化するに違いない。
 犯罪防止・刑事司法の分野でも同様に,前回は,馬場元総長の言葉にあるように,戦後の日本が先進国と遜色ないことが国際的に認められた結果であったところ,今回は,この50年のたゆまぬ努力の結実としての国家の成熟や,徹底した法の支配の浸透,「世界一安全・安心な日本」を実際に体感してもらう絶好の機会となるに違いない。
 国内施策としても,第14回コングレスは,法の支配等の普遍的価値を世界各国に浸透させるための取組である「司法外交」のまたとない発信の機会であり,最初の大きなマイルストーンとなるべきイベントである。
 コングレス開催によって,日本の同分野における国際的なプレゼンスを高めるとともに,国内的にも,国民の関心を高め,再犯防止や安全安心な社会の実現に貢献できるきっかけとなればと考えている。
 この50年の間に,様々な世界・社会情勢の変化があり,「犯罪」のイメージや「安全・安心」のもつ意味なども変わってきている。
 50年を振り返って,その変化を踏まえて現在の課題について考えつつ,今後の50年を見据えた議論をする,そういった会議になればと思い,準備を進めている。

第14回コングレスの概要

 第14回コングレスは,2020年4月20日から27日までの8日間,50年前と同じ京都国際会館において開催される(以下「京都コングレス」という。)。
 全体テーマは,2016年のコミッションにおいて,「2030年アジェンダの達成に向けた犯罪防止,刑事司法及び法の支配の推進」とされ,議題⑴「社会的・経済的発展に向けた包括的な 犯罪防止戦略」,議題⑵「刑事司法システムが直面する課題に対する統合的なアプローチ」,議題⑶「法の支配の促進に向けた各国政府による多面的アプローチ。とりわけ,ドーハ宣言に沿って,全ての人々に司法へのアクセスを提供すること,効果的で説明責任のある公平かつ包摂的な機関を構築すること・文化の独自性を尊重しつつ法遵守の文化を醸成することを含む社会的,教育的その他の関連方策を検討すること」,議題⑷「あらゆる形態の犯罪を防止し対処するための国際協力及び技術支援,とりわけ(a)あらゆる形態のテロリズム(b)新興の犯罪形態」と決定した(議題に対応するワークショップテーマは末尾の表のとおりである)。
 2030年アジェンダとは,2015年の9月,ニューヨーク国連本部において開催された「国連持続可能な開発サミット」において,150を超える加盟国首脳の参加のもと,その成果文書として採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」[ⅶ]のことであり,ここに行動計画として掲げられた目標が,「持続可能な開発目標(SDGs)[ⅷ]」である。
 SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサルなもので,誰一人取り残さない(leave no one behind)ことを目指しており,特にゴール16「平和と公正をすべての人に」は,刑事司法の分野にも深くかかわるものである。
 コングレス本番では,議題について議論される全体会議,議題に関連したワークショップが開かれる委員会,サイドイベントの3つが同時並行で行われる。
 特に,サイドイベントは,各国政府,国際機関やNGOなどが,それぞれ重視する取組,発信したいテーマなどについて,パネルディスカッションなどの形式で行うものであり,同時に複数開催されているので,会議参加者は,プログラムを見て,自分の興味のあるサイドイベントを渡り歩くことも可能である。
 そのほかに,会期を通して,様々な展示ブースが出展される。
 近年数回のコングレスでは,この展示が低調であったことから,京都コングレスにおいては,企業等の参加を積極的に呼び込み,日本の最先端技術を紹介する場としても活用して活気のある展示ブースを目指している。
 また,京都コングレスにおいては「京都コングレス・ユースフォーラム」を開催する。
 未来の社会を担う若者たちに,自分たちの目線から自分たちの問題として,刑事司法について考えてもらえるよう,全体テーマは「安全安心な社会の実現へ~SDGsの達成に向けた私たちの取組~」であり,議題は⑴青少年犯罪の予防,罪を犯した青少年の社会復帰における若者の役割,⑵法遵守の文化を醸成するための若者の教育,⑶安全なネット社会に向けた若者の責任と決定した。
 事前に勉強会やシンポジウムを開催するなどし,本番で充実した議論ができるように工夫する予定である。
様々な価値観やバックグラウンドを有する世界の若者たちが,自分たちが暮らす社会のあり方について議論し,犯罪防止や刑事司法に対する理解を深めていただければと考えている。
 ぜひ皆さんに関心を持っていただき,安全安心な社会の実現について考えるきっかけとしていただければありがたいし,できるだけ多くの方に会場に来ていただいて,コングレスに参加していただきたいと願っている。
 
[ⅰ]持続可能な開発と人間の安全保障を確保する観点から,不正薬物,犯罪,国際テロリズムの問題に包括的に取り組むことを目的に設立された。
[ⅱ] 馬場義続「国連京都会議雑感」刑政82巻4号(昭和46年)
[ⅲ] 浦田啓一「犯罪防止・刑事司法分野における国連の活動」法律のひろば48巻9号(平成7年),松尾浩也「第11回国連犯罪防止会議に出席して」ジュリスト1297号(平成17年)
[ⅳ] 国連経済社会理事会の委員会の一つで,国連加盟国の中から経済社会理事会の選挙によってえらばれた40か国により構成され,犯罪防止及び刑事司法分野における国際的な政策を作成し,活動を調整する。
[ⅴ] 甲斐行夫「第11回国連犯罪防止・刑事司法会議(コングレス)の概要」法律のひろば58巻10号(平成17年)
[ⅵ]  ドーハコングレスにおいて採択された政治宣言。
[ⅶ] https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/
[ⅷ] https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html

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