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令和3年における「人権侵犯事件」の状況について

 法務省の人権擁護機関では、人権を侵害されたという方からの申告等を端緒に、その被害の救済を図るため、人権侵犯事件調査処理規程(平成16年法務省訓令第2号)に基づき、救済手続を実施しています。本年3月に令和3年の取組状況について公表しましたので、その内容を少し御紹介したいと思います。        
 令和3年に人権侵犯事件として新規に救済手続を開始した件数は、8,581件であり、そのうち、インターネット上の人権侵害情報に関する同手続の件数は、1,736件となっています。近年の特徴として、人権侵犯事件の総数は、減少傾向にありますが、インターネット上の人権侵害情報に関する人権侵犯事件数は高水準で推移しています。      
 ヘイトスピーチに関係する項目としては、「外国人に対する差別待遇」という項目があり、令和3年に人権侵犯事件として新規に救済手続を開始した件数は59件となっています。また、実際に取り扱った事例として、以下のようなものがあります。    

 -歯科医院による外国人に対する診療拒否-      
  外国人であることを理由に歯科医院の診療を拒否されたとして、被害者から相談があった事案である。 法務局が調査した結果、歯科医院から、今後は外国人に対する診察を断るつもりはないとの意向が確認できたほか、外国人に対する診察を再開したこと、外国人に対する人権の配慮の重要性を理解したことなどが判明した。 法務局は、被害者にその旨を伝えたところ、被害者は理解を示し、当該歯科医院における診察を希望するに至った(措置:「調整」)。      

 「外国人に対する差別待遇」については、過去にも、ネイルサロンや英会話教室等における人権侵犯事件がありましたが、いずれも小さな行き違いや先入観等が原因となっており、調査の過程で当事者間の関係を調整する形で手続が終了しています。差別的な取扱いとなってしまった原因を解きほぐし、当事者間の関係を調整するといった柔軟な解決を図ることができるのも法務省の人権擁護機関による救済手続の特徴の一つです。        
 人権侵犯事件の総数は、近年減少傾向にありますが、それでも依然として、多くの人権侵害の疑いのある事案が存在しています。ヘイトスピーチを含め、差別や虐待等人権に関する困りごとについて、より多くの方に法務省の人権擁護機関による人権相談や救済手続を御利用いただければと思います。

○令和3年における「人権侵犯事件」の状況について(概要)~法務省の人権擁護機関の取組~
https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken03_00108.html