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平成29年度国際協力人材育成研修

法務省法務総合研究所国際協力部は,平成29年11月5日から同月16日までの間,国際協力人材育成研修を実施しました。

研修目的

法務省は,独立行政法人国際協力機構(JICA)等と協力し,ベトナム,ラオス,カンボジア,ミャンマー,インドネシア,ネパール,東ティモール等の開発途上国を対象に,法令の起草・改正,法律家の人材育成等を支援する法制度整備支援を実施しており,支援対象国や支援の内容は年々幅を広げているところ,国際協力部がこの支援業務を担当しています。

国際協力部の教官・専門官は,法務・検察職員で構成されていますが,国際協力部が今後も開発途上国に対する法制度整備支援活動を適切に推進していくためには,これに携わる人材を計画的に育成する必要があります。

そこで,将来,法制度整備支援活動に携わりたいとの希望を有する法務・検察職員を対象に,支援活動の現場を直接見聞させることにより,支援に必要な知識を習得させることなどを目的として,国際協力人材育成研修を行っており,今回が9回目となります。

これまで,国際協力人材育成研修を受けた研修員の中から,合計7名が国際協力部に配属されています。

参加者

今回の研修には,法務省民事局から局付検事(裁判官出身)1名,同省人権擁護局から法務事務官1名,検察庁から検事3名及び検察事務官1名の合計6名が参加しました。

研修内容

今回の研修では,まず,国内研修を2日間行い,法制度整備支援の概要や訪問するベトナム,カンボジアを始めとする各国における支援の現状や課題,長期派遣専門家の業務等についての講義を実施して支援に関する基本的な知識を提供し,その後の国外研修で,ベトナム及びカンボジアに赴きました。

国外研修では,現地に長期派遣されている検事や裁判官,弁護士の専門家から,現地における法制度整備支援の活動や生活等について話を聞きました。ベトナムでは刑事分野の支援の相手方である最高人民検察院を訪問し,カンボジアでは民事分野の支援の相手方であるカンボジア弁護士会を訪問するなど,我が国の行っている法制度整備支援を様々な角度から見聞きしてもらいました。また,カンボジアでは,カンボジア王立法経大学の中にある名古屋大学日本法教育研究センター(カンボジア人の学生に対して,日本法の教育を日本語で行う施設)に赴き,研修員において,カンボジア人の学生に対して,日本の民事訴訟における弁論主義及び事実認定について日本語で講義を行いました。

ベトナム及びカンボジアでの国外研修の後,帰国し,更に2日間の国内研修を行いました。この国内研修には,上川陽子法務大臣が国際法務総合センターにおける視察の一環で来られ,研修員に対し,法制度整備支援活動の重要性についてお話しいただいた上,激励のメッセージをいただきました。

上川大臣による視察時の様子写真

上川大臣による視察時の様子

最高人民検察院(ベトナム)訪問時の様子写真

最高人民検察院(ベトナム)訪問時の様子

カンボジア王立法経大学での講義の様子写真

カンボジア王立法経大学での講義の様子

研修の成果について

研修員は,「研修を受けて法制度整備支援の理解が深まった。」,「法制度整備支援といっても,日本の法律や制度を押し付けるものではなく,相手国のニーズに応じて,各長期派遣専門家らが創意工夫をしながら相手国に寄り添う形で支援を行っており,それが相手国の我が国への信頼に繋がっているということが実感できた。」,「ベトナムとカンボジアという政治体制や発展の程度において異なる2カ国において現地の違いを肌で感じられたことは非常に有益だった。」などと話し,我が国が行っている法制度整備支援について理解を深めることができました。