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拘禁刑下の受刑者処遇等について

拘禁刑とは?

令和4年6月、刑法等の一部を改正する法律が成立し、懲役及び禁錮に代わって、新たに「拘禁刑」が創設され、令和7年6月1日に導入されました。

これまでの懲役受刑者については、作業を行うことが前提とされ、作業に一定の時間を割かなければなりませんでした。作業は、受刑者の改善更生や円滑な社会復帰を図る上で重要であり、その意義は拘禁刑が導入されても変わるものではありません。一方、受刑者の中には、作業よりも指導を優先的に実施した方が有効と考えられる者や、医療や福祉の面から、作業よりも支援的な処遇に多くの時間を割く必要性のある者もいます。より再犯防止に向けて効果的な処遇を行うためには、個々の受刑者の特性に合わせて柔軟な処遇を行っていくことが必要です。

このため、拘禁刑下においては、改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができるとされました。これにより、全ての受刑者に一律に作業を行わせるのではなく、受刑者一人一人の特性に応じた処遇を実施できるようになり、今まで以上に効果的な改善更生と円滑な社会復帰を図ることが期待されます。

受刑者処遇の充実を図るための取組

〇個々の特性に応じた処遇を実現するために

拘禁刑創設の趣旨を踏まえ、受刑者の年齢、心身の状況、執行すべき刑期、受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰の支障となる事情等に照らして、一定の共通する特性等を有する受刑者の類型ごとに、矯正処遇課程を設定します。矯正処遇課程には、それぞれ改善更生のために手当てすべき重要な事項などが定められています。

個々の特性等に応じて矯正処遇課程を指定し、その矯正処遇課程を実施する施設に集団で処遇することで、受刑者個々に必要な処遇を効果的かつ効率的に実施します。

矯正処遇課程の例

矯正処遇課程の例

〇特性に応じた矯正処遇等の実施

拘禁刑下においては、多職種の職員が連携し、作業、改善指導及び教科指導の充実を図り、個々の受刑者の特性に応じて必要なものを組み合わせて実施します。特に受刑者自身が処遇の必要性を理解し、自主的・意欲的に取り組めるよう動機付けのための働き掛けを強化しました。また、社会復帰支援についても、入所後早期から支援ニーズを把握し、住居・就業先・福祉サービスの確保など釈放後の社会生活を見据えた支援を実施します。

おわりに

再犯を防止し、安全で安心して暮らせる社会を実現するため、法務省矯正局では、拘禁刑創設の趣旨を踏まえた受刑者処遇の充実に取り組んでいます。より詳しく知りたい方は、法務省ホームページに、今後の刑事施設における矯正処遇等がどのように変わったかについて、資料を掲載しておりますので、ぜひご覧ください。