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ネパール Nepal


出典:外務省ホームページ(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/nepal/index.html)

司法制度概要

司法関係機関等
裁判所は、最高裁判所、控訴裁判所(州裁判所)、第一審裁判所(District Court)の3層があります。
また、汚職等を管轄する特別裁判所、公務員の労務を管轄する行政裁判所、抵当権の実行などを行う債権回収裁判所、労働裁判所などの特別法廷があります。
なお、2015年、新憲法で連邦制が採用され、立法府と行政府は、連邦・州・市村の3階層に分かれましたが、司法権は従前どおり連邦で統一されています。ただし、市・村レベルでは、「司法委員会(Judicial Committee)」が憲法で規定された紛争を調停や裁定で解決しています。
検察機関として、3層の裁判所に対応してOffice of Attorney Generalが存在します。
州の検察庁はJoint Attorneyが、地方検察庁はDistrict Attorneyが長となります。
検察官の職務権限は主に、警察の捜査への指示・連携、刑事事件の起訴決定権限、公判での活動、法執行の監督、訴訟における政府の代表等です。
弁護士に関しては、Nepal Bar Councilが資格の認定を管轄し、すべての弁護士はカウンシルに登録されます。弁護士と上級弁護士(経験15年以上で最高裁が認定した人)で合わせて約12,200人(2023年)います。
これとは別にNepal Bar Association(ネパール弁護士会)があり、こちらの登録は任意ですが、メンバーは約10,000人で、全国に支部があり活動しています。
代理人(agent)、弁論人(Pleader)の資格もありますが、1993年以降、新規の資格は与えられていません。

法体系
王政時代の1854年に欧米の法制度を参考に、ムルキアイン(国民法)が作られました。 民法・刑法・訴訟法が一体となり、ネパールの文化とヒンドゥー教の教義を取り入れたものです。
王政廃止・民主化に伴い、ムルキアインの近代化をはかることとなり、2017年に、基本5法(民法・刑法・民事訴訟法・刑事訴訟法・量刑法)が成立しました。民法起草は日本が支援しました。
この歴史からは、成文法をベースにした大陸法的な法体系といえますが、一方で解釈運用にはインド、イギリスの影響も強く、英米法的な発想も随所にうかがえます。

裁判制度概要
原則として三審制です。陪審制度等一般市民が参加する制度はありません。

法曹養成制度
司法公務員または行政庁の法務オフィサーになるためには、大学法学部を卒業後、公務委員会の試験を受けて、裁判所のベンチオフィサー、検察官、省庁の法務官等になります。
その後、昇級試験を受けて、上級のオフィサーや検察官、裁判官等になっていきます。
裁判官になるには、Judicial Councilの推薦にもとづき最高裁長官が任命し、最高裁長官は憲法委員会の推薦にもとづき大統領が任命します。
弁護士は、法学部を卒業後、Nepal Bar Councilの試験に合格し、短期間の研修とインターンシップを経ます。

活動・成果紹介

ネパールでは、2008年に王政廃止と連邦民主制への移行が宣言されたことに伴い、法制度の全面的な近代化を目指し、19世紀に制定された「ムルキ・アイン」(民事・刑事の実体法・手続法が混在した法典)の分割改正が進められました。このとき、ネパール側の強い要望を受けて、JICAが2009年から民法典の起草支援を開始し、国際協力部も、民法典の起草や民法解説書の作成に関する日本国内での研修に協力してきました。このような支援の結果、2017年に民法典が制定されました(2018年施行)。
これに加え、国際協力部では、刑事法分野についても独自の協力を開始し、2009年から現地セミナーを実施し、2011年からネパールの検事総長府の検事等を招へいして、共同研究を実施してきました。
また、2013年から2018年にかけて、事件処理の迅速化を目指したJICAの裁判所能力強化プロジェクトが実施され、国際協力部でも日本国内での研修を毎年受け入れました。
国際協力部は、現在も、JICAによる民法典の普及及び改正に向けた支援に協力し、日本国内での研修を受け入れているほか、独自の活動として現地セミナーを実施し、民法典等の運用改善のために日本の法制度や運用等を紹介するなどしています。

ICD NEWS掲載記事

■ネパールの民法支援に関する現地の活動(第99号 2024年7月号)【PDF】
■ネパール出張の報告 ~現地ワークショップの実施と今後の支援の方向性~(第99号 2024年7月号)【PDF】
■2023年度ネパール本邦研修(民法改正及び運用改善)(第98号 2024年3月号)【PDF】
■2022年度ネパール本邦研修(民法改正・運用改善)(第96号 2023年9月号)【PDF】
■ネパール出張 ~現地セミナー(日本の民事訴訟実務、専門訴訟の実務、財産法)~(第96号 2023年9月号)【PDF】
■ネパール・オンラインセミナー(不法行為法,国際私法,仮釈放,保護観察)(第90号 2022年3月号)【PDF】
■国際協力部のネパール法整備支援活動を振り返って(第87号 2021年6月号)【PDF】
■ネパールオンラインセミナー(国際私法,不法行為,公判前整理手続)(第86号 2021年3月号)【PDF】
■ネパール不法行為法の誕生(第86号 2021年3月号)【PDF】
■ネパール出張 ~ワークショップ及び民事模擬裁判~(第82号 2020年3月号)【PDF】
■ネパール最高裁判所及び最高裁判所法曹協会のワークショップ (第81号 2019年12月号)【PDF】
■最近のネパール刑事法の動向~「量刑法」を中心に~ (第77号 2018年12月号)【PDF】
■ネパール新民法の概要 (第77号 2018年12月号)【PDF】
■ネパール仮釈放・保護観察・量刑ワークショップ (第76号 2018年9月号)【PDF】
■ネパール新民法,遂に成立! (第73号 2017年12月号)【PDF】
■報道等に見るゴルカ地震からの復興状況について(第72号 2017年9月号)【PDF】
■新たな民法の制定に向けて~ネパール法整備支援の現場から(4)~(第71号 2017年6月号)【PDF】
■新たな民法の制定に向けて~ネパール法整備支援の現場から(3)~(第70号 2017年3月号)【PDF】
■第6回ネパール裁判所能力強化プロジェクト本邦研修(事件管理、調停)(第70号 2017年3月号)【PDF】
■新たな民法の制定に向けて~ネパール法整備支援の現場から(2)~(第69号 2016年12月号)【PDF】
■第5回ネパール裁判所能力強化プロジェクト本邦研修(事件管理、調停、民事執行)(第69号 2016年12月号)【PDF】
■新たな民法の制定に向けて~ネパール法整備支援の現場から(1)~(第68号 2016年9月号)【PDF】
■ネパールとネパールの人々(下) (第68号 2016年9月号)【PDF】
■ネパールとネパールの人々(上) (第67号 2016年6月号)【PDF】
■第4回ネパール裁判所能力強化プロジェクト本邦研修(事件管理、調停)(第66号 2016年3月号)【PDF】
■ネパール大地震から考えたこと (第64号 2015年9月号)【PDF】
■ネパール連邦民主共和国における大地震-そのとき現地では-(第64号 2015年9月号)【PDF】
■第3回ネパール裁判所能力強化プロジェクト本邦研修(事件管理)(第62号 2015年3月号)【PDF】
■第2回ネパール裁判所能力強化プロジェクト本邦研修(民事調停、家事調停)(第61号 2014年12月号)【PDF】
■第1回ネパール本邦研修(民事手続、刑事手続、調停)(第58号 2014年2月号)【PDF】
■ネパール裁判所プロジェクト(事件管理及び司法調停)のご紹介(第57号 2013年11月号)【PDF】
■平成25年度日本・ネパール司法制度比較共同研究(起訴状、証拠収集、証拠評価)(第57号 2013年11月号)【PDF】
■ネパール比較刑事法現地セミナー(第50号 2012年3月号)【PDF】
■日本・ネパール捜査訴追実務に関する比較研究(第49号 2011年12月号)【PDF】
■刑事司法制度及び刑事手続にかかる比較研究(第45号 2010年12月号)【PDF】
■民法及び関連法セミナー(第45号 2010年12月号)【PDF】
■第2回ネパール刑事訴訟法比較セミナー(第43号 2010年6月号)【PDF】
■ネパール刑事訴訟法比較セミナー(第42号 2010年3月号)【PDF】

調査研究報告

法務省法務総合研究所国際協力部では、支援対象国の法制や現状、社会的に関心の高い事項等について、外部専門家に調査研究を委託しています。ここではネパールに関連する調査研究の報告書を掲載しました。

■ネパールにおける現行民事法の現状と今後の立法動向【PDF】       紹介文【PDF】 

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※上記プラグインダウンロードのリンク先は2011年1月時点のものです。

この記事に関する問い合わせ先

〒196-8570
東京都昭島市もくせいの杜2-1-18国際法務総合センター
法務省法務総合研究所国際協力部
TEL 042-500-5150
FAX 042-500-5195
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