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8. その他の被害者支援

1 被害回復給付金支給制度

  詐欺罪や高金利受領罪(出資法違反)といった財産犯等の犯罪行為により加害者が得た財産(犯罪被害財産)は、その犯罪が組織的に行われた場合や、犯罪被害財産が偽名の口座に隠匿されるなど、いわゆるマネー・ローンダリングが行われた場合には、刑事裁判により加害者からはく奪(没収・追徴)することができます。
  このようにして加害者からはく奪した「犯罪被害財産」(※)を金銭化して「給付資金」として保管し、そこからその事件により被害を受けた方などに給付金を支給する制度が「被害回復給付金支給制度」です。

※外国の裁判等によりはく奪された「犯罪被害財産」を我が国が譲り受けた場合も同様です。


Q1 どのような人が支給の対象となるのでしょうか。

A 刑事裁判で認定された財産犯等の犯罪行為の被害者の方のほか、そうした犯罪行為と一連の犯行として行われた財産犯等の犯罪行為(※)の被害者の方々です。
  また、これらの被害者の相続人等の方々も対象となります。
  ただし、加害者の共犯者や加害者から不正な利益を得た人等は対象にはなりません。

※ 裁判では認定されなかったいわゆる余罪の犯罪行為で、その範囲は、具体的な事件ごとに検察官が定めることになっています。

『支給対象者』
Q2 どのくらいの額が支給されるのでしょうか。

A 支給額の上限は、各人が実際に被害を受けた額です。ただし、「給付資金」が被害額の総額より少ない場合は、「給付資金」を各人の被害額に応じてあん分した額がそれぞれへの支給額になります。
  なお、支給手続が開始された旨の官報への掲載や被害者の方々への通知にかかる費用等の金額はあん分する前に差し引かれます。

『支給例(費用等の金額を除く)』
Q3 支給を受けるにはどうすればいいのでしょうか。

A 刑事裁判により加害者から「犯罪被害財産」がはく奪されると、手続を行う検察官が支給対象となる犯罪行為や申請期間を定め、支給手続が開始されます。手続の開始は官報に掲載されますが(※) 、検察官が支給対象者がいることを把握している場合は、それら支給対象者には個別に通知をします。   支給手続が開始されれば、申請期間内に申請書(最寄りの検察庁に用意されています。法務省のホームページ検察庁のホームページからもダウンロードできます。)に必要な事項を記載し、所要の資料を添えて、手続を行っている検察官に提出してください(郵送でも構いません。)。 ※ 検察庁のホームページにも掲載されます。

『基本的な支給手続の概要』
 

★検察官又は検察庁をかたった虚偽公告等にご注意ください!★


  犯罪被害財産の支給を装った偽の「犯罪被害財産支給手続開始決定公告」や「被害回復分配金支払申請書」などと書かれた書面が送りつけられる事例が発生しています。
  検察庁では、公告の問合せ先として検察庁以外の組織を指定することはありませんし、申請人や申請を希望される方に手数料などの金銭を請求することはありません。
  検察庁が実際に行っている犯罪被害財産支給手続については、検察庁のホームページの「被害回復給付金支給制度」でご確認いただけますので、不審な書面の郵送や電話があった場合は、上記ホームページでご確認いただくか、公告したとされる各検察庁に電話でお問い合わせください。

2 犯罪被害給付制度

  通り魔殺人等の故意の犯罪行為によって、ご家族の方を亡くされたご遺族、重大な負傷又は疾病を負ったり、後遺障害が残った被害者の方に対して、国が給付金を支給する制度です。

○給付金の種類
 いずれの給付金も、一時金として支給されるものです。

  遺族給付金 …… 遺族((1)配偶者、(生計維持関係のある)(2)子、(3)父母、(4)孫、(5)祖父母、(6)兄弟姉妹、(生計維持関係のない)(7)子、(8)父母、(9)孫、(10)祖父母、(11)兄弟姉妹の順で第一順位の方)に支給

  重傷病給付金 … 重傷病(加療1月以上、かつ、3日以上の入院を要する負傷又は疾病(PTSD等の精神疾患については、加療1月以上、かつ、3日以上労務に服することができない程度の疾病))を負った被害者の方に、一定の期間を限度として、保険診療による医療費の自己負担分と休業損害を考慮した額の合算額(上限120万円)を支給

  障害給付金 …… 障害(障害等級第1~14級)の残った被害者の方に支給

  ただし原因となった犯罪行為が行われたときに日本国籍を有しない方で、かつ、日本国内に住所を有しない方は受給できません。

○給付金の減額,調整
  被害者の方にも原因がある場合等には給付金の全部又は一部が支給されないことがあります。
  また、労災保険等の他の公的給付や損害賠償を受けたときは、その額と給付金の支給額が調整されます。

○給付金の申請
  申請は、申請者の住所地を管轄する都道府県公安委員会に対して行いますが、具体的な手続としては、住所地を管轄する警察署又は警察本部に、申請書と必要書類を提出することとなります。
  なお、犯罪行為による死亡、重傷病又は障害の発生を知った日から2年を経過したとき、又はこれらの被害が発生した日から7年を経過したときには申請ができません。ただし、加害者により身体の自由を不当に拘束されていたことなどのやむを得ない理由により、この期間内に申請ができなかったときは、その理由のやんだ日から6月以内に申請することができます。

  詳しくは、最寄りの警察署・警察本部にお問い合わせください。

3 民事訴訟


『民事上の請求』
  被害者やご遺族等の方々が、犯罪によって生じた損害の賠償等について、加害者との話し合いがつかず、これについて民事上の請求をしたい場合、刑事裁判とは別に、民事訴訟を提起するなどの手続をとらなければなりません。
  民事訴訟においては、加害者に対し、どのような裁判を求めるのかを明らかにして訴え、加害者がどのような犯罪行為を行い、それによって、被害者やご遺族等の方々がどのような損害を被ったのかを主張する必要があります。また、加害者側がその主張を認めない場合には、上記のような事実を証明する証拠を提出することが必要になります。
  民事訴訟を提起した被害者やご遺族等の方々又はその法定代理人の住所や氏名が加害者に知られることによって、その方が社会生活を営むのに著しい支障を生ずる恐れがあるときは、裁判所は、住所や氏名の訴状等への記載を不要とする決定や、訴訟記録のうち、住所や氏名又はそれを推知させる事項が記載された部分について、その方ご本人以外の閲覧等を制限する決定をすることができます。
  このような手続について法律の専門家の助言を受けたいときは、法テラスや弁護士会等の団体が法律相談を行っています。問合せを希望される場合は、検察庁の被害者支援員等にご相談ください。
  なお、民事訴訟においても、刑事裁判と同様に、付添い遮へいビデオリンク方式での尋問が認められています。

損害賠償に関し刑事手続の成果を利用する制度については、こちらをご覧ください。

4 公営住宅への優先入居等


『公営住宅への優先入居等』
  犯罪行為により従前の住居に住めなくなった方について、地方公共団体によっては公営住宅(都道府県営住宅・市町村営住宅)に優先入居等ができることがあります。
  詳しくは、都道府県又は市町村の公営住宅管理担当窓口までご相談ください。

5 人身取引の被害者の保護

  人身取引は、被害者の人権を侵害する重大な犯罪です。我が国では、関係諸機関が、人身取引対策行動計画等に基づいて、人身取引の防止、撲滅、被害者の認知・保護に取り組んでおり、検察庁では、人身取引事件について厳正に対処しています。
  人身取引の被害者の認知・保護については、下図を参照してください。
 


『人身取引被害者保護の流れ』

6 関係機関・団体等における被害者支援

  被害者やご遺族等の方々の保護・支援のための制度は、検察庁だけでなく、様々な機関や団体等に設けられています。検察庁では、これらの関係機関や団体等と相互に連携・協力して支援活動を行っています。各機関や団体等による支援制度の詳しい内容については、それぞれの機関や団体等に直接お問い合わせいただいたり、ホームページなどをご覧いただくほか、検察庁の被害者支援員等にご相談いただければ、被害者の方の状況に応じて、支援を行っている関係機関や団体等を紹介いたします。
 

日本司法支援センター(法テラス)による支援制度

  日本司法支援センター(法テラス)では、犯罪被害者支援ダイヤルを設けて、被害後の状況やニーズに応じて、様々な支援情報を提供しているほか、犯罪被害者支援の経験や理解のある弁護士を紹介したり、収入や資産など一定の要件のもと、弁護士を依頼する場合の費用等について援助する制度が設けられています。
                                                      なくことないよ
○犯罪被害者支援ダイヤル 0120−079714
○法テラス犯罪被害者支援専用ウェブページ
 
https://www.houterasu.or.jp/lp/higaishashien1/
 

警察による支援制度

  警察では、犯罪被害給付制度のほか、一定の重大な事件、事故の被害者又はそのご遺族に対して、犯罪被害者等のための制度や捜査状況等を連絡する被害者連絡制度を設けています。また、被害者の方が、再び同じ加害者から危害を加えられることを防止するため「再被害防止要綱」を制定して、これに基づく措置を実施するなどしています。

[問合せ先] 事件を取り扱った警察署・警察本部
○警察の犯罪被害者等施策のホームページ
 https://www.npa.go.jp/higaisya/

 

弁護士会による支援制度

  全国各地の弁護士会に、犯罪被害者の方々の支援に関する研修を受け、犯罪被害者の方々を支援した経験のある弁護士がいます。また、全ての弁護士会に、犯罪被害者の方々のための法律相談窓口が設置されています。

○弁護士会の相談窓口紹介
(日本弁護士連合会ホームページ内)
 https://www.nichibenren.or.jp/activity/human/victim/whole_country.html

 

民間被害者支援団体による支援制度

  各都道府県公安委員会から指定を受けた犯罪被害者等早期援助団体をはじめ、様々な民間被害者支援団体が電話相談、検察庁や裁判所などへの付添い、被害者やご遺族等の方々の自助グループ支援などの活動を行っています。

○犯罪被害者団体等の紹介(警察庁犯罪被害者等施策ホームページ内)
 https://www.npa.go.jp/hanzaihigai/seifu/dantai_top.html

*上記の警察庁のホームページでは、民間被害者支援団体の紹介だけでなく、そのほかの被害者支援の相談窓口も紹介されています。
 

地方公共団体による支援制度

  地方公共団体によっては、公営住宅への優先入居のほかに、相談窓口を設けて被害者やご遺族等の方々の相談業務を行っていたり、被害者やご遺族等の方々に対する各種扶助等の経済的支援などを行っている場合があります。

[問合せ先] お住まいの都道府県や市区町村の担当窓口
○地方公共団体における総合的対応窓口一覧
(警察庁犯罪被害者等施策ホームページ内)
 https://www.npa.go.jp/hanzaihigai/local/madoguchi_list.html

*地方公共団体による支援制度は、都道府県や市区町村によって、その内容が異なります。