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刑務作業

刑務作業のあらまし

1 刑務作業の目的

  刑務作業は、刑法に規定された懲役刑を執行する場として、刑事施設に拘置して所定の作業を行わせるとともに、改善更生及び円滑な社会復帰を図るための重要な受刑者処遇の一つです。また、所内で規則正しい生活を送らせることにより、その心身の健康を維持し勤労意欲を養成して、共同生活における自己の役割や責任を自覚させ、職業的知識及び技能を付与することにより、円滑な社会復帰を促進することを目的としています。

2 刑務作業の実施状況
  刑務作業は、全国74の刑事施設(刑務所、少年刑務所及び拘置所)において実施され、約3万2千人が就業しています(令和5年12月末日現在)。刑務作業に従事する者としては、刑法(第12条第2項)上の所定の作業として就業している懲役受刑者又は罰金等を納められず、その代わりとして就業する労役場留置者のほか、就業の義務はないが申出により就業することができる禁錮受刑者及び拘留受刑者がいます。
  受刑者等は、木工、印刷、洋裁、金属及び革工などの業種から、各人の適性等に応じて職種が指定され、就業します。

 
作業風景   作業風景
工場内での作業の様子    刑務作業(いす製作作業)の様子


3 刑務作業の種類 
  刑務作業には、生産作業、社会貢献作業、職業訓練及び自営作業の四つの種類があります。
(1)生産作業
   物品を製作する作業及び労務を提供する作業で、下記の三つに区分されます。
 ア 製作作業
   生産に用いる原材料の全部又は一部が国の物品である作業

 イ 提供作業
   生産に用いる原材料の全部が契約の相手方から提供された物品である作業又は国が被収容者の労務のみを提供して行う作業

     提供作業の流れ
提供作業の流れ
 
 ウ 事業部作業
   生産に用いる原材料の全部又は一部が矯正協会刑務作業協力事業部(※)の物品である作業

             事業部作業の流れ


※(公財)矯正協会刑務作業協力事業部:刑事施設における作業の安定的運営に資するため、刑務作業に必要な原材料の提供等を行っています。


(2)社会貢献作業
  労務を提供する作業であって、社会に貢献していることを受刑者が実感することにより、その改善更生及び円滑な社会復帰に資すると刑事施設の長が特に認めるものをいいます。令和2年度には、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、民間の医療機関に対して、感染予防に用いられるアイソレーションガウンを全国42の刑務所で令和2年5月中旬から令和3年3月までに約140万枚を製作する支援を実施しました。縫製作業に従事した受刑者も、「ガウンを作ることで助かる人がいると思うとやりがいを感じる。」と話すなど前向きな姿勢で作業に取り組み、社会の一員としての自覚や自己肯定感の向上につながっています。


         

(3)職業訓練

   出所後の就労が有利に働くよう受刑者に職業に関する免許若しくは資格を取得させ、又は職業に必要な知識及び技能を習得させることを目的として実施しています。受刑者の再犯を防止し、改善更生を図る上で極めて重要な方策の一つです。
   この職業訓練は、「受刑者等の作業に関する訓令」(法務大臣訓令)に基づき、全国から受刑者を集める総合訓練、刑事施設の所在地を所管する矯正管区の管轄区域内にある他の刑事施設に収容されている受刑者を集める集合訓練及び実施施設の受刑者を対象とする自庁訓練の三つの方法によって計画的に実施されており、現在、溶接科、建設機械科、フォークリフト運転科、情報処理技術科、電気通信設備科、理容科、美容科、介護福祉科等約60種目が実施されています。 
介護福祉科職業訓練  建設く体科職業訓練 自動車整備科職業訓練
 
 
ITスキル養成科    フォークリフト運転科職業訓練
 

溶接科職業訓練

CAD技術科職業訓練

(4)自営作業
    炊事、洗濯等をはじめとする受刑者等が矯正施設で生活するにあたって必要な作業を言います。施設によっては、建物の簡単な修繕や畳替等も行っています。
       

4 外部通勤作業
   収容生活の中で一定の要件を満たしている受刑者については、刑事施設の職員の同行なしに刑事施設の外の民間の事業所に通勤して作業に従事させたり、職業訓練を受講させたりしています。
  外部通勤作業は、受刑者の自律心や責任感に基づいて、社会的な職業集団における自己の地位や役割を認識させ、一般社会における人間関係の在り方を学ばせ、また、社会的視野の拡大を可能にする等、受刑者が自主的にその行動を規制することにより、円滑な社会復帰を図るための制度です。

       


 5 作業収入
   国が民間企業等と作業契約を結び、受刑者の労務を提供して行った刑務作業に係る収入は、すべて国庫に帰属します。令和4年度の刑務所作業収入は、約21億円となっています。

 6 作業時間
   受刑者の作業時間は、他の矯正処遇の時間と合わせて、1日につき8時間を越えない時間で就業することとなっています。

 7 作業報奨金
   刑務作業を実施した受刑者等には、出所後の生活資金の扶助として、作業報奨金が支給されます。支給は、原則として釈放の際、本人に対してなされますが、在所中であっても、所内生活で用いる物品の購入や家族の生計の援助等に使用することも認められています。
 作業報奨金の1人1月当たりの平均支給計算額は、約4,537円となっています。
(令和4年度)

 8 手当金
   国は、刑務作業を実施するに当たり、労働安全衛生に関する法令に準じた措置を講ずる等、作業災害の発生防止に万全を期しています。
 しかしながら、就業者が作業上不測の事故等により、身体に障害が残ったとき等は、障害の程度に応じて手当金が支給されます。


 9 矯正展
  
刑事施設等では、矯正行政に対する理解と協力を得るため、施設内で行われている矯正処遇の取組の紹介や刑務所作業製品の展示・即売を行う矯正展を開催しています。全国の刑事施設等が一堂に会する「全国矯正展」は、令和5年は会場を「東京国際フォーラム」に変更して開催しました。

 ※刑務所作業製品については、こちらを御確認ください。