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少年矯正を考える有識者会議第9回議事概要

1 日時:平成22年8月3日(火)午後3時15分から午後5時まで

 

2 場所:矯正研修所教室

 

3 出席者

(座  長)岩井宜子(専修大学法科大学院教授)

(座長代理)広田照幸(日本大学文理学部教授)

(委  員)石附 敦(京都光華女子大学大学院人間関係学研究科長・教授)

影山秀人(弁護士)

川﨑道子(元中央更生保護審査会委員)

津富 宏(静岡県立大学国際関係学部准教授)

徳地昭男(元武蔵野学院長)

廣瀬健二(立教大学大学院法務研究科教授)

本田恵子(早稲田大学教育・総合科学学術院教授)

毛利甚八(作家)

                      (敬称略,委員は五十音順)

法務省)尾﨑道明矯正局長,横尾邦彦官房参事官(矯正担当)ほか

 

4 議題 

(1)配布資料説明

(2)職員の人権意識の向上及び職員育成の在り方について(意見交換)

 

5 会議経過

(1)事務局から,配布資料について説明を行った。

(2)職員の人権意識の向上及び職員育成の在り方について意見交換を行った。

   主な意見は,以下のとおりであった。

ア 法務教官の専門的能力の育成等について

    アンガーマネージメント研修等を通じ,教官自身が現実検討能力やグループダイナミックスを読み取る能力を身に付けていく必要がある。

    生育歴等から,少年の問題点を見極め,その少年が社会に戻ったときに環境の変化に耐えうる力を身に付けられるような適切な個別的処遇計画を立案するとともに,その少年だけでなく,家庭との関わりも視野に入れた処遇を行うことも必要な専門性ではないか。

    教官を「少年のパートナー」として位置付け,少年と一緒に活動することを通して,教官自身の共感性を高めていくことが大切である。

    法務教官が最低限行わなくてはならない業務だけでも多岐に渡る。例えば,少年が,家庭や学校で身に付けてこなかったことを育て直すことを最重視するなど,優先順位を考える必要がある。

イ 法務技官の専門的能力の育成等について

    心理学等の基礎的知識,面接技法等の習得に加え,目の前の少年について理解したことを,的確に分かりやすく関係機関等に伝達する力が重要である。

    鑑別を通して把握したことを,少年の成長に役立つように,本人や保護者に伝える力も重要ではないか。

    スーパーヴァイザーを育てるための研修等も重要ではないか。

    人間行動科学の進歩は目覚ましいので,外部の学会等に積極的に参加し,研さんすべき。

 ウ 職員育成に有効な方策について

    職員に対する人権教育は,抽象的なものではなく,具体的な処遇場面での対応に即して行われるべき。

    関係機関等とのケースカンファレンスが専門性向上のために大切である。

    職員研修において,不適正処遇や人権侵害がどのように発生するのか,実際の不適正処遇事案に即して考えさせる必要がある。

    スーパーヴァイズ,メンター制は有効と思われるので,今後充実させる必要がある。

    専門的な知識・技能は多様化しているので,積極的に外部から学ぶことが必要である。そのためには,例えば,外部への短期派遣や研究費の確保等が望まれる。

 

4 今後の日程

次回は,8月10日(火)法務省で開催し,引き続き,職員の人権意識の向上と職員育成の在り方についての議論及び九州大学武内謙治准教授から海外の少年矯正制度についてのヒアリングを実施する予定。