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少年矯正を考える有識者会議第10回議事概要

 

1 日時:平成22年8月10日(火)午後2時から午後5時45分まで

 

2 場所:法務省20階第1会議室

 

3 出席者

(座  長)岩井宜子(専修大学法科大学院教授)

(座長代理)広田照幸(日本大学文理学部教授)

(委  員)石附 敦(京都光華女子大学大学院人間関係学研究科長・教授)

      市川宏伸(東京都立小児総合医療センター顧問)

影山秀人(弁護士)

川﨑道子(元中央更生保護審査会委員)

津富 宏(静岡県立大学国際関係学部准教授)

徳地昭男(元武蔵野学院長)

廣瀬健二(立教大学大学院法務研究科教授)

本田恵子(早稲田大学教育・総合科学学術院教授)

                      (敬称略,委員は五十音順)

法務省)尾﨑道明矯正局長,澤田健一官房審議官(矯正局担当)ほか

 

4 議題 

(1)配布資料説明

(2)職員の人権意識の向上及び職員育成の在り方について(意見交換)

(3)海外の少年矯正制度についてのヒアリング

 

5 会議経過

(1)事務局から,配布資料について説明を行った。

(2)前回に引続き,職員の人権意識の向上及び職員育成の在り方について,以下アないしウの各項目について意見交換を行った。(会議には,矯正研修所清水教官及び工藤庶務課長が同席した。)。主な意見は,以下のとおりであった(順不同)。

ア 幹部職員の育成等について

・幹部職員には,組織の動かし方,社会とのつながり方等を理解し行動できる総合的マネジメント能力が求められる。

・広島少年院不適正処遇事案について,幹部職員に求められるもののうち何が足りなかったのかを更にしっかり検討すべき。

・幹部職員には,意図的に職場の風土を作っていく能力が求められる。そのため,例えば,民間企業を含め,他の組織との人事交流の機会があるとよいのではないか。

・幹部職員の研修内容に,組織の在り方そのものを考えていくようなワークショップを取り入れるのも効果的ではないか。

・幹部職員には,部下職員と意思疎通を図り,具体的な処遇方法を助言する能力も求められる。

イ 職員の行動基準等について

・職員の行動基準の大原則はきちんと法律に定め,具体的な処遇場面に即した指針等は各施設で定めるなど,レベルを分けて作成すべき。

・行動基準を定めただけでは人権を保障したことにはならない。それを現場に周知させ,全職員に理解させることが大切。

・職員が人権についての基本を正しく理解できれば,少年に対する言葉遣い一つをとっても,自らの判断で適切にできるのではないか。

・体罰の禁止規定は法律に書くべきではないか。

・禁止事項ばかりでなく,職員が意欲を持って勤務できるような規定も必要である。

 ウ その他

・人はどのようなときに残虐な行動を取るのかに関する先行研究の知見を研修で学ばせてはどうか。

・少年の人権を守るためには,職員の人権が守られている必要があり,執務環境を向上させ,余裕とゆとりを持って勤務できるようにすべき。

・視察用カメラ等の保安機器を更に充実させるべき。

・関係機関をはじめ部外との共同研究・研修をもっと活発に行うべき。

・見学者を積極的に受け入れ,業務を見てもらうことで,職員のモチベーションも上がるのではないか。

・法務教官の位置付けをしっかりと定め,将来的に国家資格化するなどして,職員がプライドを持って勤務できるようにすべき。

(3)九州大学武内謙治准教授から,海外の少年矯正制度(ドイツを中心として)についてヒアリングを実施し,質疑応答が行われた。

 

6 今後の日程

次回は,9月9日(木)に法務省で開催し,処遇環境・執務環境の在り方等について議論するとともに,被害者の視点から見た少年矯正についてヒアリングを実施する予定。