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中国

中国では、「テロ活動」は、「(1)人員の死傷、重大な財産損害、公共施設の損壊若しくは社会秩序の混乱等の重大な社会危害をもたらし、若しくはもたらすことを意図する活動を組織し、若しくは画策し、又はその実施を準備し、若しくは当該活動を実施する行為、(2)テロリズムを宣揚し、テロ活動の実施を煽動し、又はテロリズムを宣揚する物品を不法に保有し、他人に対し公共の場所においてテロリズムを宣揚する服飾若しくは標識を身につけるよう強制する行為、(3)テロ活動組織を組織し、若しくは指導し、又はこれに参加する行為、(4)テロ活動組織、テロ活動人員又はテロ活動若しくはテロ活動養成・訓練の実施のために情報、資金、物資、労務、技術又は場所等の支持、協助又は便宜を提供する行為、(5)その他のテロ活動」(注1)とされている。

「テロ活動」に関連する法制面では、1997年の刑法改正により、「テロ活動」や「テロ組織」に関する処罰規定が設けられ、その後、累次改正が行われているほか、2015年、対「テロ」組織の設置や治安機関の権限等の「テロ対策」を包括的に規定した「中華人民共和国反テロリズム法」が制定された。

中国政府の発表によれば、中国における「テロ事案」は、1990年から2016年末までの間、「合わせて数千件」発生したとされる(注2)。中国政府が2019年3月に発表した「新疆の反テロリズム・脱過激化闘争と人権保障」白書では、「2016年12月28日、4人のテロリストが、車を運転してホータン地区カラカシュ県の県党委員会の敷地内に突っ込み、手作りの燃焼・爆発装置に点火し、職員を斬殺した。これにより、2人が死亡し、3人が負傷した」(注3)などと、「テロ事案」の具体例が示されている。

なお、中国政府は、2023年1月時点で、中国における「テロ事案」は「6年連続で発生ゼロを維持している。」としている(注4)

米国は、「中国政府は、広範囲かつ国際的につながりを有するテロリズムの脅威を口実として、新疆ウイグル自治区の少数民族住民らに対する広範な抑圧及び深刻な人権侵害を正当化している」(注5)(2020年6月17日成立の「ウイグル人権政策法」第3条第2項)との認識を示している。また、米国は、新疆ウイグル自治区について、「2017年以来、当局は、100万人以上のウイグル族、その他の少数民族及び宗教的マイノリティを、強制労働、イデオロギー教化及び身体的・心理的虐待が行われている教化施設に収容してきた」(注6)とも指摘している。このほか、国連人権高等弁務官事務所は、2022年8月に発表した報告書の中で、「新疆ウイグル自治区では、政府による反テロリズム及び反過激主義戦略の適用という文脈で、深刻な人権侵害が行われてきた」(注7)と指摘している。

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