フロントページ > 国際テロリズム要覧について>地域別テロ情勢 > シンガポール

シンガポール

シンガポールでは、近年、テロの発生は確認されていないが、1990年代半ばから、「ジェマー・イスラミア」(JI)(注33)の小集団が、米軍人及びその家族が利用するシャトルバス攻撃計画、在シンガポールの米国、英国、イスラエル及びオーストラリアの各大使館を狙った自動車爆弾テロ計画、米国艦船に対する攻撃計画等を立案し、下見を行っていたとされてきた(注34)。同小集団は、2001年及び2002年に摘発を受け、現在は活動が見られなくなったものの、シンガポール人JIメンバーの中には、かつてフィリピン南部・ミンダナオ島に渡り、現地のテロ組織と行動を共にする者もいた(注35)

2014年頃には、「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)等に参加するため、シンガポールからシリアに渡航する者が現れ始め、2017年5月にフィリピン南部でISIL関連組織等によるマラウィ占拠事件(同年10月に終結)が発生した際には、シリアで活動するISILのシンガポール人メンバーを自称する者が、同組織の宣伝動画(同年9月発出)に登場し、「東アジアのムジャヒディンへの合流」を呼び掛けた。また、ISILを支持するフィリピンのイスラム過激組織「バンサモロ・イスラム自由戦士」(BIFF)(注36)の分派(アブ・トゥライフィー派(注37))に合流するなどして活動しているシンガポール人も散見されている(注38)

シンガポール国内では、2020年12月、極右過激主義に傾倒したシンガポール人男性(キリスト教徒、16歳)がモスクの襲撃を計画したとして逮捕されたほか(注39)、2021年3月には、ユダヤ教礼拝堂を訪れるユダヤ教徒の襲撃を計画したシンガポール人男性(イスラム教徒、20歳)が逮捕された。また、2022年4月には、アフガニスタンを「統治」する「タリバン」(注40)に参加するため現地への渡航を計画したシンガポール人男性(イスラム教徒、29歳)が逮捕された。

このほか、シンガポールでは、外国人労働者が過激化し、摘発される事案も発生している。2016年4月には、シリアへの渡航を計画していたISIL支持者のバングラデシュ人就労者8人が、バングラデシュ政府の転覆を計画したとして逮捕された。2019年9月には、家政婦として働いていたインドネシア人女性3人が、海外のISIL関係者に資金を提供したとして逮捕された。さらに、2020年には、外国人20人以上が、過激化の傾向があり暴力行為の実行を示唆したなどとして逮捕されたが、そのうちバングラデシュ人建設作業員1人については、ISILへの参加、母国におけるテロ等を計画していた。

このページの先頭へ

ADOBE READER

PDF形式のファイルをご覧いただくには、アドビシステムズ社から無償配布されているAdobe Readerプラグインが必要です。