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トルコ

 (1) 「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)

「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)は、2014年3月までに、シリア北部・アレッポ県内にあるトルコが自国の領土の一部であると主張する「スレイマン・シャー霊廟(びょう)」の周辺地域を制圧し、同地からのトルコ軍の撤退を要求した。その後、2015年7月に南東部・シャンルウルファ県で、ISILメンバーによる自爆テロが発生したことから、トルコ軍は、シリアのISIL拠点に対する空爆を実施したほか、トルコ国内で、ISILメンバーらの摘発を進めたが、これ以降、トルコ国内でISILメンバーやISIL支持者によるとされる事件が増加した。同年10月には、首都アンカラの中央駅付近で連続自爆テロが発生(注60)し、2016年には、1月及び3月に西部・イスタンブールで外国人観光客らを対象とした自爆テロが発生した(注61)ほか、6月にイスタンブールのアタチュルク国際空港で、ISILの指導部から指示を受けたとされる中央アジア出身のメンバーらによる銃撃及び自爆テロが発生した(注62)。また、ISIL最高指導者アブ・バクル・アル・バグダディ(当時)が、同年11月にトルコへの攻撃を呼び掛けた後の2017年1月、イスタンブールのナイトクラブで銃撃事件が発生し(注63)、同国での事件では初めてISIL名の犯行声明が発出された。2018年以降は、トルコにおいてISILによるテロは発生していないものの、イラク及びシリアとの国境地域に加え、アンカラ、イスタンブール等の都市部でも、ISILメンバーの摘発事案が続いている。

トルコの内相は、2020年9月、同国治安部隊が南部・アダナ県で、ISILの「トルコ州知事」とされるマフムト・オズデンを拘束し、同人がイラク及びシリアのISILメンバーから指令を受けてトルコにおけるテロを企図していたと発表した(注64)。また、2021年10月、ISILの「代表委員会」(注65)委員長サミ・ジャシム・モハマド・アル・ジャブリが、トルコ国内で逮捕されたと報じられた(注66)ほか、2022年9月には、エルドアン大統領が、ISIL上級幹部バシャール・ハッターブ・ガザル・アル・スマイダイを拘束していると発表した。

(2) 「クルド労働者党」(PKK)

トルコでは、1984年に「クルド労働者党」(PKK)が、「クルド人国家の樹立」を掲げて武装闘争を開始し、1990年以降、国内各地で事件を引き起こしており、トルコ政府は、PKKが拠点を構えているイラクとの国境地帯等で掃討作戦を展開してきた。

PKKは、2013年3月、最高指導者アブドラ・オジャラン(注67)(服役中)の指示に基づき停戦を宣言し、同年5月、トルコ領内からイラク北部に向けたメンバーの段階的な撤退を開始した。

こうした中、トルコ当局は、PKKがトルコ当局に攻撃を行ったこと等を理由に、2014年10月及び2015年7月に、トルコ南東部やイラク北部でPKKに対する空爆を断続的に実施したほか、トルコ各地でPKKの拠点を摘発し、メンバー多数を殺害又は拘束した。PKKは、同国軍による空爆等を受け、「政府との停戦はもはや意味を失った」とする声明を発出した上、それ以降、東部及び南東部を中心に、治安当局等を標的とした襲撃事件等を続けている。

(3) 「アルカイダ」

2003年11月に西部・イスタンブールで発生したユダヤ教会付近での自爆テロや英国総領事館等に対する連続自爆テロの実行犯らは、「アルカイダ」に接触していたと指摘されている(注68)。2008年7月には、「アルカイダ」の影響を受けた者らが、在イスタンブール米国総領事館を標的とした襲撃事件を実行した。

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