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イエメン

イエメンでは、2000年10月の米駆逐艦コール爆破テロ事件を始め、イスラム過激組織によるテロが頻発したが、2001年以降、同国軍等による掃討作戦の結果、多くのイスラム過激組織関係者らが死亡し、又は拘束された。さらに、サーレハ大統領(当時)のイスラム過激組織懐柔策等によって、国内でのテロは沈静化した。

2011年、「アラブの春」(注79)の影響を受けた反政府運動等が活発化する中、アブドゥルマリク・アル・フーシー率いるシーア派系武装勢力「フーシー派」(注80)が勢力を伸ばし、2014年9月、首都サヌアの政府施設を占拠した。

(1) 「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)関連

イエメンでは、2015年3月、首都サヌアのモスクで「フーシー派」を標的とした自爆攻撃が発生し、「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)の「サヌア州」名による犯行声明が発出されて以降、「ハドラマウト州」、「シャブワ州」、「アデン・アブヤン州」、「アル・バイダ州」、「イエメン州」等を名のるISIL関連組織(注81)の活動がうかがわれた。その後、イエメン軍等が掃討作戦を強化したこともあり、2020年8月以降、ISIL関連組織のテロは停止していたが、2022年7月、中部・アル・バイダ州で、「イエメン州」が「フーシー派」の車列に自爆攻撃を実行し、多数が死傷した。

(2) 「アラビア半島のアルカイダ」(AQAP)関連

2011年5月、反政府運動によるイエメンの政情不安が高まる中、「アラビア半島のアルカイダ」(AQAP)の偽装組織とされる「アンサール・アル・シャリーア」(AAS)が活動を活発化させ、南部・アブヤン州及び隣接するシャブワ州の大半を占拠したが、2012年6月には、政府のテロ対策強化等によって、これらの占拠地域を失った。2015年4月、AQAPは、「フーシー派」による反政府活動等に乗じ、東部・ハドラマウト州都ムカッラを占拠し、その後も、南部・アデン等で占拠地域を拡大させる動きを見せた。

2016年に入り、イエメン軍及びサウジアラビア主導の連合軍による掃討作戦が強化されたことで、AQAPは、4月にムカッラから、5月にアブヤン州ジンジバル等から逃走したほか、2017年も、米軍による反テロ作戦を受けて、アブヤン州やシャブワ州の占拠地域からの撤退が相次いだ。AQAPは、活動範囲を縮小したものの、その後も中部・アル・バイダ州、アブヤン州、シャブワ州等一部地域で、「フーシー派」、イエメン軍、南部分離派独立組織「南部暫定評議会」(STC)所属の部隊に対するテロ活動等を継続している。

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