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カナダ

カナダでは、1990年代、アルジェリア生まれの帰化カナダ人ファテフ・カメルが、東部・ケベック州の中心都市モントリオール等で、主に北アフリカ出身者で構成されるテロリスト集団を構築しようとした。同集団には、アフガニスタンでの軍事訓練後に米国のロサンゼルス国際空港の爆破を企図して逮捕されたアルジェリア人アフメド・レッサムも含まれていた。

2000年代以降は、「アルカイダ」等の影響を受けた者らによるテロ計画事案が続発した。2006年6月には、首都オタワの連邦議会議事堂や東部・オンタリオ州都トロントの証券取引所等を標的とした爆弾テロ計画が摘発され、2013年4月には、イラン在住の「アルカイダ」メンバーから指導や指示を受けたとされる(注5)旅客列車脱線テロ計画が摘発された(カナダ在住のチュニジア人及びパレスチナ人2人が逮捕)ほか、同年7月には、西部・ブリティッシュ・コロンビア州の議会施設を標的とした爆弾テロを計画したとして、「アルカイダ」の影響を受けたカナダ人2人が逮捕されたが、こうした容疑者の多くは、同国のアフガニスタン派兵に反発していた。

その後も、イスラム過激主義の影響を受けた者らによるテロが相次ぎ、2014年10月には、オタワにおいて、イスラム過激主義の影響を受けたカナダ人が、戦没者慰霊碑で同国軍兵士1人を射殺した後、付近の連邦議会議事堂内に侵入して銃を発砲する事件が発生した。

2016年に入ると、「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)に関連したテロも発生し、同年8月には、オンタリオ州ストラスロイで、爆弾テロを計画した容疑で治安部隊に包囲された男が、所持していた爆弾を爆発させる事件が発生したところ、ISILと関連を有する「アーマク通信」がISILによる犯行と主張した。本件は、カナダで初めてISILによる犯行との主張がなされた事件となった。さらに、2017年9月には、西部・アルバータ州都エドモントンで、ソマリア人の男が車両で警察官をはねた上、刃物で負傷させて逃走した後、別のトラックで歩行者の列に突入する事件が発生し、同車両内からISILの旗が発見された。また、2020年2月には、オンタリオ州スカーバローで、ISILへの支持を表明する男がハンマーで通行人を襲撃する事件が発生した。

他方、2021年6月には、オンタリオ州ロンドンで、白人至上主義の影響を受けたカナダ人の男が、ピックアップトラックを運転し、パキスタン系カナダ人のイスラム教徒一家5人をはねる事件が発生し、4人が死亡した。

なお、同国では、過去に極左過激組織や分離主義組織によるテロも発生しており、2006年8月には、環境保護や反戦を主張する極左過激組織「国際主義者抵抗イニシアチブ」(IRI)による企業幹部を狙った放火事件が発生したほか、2010年7月には、カナダ軍新兵募集所爆破事件等が発生したが、近年、こうしたIRI等の極左過激組織によるテロは見られない。

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