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コロンビア

コロンビアでは、2016年まで53年間続いた内戦で22万人以上が死亡した。同内戦は、国内最大の勢力を有していた極左過激組織「コロンビア革命軍」(FARC)(注6)が、2016年9月、同国政府との和平合意文書に署名したことにより終結した。その後、合意内容がFARCに譲歩し過ぎであるとして反対運動が広がり、同年10月に実施された合意内容の是非を問う国民投票で和平合意は一旦否決されたが、サントス大統領(当時)とFARCとの間で合意内容の修正協議が続けられた結果、同年11月、和平合意が正式に発効した。

FARCは、2017年9月、合法政党に移行し、党大会において名称をこれまでのFARC(Fuerzas Armadas Revolucionarias de Colombia)から、略称は変えずに「普遍革命代替勢力」(Fuerza Alternativa Revolucionaria del Común)に変更した。また、最高指導者ロドリゴ・ロンドニョ・エチェベッリ(別名ティモレオン・ヒメネス、通称ティモチェンコ)を初代党首に選出した。しかし、FARCという略称に同国内の一部で抵抗があることから、2021年1月、党名が「普遍革命代替勢力」(Fuerza Alternativa Revolucionaria del Común)から「コムネス」(Comunes)に変更された。

2018年8月には、元メンバーの政治参加、減刑等和平合意の一部見直しを主張してきたイバン・ドゥケ元上院議員が大統領に就任し、和平合意の「構造的な誤りを正す」と強調した。一方、自らの生活や身の安全が保証されていないなどとして、当初から和平交渉に反対してテロを継続してきたFARC分離派に合流する元メンバーが増大しており、2019年8月には、元FARC指導者の一人であるルシアノ・マリン(通称イバン・マルケス)が、コロンビア政府は和平合意を遵守していないとして、再び武装闘争路線に復帰すると表明する映像を公開した。同国内では、マリンの設立した「セグンダ・マルケタリア」(注7)等の分離派が活動しており、2021年6月にも、FARC分離派が、北部・ノルテ・デ・サンタンデル県での自動車爆弾テロ等を実行した。

2021年11月、米国国務長官は、「FARCはもはや統一組織としては存在していない」として、FARCに対する外国テロ組織(FTO)及び特別指定国際テロリストの指定を解除した一方で、FARCの分派のうち、「セグンダ・マルケタリア」及び「FARC人民軍」(注8)をFTOに指定し、マリンを含む両組織の幹部6人を特別指定国際テロリストに指定した。

このほか、FARCに次ぐ規模の極左過激組織「民族解放軍」(ELN)(注9)も、2016年3月、コロンビア政府との間で和平交渉を開始することで合意したが、交渉がまとまらず、2019年1月、ELNによる首都ボゴタの警察学校に対する自動車爆弾テロが発生したことを受け、ドゥケ大統領(当時)は、ELNとの和平交渉を停止した。

こうした中、2022年8月に新しく大統領に就任したグスタポ・ペトロは、ELNとの和平交渉に積極的な姿勢を見せており、同年11月、正式にELNとの交渉を再開した。

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