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ベルギー

ベルギーでは、2000年当時、首都ブリュッセルで、シリア系フランス人のバッサム・アヤシによる過激な説法が行われるなど、イスラム過激派を扇動する説教師等が活動していた。アヤシの影響を受けた人物の中には、チュニジア人アブデサタール・ダーマン(注27)と、1999年にアヤシの紹介でダーマンと結婚したモロッコ系ベルギー人女性マリカ・エル・アルードがおり、マリカは、米国同時多発テロ事件後、それまで滞在していたアフガニスタンからベルギーに帰国し、アブデサタール・ダーマン死後、再婚したチュニジア人と共にフランス語の過激ウェブサイト「ミンバルSOS」を立ち上げた。マリカは、アフガニスタンにおける「ジハード」への参加を呼び掛けるなどして、1,400人以上の会員を集め、同会員やモスクでリクルートしたベルギー人及びフランス人計6人を、パキスタンの「アルカイダ」訓練キャンプに送り込んだ。

また、2010年11月、ベルギー北部・アントワープ等で、同国内の標的に対するテロを計画した容疑でベルギー人ら11人が逮捕された。容疑者らは、イスラム過激主義ウェブサイト「アンサール・アル・ムジャヒディン」の関係者とのつながりがあるとされ、チェチェン系武装勢力に対するリクルート及び資金援助を行った可能性が指摘された(注28)

「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)に関連した事件では、2014年5月、ブリュッセルのユダヤ博物館で、シリアに1年以上滞在し、外国人戦闘員として活動していたとされるフランス人の男が銃を乱射し、イスラエル人2人を含む4人が死亡する事件が発生した(注29)。2015年1月には、ブリュッセル等で、警察官の襲撃を計画していたグループが摘発されたほか、同年11月以降には、フランス・パリにおける連続テロ事件に関連し、ブリュッセル郊外モレンベーク等での大規模な摘発がなされた。

2016年3月、ブリュッセルの空港及び地下鉄駅で爆発物を用いたベルギー・ブリュッセルにおける連続テロ事件(注30)が発生したほか、2017年6月には、モロッコ人が地下鉄駅構内で所持していた爆発物を起爆させるテロが発生した。また、2018年5月には、東部・リエージュで、刑務所から一時出所中の男が、警察官を襲撃した後学校に立て籠もるなどの事件を引き起こすなど、ISILによる組織的なテロやISILの影響を受けた者によるテロが続いた。これ以降、ISILに関連したテロの発生は確認されていないが、2020年10月、東部・ユーペン及びケルミスで、ISILに忠誠を誓う動画を撮影していた少年2人が逮捕されたほか、2021年1月及び2月には、同国内でテロを計画していた少年4人が、北部・フランドル地方及び南部・ワロン地方において逮捕されるなど、未成年者の摘発が相次いだ。

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