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ギリシャ

ギリシャでは、軍事政権(1967年から1974年)に対する抵抗運動の中で発展してきた極左及びアナキスト勢力のテロが続いてきたところ、同政権崩壊直後の1975年、極左関係者らは、「11月17日革命機構」(EO17N(イー・オー・17・エヌ))(注44)及び「革命的人民闘争」(ELA)(注45)を設立し、外国権益を含む様々な標的に対するテロを繰り返し実行した。ギリシャ当局は、アテネオリンピック(2004年)開催に向け、テロの根絶に取り組み、2002年に、E017Nは、ほぼ解体されたが、極左及びアナキスト勢力の活動は、2008年12月に首都アテネで発生した警察官による少年射殺事件を契機に活発化し、アテネにおける警察官射殺事件(2009年6月)、公安省宛て小包爆弾爆発事件(2010年6月、1人が死亡)等が発生したほか、2010年11月には、アテネの複数の外国公館や外国首脳宛てに相次いで小包爆弾が送付され、一部が爆発する事件が発生した。

2014年以降も、アテネ等の大都市において、極左及びアナキスト勢力による、政治家、警察施設、商業施設等を標的とした爆弾テロが継続している。2022年12月、アテネにあるイタリア大使館に勤務する外交官の車両が自宅ガレージで破壊される事件があり、アナキストによる犯行声明が発出された。また、同月、警察官がロマ人少年に対し発砲したことに抗議するため、約1,500人の左翼団体メンバー及びアナキスト団体メンバーが参加し、一部が商店を破壊したり、警察署に火炎瓶を投げつけたりし、約30人が逮捕された。

他方、ギリシャ国内では、「アルカイダ」や「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)を始めとするイスラム過激組織と関連するテロ組織の存在は確認されていないが、欧州からイラクやシリアに渡航しようとする外国人戦闘員(FTF)が複数摘発されているほか、ISILメンバーらが組織的に実行した2015年11月のフランス・パリにおける連続テロ事件及び2016年3月のベルギー・ブリュッセルにおける連続テロ事件では、テロ準備のためにギリシャ国内にアジトが設置され、同アジトは、イラクやシリアから派遣されたテロ実行要員の一時的な滞在場所にもなっていた。2020年1月には移民施設に収容されていたシリア人が、2021年10月にはイラク人の男がISILメンバーであるとしての容疑で逮捕されたほか、同年7月には、シリアからの帰還後にモロッコでテロを計画していたモロッコ人FTFが逮捕された。

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