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ノルウェー

ノルウェーでは、2000年代後半、ソマリアの「アルカイダ」関連組織「アル・シャバーブ」に参加し、又は同組織を支援したなどして逮捕される者が続出した。2009年8月には、ソマリア系の若者ら少なくとも13人が、同組織に参加するため、ノルウェーからソマリアに渡航した。ノルウェーで移民や難民として受け入れられてきた者の中には、イラクのイスラム過激組織「アンサール・アル・イスラム」(AAI)(注47)設立者のイラク人ムッラー・クレカルも含まれていた。同人は、2012年3月、ノルウェーの元閣僚を殺害すると脅迫したとして禁錮5年が言い渡され、同年8月には、証人の脅迫等で禁錮1年の判決が下された。同人は、2015年1月に釈放されたが、同年2月、ノルウェーのTV局とのインタビューにおいて、フランス週刊紙「シャルリー・エブド」社襲撃事件(同年1月)の実行犯らを称賛する発言を行ったこと等で再び逮捕された。

また、2014年5月、「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)への参加又はイスラム過激組織への支援の容疑で、ノルウェー人3人(うち1人がソマリア出身者、2人が旧ユーゴスラビア出身者)が逮捕され、2017年12月、ソマリア人難民が、ISILへの参加及びテロ組織に資金を提供した容疑で逮捕された。2022年6月には、オスロの繁華街において、イラン系ノルウェー人が銃を乱射し、2人が死亡、21人が負傷するテロが発生した。

イスラム過激主義以外の動向としては、2011年7月、「ノルウェー及び欧州からのイスラムの排除」、「多文化主義を採り、ムスリム移民を受け入れる労働党(与党)に対する制裁」等を唱えるノルウェー人アンネシュ・ブレイビクが、首都オスロの官庁街で自動車爆弾テロを実行して8人を殺害したほか、オスロ郊外のウトヤ島で労働党の集会参加者ら69人を射殺する事件を起こした。実行犯が作成し、犯行直前にインターネット上に掲載した「2083年欧州独立宣言」なる文書は、「「文化的保守主義者」を自称する同人が、明確な帰属対象を持たないまま、種々の影響を受けて独自の思想を構築したことを示す」(注48)ものとされているが、同人の「思想」が多文化主義やイスラム主義に対する反発を核とするものであったこと、同人がノルウェー内外の極右運動と接点を有していたこと(注49)等を背景に、同事件は、一般に、極右過激思想の影響を受けたテロとみなされている(注50)。その後、当該事件の影響を受けたテロ事件が欧米を中心に発生した。

2019年8月には、インターネット上で反移民思想を表明していた男がオスロ近郊のモスクで銃を発砲する事件が発生したほか、同年11月には、南部・クリスチャンサンで開催された反イスラム集会においてコーラン(写し)が燃やされる事案が発生した。さらに、2020年8月にはオスロで開催された反イスラム集会でコーラン(写し)の一部が破られる事案が発生するなど、極右過激思想に関連した事案が繰り返し発生した。

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