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スペイン

スペイン北東部・バスク地方の分離独立を目指す「バスク祖国と自由」(ETA)(注31)は、1960年代以降、スペイン治安機関等を標的とするテロを行ってきた。2005年2月には、スペイン国王カルロス1世らが訪問を予定していた同国首都マドリードのコンベンションセンターでの自動車爆弾テロ、2006年12月には、マドリード国際空港駐車場での自動車爆弾テロを実行した。また、ETAは、2008年12月に発生したマドリードとバスク地方をつなぐ高速鉄道建設に関与した会社社長の殺害や2010年3月のフランス首都パリ郊外における警察官殺害について犯行を自認した。こうしたことを受け、スペイン及びフランスの捜査当局は、取締りを強化し、幹部を相次いで逮捕したため、同組織は弱体化した。

スペインをめぐっては、「アルカイダ」が、かつての「イスラムの地」であったとして、その「解放」を主張しており、シリア出身のムスタファ・セトマリアム・ナサル(別名アブ・ムスアブ・アル・スーリ)が、1995年までにイスラム過激派の「小集団」(「「アルカイダ」のスペイン小集団」)を設立した。同「小集団」は、スペインでリクルートした者らを、アフガニスタンの「アルカイダ」訓練キャンプに送り込むなどしていた。

2001年11月、スペイン当局は、「小集団」指導者らを含む一部の主要メンバーを逮捕したが、摘発を免れた残りの主要メンバーは、「モロッコ・イスラム戦闘集団」(GICM)(注32)メンバーらと共にテロの準備を進め、2004年3月11日、首都マドリードで、複数の列車を狙った同時爆弾テロ(191人が死亡)を実行した(注33)。同テロ以降、大規模なテロは発生していなかったが、2017年8月、バルセロナ及び北東部・カンブリスで観光客らを標的とした車両突入事件が発生し、「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)が犯行声明を発出した。2018年以降、ISIL、「アルカイダ」等のイスラム過激組織に関連したテロの発生は確認されていないものの、2019年以降には、ISILの外国人戦闘員(FTF)を支援するための資金援助に関与した者が相次いで拘束されている(注34)。また、こうした動向との関係は不明であるが、近年、スペインに入国して間もないFTFの摘発事案が散見されており、2020年4月には、英国出身者が、2021年1月には、ISILメンバーとしてアルジェリア等を拠点として活動していた男がそれぞれ逮捕された。

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