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人権擁護委員の活動~調査・救済活動~

平成29年3月31日

 人権擁護委員は、主に(1)人権相談活動、(2)人権侵犯に関する調査・救済活動、(3)人権啓発活動を行っています。

このページでは、(2)の人権侵犯に関する調査・救済活動について、1.人権侵害による被害者の救済2.人権擁護委員が関与した人権侵犯事件の具体例、の項目に分けて紹介します。


1.人権侵害による被害者の救済

 人権擁護委員は、人権相談などにおいて、被害者から「人権を侵害された」という申告を受けた場合、法務局・地方法務局の職員と協力して、人権侵犯事件の調査・処理に携わり、当事者の利害・主張の調整を行うなど、事案の円満な解決を図っています。

人権侵犯事件の調査処理


被害者救済の流れ
 

 人権が侵害された疑いのある事件を人権侵犯事件と呼んでいます。

 法務省の人権擁護機関では、被害者からの救済の申出があれば、速やかに救済手続を開始します。
 また、新聞・雑誌などから人権侵害の疑いのある事実を知ることにより、救済手続を開始することもあります。

 救済手続の中で、人権侵害の有無を確認するための調査を行います。ただし、この調査は、あくまで関係者の協力によるいわゆる任意のものであり、警察官や検察官が行うようないわゆる強制捜査ではありません。

 調査の結果、事案に応じて法律的なアドバイスをする「援助」や当事者間の話合いを仲介する「調整」、人権侵害を行った者に対して改善を求める「説示」や「勧告」などの7種類の救済措置のうち、適切な措置を講じます。なお、救済措置のうち「援助」と「調整」については、効果的なタイミングを考え、調査の途中で講じることもあります。

 また、事案に応じ、事件の関係者に人権についての啓発をすることもあります。救済手続終了後は、被害者に処理結果を通知し、必要に応じ、関係行政機関と連携し、関係者と連絡を取るなどして、被害者のためのアフターケアを行います。

 
人権侵犯事件の調査処理に関する詳細な情報はこちら

2.人権擁護委員が関与した人権侵犯事件の具体例

(1)小学生の不登校事案

 不登校の女子児童の母から、その不登校の原因が担任教諭の不適切な対応にある旨の申告がされた事案。

 児童の母は、学校に対する不信感を強く抱いており、学校側も、母をいわゆるモンスターペアレントとして扱っていたため、両者は感情的に激しく対立していたが、法務局職員と人権擁護委員が、継続的に母や児童本人からの相談に応じつつ、母に対し、学校側と対応する場合の留意点を伝えるとともに、学校側に対し、児童側との話合いを続けるよう説得した結果、両者の協議が整い、児童の不登校が解消された。

(2)妹に対する性的虐待事案

 女子児童から、自宅で兄による性的虐待を受けている旨のSOSミニレターが送られてきた事案。

 法務局職員が、児童相談所や学校側と対応を協議し、また、人権擁護委員が、女子児童と面談し、被害状況を聴取するとともに、一時保護に関する意思確認を行うなどした結果、SOSミニレター受領の3日後に、児童相談所に女子児童を一時保護させることができた。

(3)妻に対するDV事案

 夫から暴力を受け、長女とともに着の身着のまま家を出たという相談が寄せられ、調査を開始した事案。

 人権擁護委員は、直ちに被害者と面談し、救急病院での受診や警察への通報、当日の宿泊場所の確保等について援助を行った。その後、被害者の夫は警察に逮捕され、裁判所からは被害者への接近等を禁止する命令が出されたが、被害者から人権擁護委員に対し、夫と離婚したいが離婚後の生計について不安であるとの相談があった。そこで、同委員は、被害者とともに市役所に出向き、生活保護や市営住宅への入居等の申請に付き添い助言するなどしたところ、生活保護の受給、市営住宅への入居手続が円滑に進むに至った。