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「誰か」のこと じゃない。

 11月に入り,新型コロナウイルス感染症の1日当たりの感染者数は,全国の複数の地域で過去最多を更新し,全国の感染者数の累計は14万人を超え,クラスター数の増加やその多様化も指摘されています。
 新型コロナウイルス感染症は,気を付けていたとしても,誰もが気付かないうちに感染する可能性があり,私たちは,いつ自分や家族が感染者になってもおかしくありません。
 そうした中,新型コロナウイルス感染症に関連して,職場や学校,SNS上など日常生活の様々な場面において,感染者等に対する誤解や偏見に基づく差別や誹謗中傷の事例が報告されています。
 私たちは,自分や家族がそのような差別や誹謗中傷を受けたときに,どのような気持ちになるかを考えて行動する必要があります。

 新型コロナウイルス感染症をめぐる問題と同様に,「誰か」のことではなく,自分自身のこととして考えていただきたい問題の一つとして,特定の民族や国籍の人々を排斥する不当な差別的言動,いわゆるヘイトスピーチがあります。
 「○○人は日本から出て行け。」「○○人を海に投げ入れろ。」
 このような言動について,みなさんは,どのように感じますか。もし自分や家族が外国に暮らしていて,そのようなことを言われたら,どのように感じますか。
 ヘイトスピーチの対象とされた方からは,自分たちの存在そのものを否定する言葉に怒りや悲しみを感じたり,日常生活を送る上で恐怖を感じたりしたという声を聞きます。
 そして,ヘイトスピーチは,このように対象とされた人々の心を傷付けるだけでなく,社会における人々の間に差別意識を生じさせることにもなりかねず,決してあってはならないものです。
  同じ国に暮らしている人を排除するのではなく,お互いに理解し合うこと,人の心の痛みを想像し,相手の立場に身を置いて考えることが大切です。
 そして,人としての尊厳を蹂躙(じゅうりん)するようなヘイトスピーチに対して,私たちが同調しないことはもちろん,社会全体で許さないことが大切です。

 1948年12月10日,国際連合第3回総会で世界人権宣言が採択されました。 世界人権宣言は,基本的人権尊重の原則を定めたものであり,日本では毎年12月10日を最終日とする1週間(12月4日から12月10日までの間)を人権週間と定め,全国的に人権啓発活動を展開しています。
 世界人権宣言は,第1条で「すべての人間は,生まれながらにして自由であり,かつ,尊厳と権利とについて平等である。人間は,理性と良心とを授けられており,互いに同胞(どうほう)(きょうだい)の精神をもって行動しなければならない。」と規定しています。
 人権週間を迎えるこの機会に,改めて人権尊重の理念への理解を深め,一人一人が他人のことを思いやり,誰もがお互いの人権を尊重し合う,そうした社会を築いていこうではありませんか。